一時は絶望視されていた気象庁地磁気観測所(石岡市柿岡)の移転問題が、再燃を見せ始めている。県議会第2回定例会(6月1-18日)でも議題に上り、大井川和彦知事は改めて対国交渉に取り組んでいく姿勢を表明した。
観測所は、東京での市内電車(直流電車)の開通に伴う観測業務への影響を考慮し、1913(大正2)年に柿岡に移転した。施設の半径35キロ圏内では直流電化が制限されるため、1985年にいわゆる常磐新線(現在のつくばエクスプレス)の整備が位置付けられた際にも、導入車両の電化方式や関連施設整備の面で大きな障害となっていた。
このため、県は1982年に新線整備計画の検討に合わせ、有識者などで構成する「地磁気観測所問題研究会」を設置し、学術、技術的な検討を加え、不可能とされていた施設移転に関し、一部機能については(施設移転が)可能であることなどを報告書として提示した。
これを受け、1984年には県、市町村、商工団体などによる「地磁気観測所移転促進協議会」を発足させ、官民一体となり気象庁などに働き掛けを行った。しかし移転費用の負担問題などから、1994年頃に働き掛けを事実上断念した。協議会の活動も、自然消滅の状態を余儀なくされた。

しかし大井川知事はあきらめきれない様子で、第2回定例会の答弁で、TX(つくばエクスプレス)が本県発展の重要なファクターであることを強調しながら、東京延伸だけでなく、県内延伸、さらには都心と県西地域を結ぶ地下鉄8号線の県内延伸など、東京方面との相互乗り入れの課題になっていると指摘した。
一昨年の2019年、知事自ら気象庁に移転の申し入れを行った。気象庁は直流電流による観測ノイズの除去方法などについて検証したが、昨年、これまで通り、「移転は困難」との見解が示されたという。
そこで県は「そもそもこの施設は国が東京から移転を進めたものであり、国の責任において県外へ移転を進めるか、出来ないのなら地元への補償を行うべき」との新しい視点から▽施設を早期に、県外へ移転すること▽交流直流両用方式車両の導入に伴う車両整備費などの十分な補償を行うーなどを主な骨子とする要望を改めて提示することにした。
県交通政策課は「一度は消滅しかけた政策課題だが、鉄道ネットワークの形成と確立は茨城県の発展に重要であり、要望による対国交渉など、新たな活動に踏み出したい」としている。(山崎実)