火曜日, 2月 24, 2026
ホームつくば知らせぬまま「各地区3人以上」に変更 つくば市農業委員会人数割

知らせぬまま「各地区3人以上」に変更 つくば市農業委員会人数割

選考の公正性、透明性どう確保

改選後のつくば市農業委員会委員の地区別人数割をめぐり、総会で農業委員から異議が出された問題で(5月20日付)、農業委員の候補者を選ぶ市農業委員会委員候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長)が第2回会合を開いた昨年12月、地区別の農業委員数を一律で「各地区3人以上」と変更していたことが分かった。

同市の農業委員数は公選制だったときも含めてこれまで、地区ごとの農地面積や農家戸数に応じて選ばれ、農家が最も多い谷田部地区は他地区と比べて委員数が多かった。各地区一律で3人以上とする人数割は、市農業委員会設立以来の大きな変更になるが、当事者である農業委員会や、同意を得なければならない市議会にも説明はされなかった。一方、市はホームページに、地区ごとの農地面積や農家戸数などを考慮した地区別人数割の考え方だけを公表していた。

選考会で各地区一律3人以上となったことについて市農業委員の一人は「初めて聞く。選考会にそこまでの決定ができるのか」と憤慨する。

問題になっている認識なかった

同選考会は、農業委員が公選制から市長による任命制に変わったのを受けて、選考過程の公正性、透明性を確保するため設置され、昨年12月、35人の候補者の中から定数の24人を選ぶ選考が実施された。

地区別人数割について、昨年12月7日の第1回選考会では、農業委員は農地転用や所有権移転など許認可の調査を地区ごとに行っていることから、事務に支障をきたさないよう、地区ごとの農地面積、農家戸数、農地転用や所有権移転など農地法の許可申請件数に応じて、谷田部地区6~7人、桜3~4人、大穂3人、豊里3人、筑波4~6人、茎崎2人とすることを、市長への答申書に申し添えることが事務局から提案された。

その後、同月21日に第2回選考会が開かれ、事務局提案とは異なる、各地区一律3人以上とすることが決まったという。

農業委員会事務局によると「各地区3人以上いれば仕事が十分できると(選考会の)話し合いの中で決まった」としている。

ただし第2回選考会の議事録や要約、答申は非公開で、基準を変更するに至った議論の経緯や意思形成過程は説明がないままだ。同事務局は議事録を非公開としている理由について「(採点結果など)個人情報がからむので、第2回選考会開催にあたって、あらかじめ議事録を公開しないことを決定した」ためだとしている。

第2回選考会では答申がまとめられ、五十嵐立青市長に提出された。市長は、答申にもとづき、選考会の採点結果をもとに24人を選んだとしている。24人の地区は、谷田部4人(改選前は6人)▽桜5人(同5人)▽大穂3人(同2人)▽豊里4人(同3人)▽筑波5人(同5人)▽茎崎2人(同2人)。各地区3人以上と決めたのに茎崎地区が2人なのは、候補者が2人しかいなかったためという。

各地区3人以上に変更されたことについてはこれまで、農業委員会に説明されたことはなかった。同事務局は「(農業委員の間で)地区バランスとの隔たりが問題になっているという認識がなかった」ためだと釈明している。

出席せず説明できなかった

農業委員の任命は市議会の同意が必要なことから、市長は3月議会最終日に24人を農業委員に任命する議案を提案した。議会では、本会議開会前に開かれた議会運営委員会で、塚本洋二議員から「地区バランスはとれているのか」などの質問が出されたが、地区別人数を各地区3人以上に変更したことの説明はなかった。

これについて農業委員会事務局は「人事案件を出すのは総務部で、農業委員会事務局は議会運営委員会に出席してなかったので、説明できなかった」としている。

本会議では24人のうち22人が全会一致で、2人が賛成多数で同意となった。

意見聞かれたこと一度もない

農業委員会は、農地法に基づいて農地の売買や貸借の許可、農地転用案件に意見を言うなど、農地に関する事務を執行する行政機関で、「農地の番人」とも呼ばれる。

農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変更になった。

市長任命制に変更後の選出方法について、農業委員会法規則は「関係者からの意見聴取その他の委嘱(任命)過程の公正性、透明性を確保するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と定めている。農水省は、必要な措置について①推薦を受けた者及び募集に応募した者や推薦者の意見を聞くこと②前任の農業委員または推薦委員の意見を聞くこと③パブリックコメントを行うこと④選定委員会を設けること等が考えられるとしている。

選出方法について別の農業委員は「つくば市から意見を聞かれたことは一度もない」と話している。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

