第103回全国高校野球選手権茨城大会は17日、3回戦に入り、4球場で8試合が行われた。土浦・つくば勢同士の対戦となったJ:COMスタジアム土浦では、常総学院がとつくば秀英が息詰まる投手戦を展開。常総が2本柱の秋本璃空と大川慈英が零封リレーを演じれば、秀英は先発・山本素暖が6回まで常総学院打線を抑えたが7回に四球から崩れた。

常総は秋本が先発。センバツではエースを務めたものの春以降調子を落とし、まだ6~7割の出来だそうだが、4回を投げて3三振2安打1四球とまずまずの結果だった。「秋大会では1-0で勝った相手だが、それを自信と思わず、挑戦者の気持ちで臨んだ」という。島田直也監督は「秋本は今日の時点ではよく投げた」と評価しながらも、「久々の公式戦で緊張もあっただろうし、暑さの影響もあったと思う。その疲れが見えてきたのでスパッと替えた」と早めの継投を決断した。

5回からマウンドに上がったのは現エースの大川慈英。「夏の初戦で緊張したが、秋本が粘り強く投げてくれたので、その気持ちを背負って絶対抑えてやろうと思った。マウンドに立ったら緊張が解け、自分のピッチングができた」と最速147キロの速球を武器に、8三振1安打無四球の危なげないピッチングだった。
一方、秀英の山本は「ブルペンでは良くなかったが、マウンドに立ったら向かっていくしかない。マウンドではいちばん良く、どんどん成長していけた」と、4回まで毎回3人で切ってとる好投を見せた。5、6回はスコアリングポジションにランナーを背負うが、テンポ良い投球で打者を追い込み、いずれも最後は三振で仕留めている。
だが7回に疲れが見えた。常総の中軸、田邊広大、柴田将太郎に連続四球、6番・秋本には左前打を許し無死満塁。代打・青木良弘への初球はカットボールだったが、足の踏ん張りがきかずワンバウンドになり(記録上は捕逸)、これで決勝点を与えてしまった。
秀英に痛い3回の逸機
つくば秀英の森田健文監督は、3回表の先制機を生かせなかったことを悔やんだ。四球と犠打に佐藤慈恩主将の左前打で1死一・三塁、ここで3番の野川唯斗がセーフティースクイズを仕掛けるが、常総の一塁手・柴田の好返球で、三走が本塁タッチアウトになった。「スクイズは日頃から練習し、打者はしっかりバントを決めてくれたが、少しタイミングが遅れてしまった。何とか先制点を取り、追い風の中で野球をさせてあげたかったが、それができなかったことに監督としての責任を感じている」
応援席への挨拶後、目頭を押さえグラウンドに崩れ落ちた佐藤主将は「自信を持ってやってきたが、最後、あと一歩が届かなかった。自分たちは全力を出しきったが、それでも相手の方が一歩上だった」と、試合後に述懐した。(池田充雄・高橋浩一)
