清酒「霧筑波」醸造元の浦里酒造店(つくば市吉沼、浦里浩司代表)で酒造りの杜氏(とうじ)を務める浦里知可良さん(29)らが18日、つくば市役所に五十嵐立青市長を表敬訪問、第102回南部杜氏自醸清酒鑑評会「吟醸酒の部」で、第1位となる首席を獲得した受賞の報告を行った。
訪問したのは、酒造店の6代目蔵元で杜氏を務める浦里さんはじめ、頭(かしら)で副杜氏の早坂義裕さん(52)、酛屋(もとや)で酒母担当の高野昌史さん(45)、釜屋(かまや)で蒸米担当の小田島徹弥さん(37)の4人。

4月に岩手・花巻市で行われた鑑評会の吟醸酒部門で、全国114工場から出品の256点の頂点に立った。南部杜氏は、越後杜氏、丹波杜氏と並ぶ日本三大杜氏のひとつ。杜氏の数は全国最多で会員数は606人(5月31日現在)を数える。南部杜氏自醸清酒鑑評会は、酒造技術の研鑽、資質の向上を目的に1911(明治44)年から開催。吟醸酒と純米酒の部で審査が行われる。
浦里知可良さんは蔵元に就いて3年目。20代での首席受賞は前例がないという。高校2年生のときに家業を継ぐことを決め、東京農業大学醸造科学科を卒業後、山形県や栃木県の酒造店などで修業。2018年10月、つくばに戻って6代目蔵元に就いた。
早坂さんによれば、「6代目は静かに闘志を燃やすタイプ。表には出さないが気合が伝わってくる」そう。「(霧筑波の出来は)出来過ぎではないかと思ったほど良かった」と振り返った。
知可良さんは「華やかな味に仕上がった。米の甘味を最大限引き出し、後味はすっきりしている。甘みとキレが両立できたことが評価されたと思う」と語る。受賞の霧筑波は、熟成が進んだ7~8月ごろに売り出す予定だという。「個人的には、中華料理などにも合うお酒だと思う。自由に楽しんで飲んでいただけたら」と話す。
五十嵐市長は「すばらしい活躍。売り出されたら、ぜひ並んで購入したい」と受賞を称え、酒談義に花を咲かせた。
浦里酒造店は1877(明治10)年につくば市吉沼に創業。酒造りに使用する「小川酵母」にこだわり、酸が少なく、低温でよく発酵し、きめ細やかな香気を発するのが特徴という。これまで「全国新酒鑑評会」金賞、「茨城県清酒鑑評会、純米吟醸の部」で首席の茨城県知事賞などを受賞している。(伊藤悦子)