帝国データバンク調査
コロナ禍の影響から、倒産、休廃業の増加が懸念される中、回避策として「事業継承」がこれまで以上に注目されている。事業継承の実態を把握するため、帝国データバンク水戸支社が企業の意識(見解)調査を実施した結果、企業の7割以上が事業継承を経営上の問題ととらえていることが分かった。
調査対象の県内企業366社のうち有効回答企業数は174社(回答率47.5%)だった。
事業継承に対する考え方について「最優先の経営上の問題と認識」している企業が9.8%あった。「経営上の問題の一つと認識している」が60.3%と最も高かった。しかし「経営上の問題と認識していない」も21.3%あった。
業種別にみると、経営上の問題として考えている割合が高いのは「卸売」が78.5%、次いで「建設」が77.4%、「運輸・倉庫」が72.2%と続き、「サービス」も69.5%と全国平均を上回った。
事業継承を円滑に行うために必要なことは何かとの質問には、「現代表(社長)と後継候補者の意識の共有」が45.4%でトップ、以下「経営状況・課題を正しく認識」42.5%、「早期・計画的な事業継承の準備」39.7%、「早めに後継者を決定」37.4%と続いた。
政府も、若い世代の事業継承機運醸成や、世代交代に伴う中小企業の成長を促進する施策の推進、税制面の優遇措置、第3者承継の促進など支援体制の強化に努めている。
帝国データバンクは「後継者が取得した資産に対する贈与税や相続税といった税負担が障壁となるケースも否定できず、事業継承には事前準備に加え、より使い勝手のよい税制へと見直していくことが不可欠」と提言している。(山崎実)