10 コメント

10 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

パブコメを「儀式」にしないために《水戸っぽの眼》10

【コラム・沼田誠】国において、SNSでパブリックコメント(意見公募)実施を告知している案件は全体の5%未満に過ぎないー。産経新聞に掲載された山田太郎元デジタル政務官の調査記事を読み、つくば市と水戸市のパブコメはどうなっているか気になりました。そこで今回は、両市の2024(令和6)年度実績を比較したいと思います。 つくばと水戸を比べると… 市民への「見せ方」には明確な差がありました。つくば市は15案件を実施し、延べ107人から439件の意見を得ています。「生物多様性つくば戦略(案)」には81件(13人)の意見が寄せられています。専門知識を持つ市民が多い土地柄もあり、行政案に対して科学的な裏付けを求める市民が多いことがうかがえます。 また、パブコメ一覧ページは、各案件の概要から「結果」までが簡単にたどれるよう整理されています。 これに対し、水戸市の募集数は33案件に上ります。しかし、一覧表を開くと、「結果の詳細については担当課へ問い合せください」という記載が目立ち、意見提出0件も散見されます。情報が見つからない、あるいは担当課に問い合わせる必要がある、という時点で、市民による意見表明の機会が「参加コストの高い閉ざされた手続き」に映ってしまいます。 SNSを活用する周知方法 SNSを活用した周知についても、両者に差が見られました。公式Xで“意見募集/意見公募”などで検索した範囲では、つくば市の公式アカウントでは「つくば市下水道事業経営戦略(案)」を除く全ての案件の告知が見つけられました。 一方、水戸市の公式アカウントでは、同条件では昨年度分のパブコメ告知を見つけられませんでした。ただ、検索仕様上の見落としや、投稿が削除された可能性はあります。これが事実であれば、かつて水戸市の広報を担当していた立場として、パブコメをSNSで必ず告知する手順を整備すべきだったと、反省せずにはいられません。 ただ改善の芽もあります。例えば「水戸市こども計画(案)」のパブコメでは、「さまざまな子育て支援制度などがあるが、ネットで探すのは困難である。水戸市のHPでは情報や答えを見つけることができない」との住民からの指摘に対して、市側が「子育てに関する情報につきましては(中略)SNSや子育て支援アプリ『みとっこ子育て応援アプリ』など、各種媒体を活用し、…広く発信してまいります」と回答しています。 このように、情報発信に課題意識を持つ部署や職員が増えていけば、パブコメ告知についても、自ずと改善が進むと思います。 行政が見落とした視点を掘り起こす 重要な施策において、行政はパブコメに先立ち、有識者らを集めた審議会を開くことが通例です。委員の選び方や、議論の実質などはさておき、審議会も経てやっとまとめられた案に、一般市民の意見で修正を加えるのは、実務者にとって心理的・手続き的なハードルが高い面もあるでしょう。 ともあれ、パブコメ(審議会も)が「行政案の追認」という、アリバイづくりに陥るリスクは常にあると言わざるをえません。しかし、パブコメは本来、形式的な手続きではありません。行政が見落としていた視点を掘り起こし、議会に対してより質の高い、吟味された議論の素材を提供するプロセスです。 パブコメを単なる「儀式」にしないため、行政機関はその実施を積極的に公開し、それに対して住民の側は意見を出し続ける―そうした地道な積み重ねこそが、地域をよりよくする土台となるのではないかと思います。(元水戸市みとの魅力発信課長)

イタリアの風は(たぶん)優しく暖かい《マンガサプリ》4

【コラム・瀬尾梨絵】今回ご紹介するのは、独特の筆致とハイセンスな世界観で、多くのファンを魅了し続けるオノ・ナツメ先生の「LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ)〜5番目の部屋~」(小学館、全1巻)。舞台はイタリアのとある街。そこにあるアパートの一室では、性格も職業もバラバラな4人の中年男性たちが共同生活を送っている。彼らの住まいには、いつも空いている「5番目の部屋」があり、短期留学生や旅人に貸し出している。そこから静かに物語は動き出す。 オノ・ナツメ先生といえば、「リストランテ・パラディーゾ」や「ACCA13区監察課」など、渋い「おじさま」を描かせたら右に出る者はいない。 本作でもその手腕は遺憾なく発揮されており、同居者は、少し気難しかったり、陽気であったり、家事が得意であったりと、それぞれに人生の年輪を感じさせる魅力的なおじさまたち。彼らが囲む食卓や、何気ない日常のやりとりを見ているだけで、読者はイタリアの石畳の上を歩いているような、心地よい異国情緒に包まれる。 この作品の最大の読みどころは、ゲストとして「5番目の部屋」にやってくる人々との交流にある。言葉も文化も違う異邦の若者たちが、一時的にこの部屋に滞在することで、住人である4人の男性たちの日常に小さくて温かい波紋が広がっていく。 この部屋を訪れる留学生たちは、それぞれに夢や悩みを抱えている。対する4人の住人たちは、彼らに過剰に干渉することなく、そっとおいしい料理を差し出したり、さりげない一言で背中を押したりと、年長者ならではの距離感で寄り添う。その交流は劇的なドラマではないが、誰かの人生がほんの一瞬だけ交差し、互いの心を少しだけ温め、また離れていく。そんな一期一会の美しさが、この作品には満ちあふれている。 心の余裕と他者への慈しみ また、オノ先生の描くイタリアの描写も絶品。シンプルながらも洗練された線で描かれる街並みやインテリア、そして何よりおいしそうな料理の数々。読み進めるうちに、淹れたてのコーヒーの香りや、温かなパニーニの食感、窓から差し込む午後の柔らかな光まで感じられるような、五感に訴えかける表現力が本作の濃度を一層高めている。 派手なアクションや奇抜な設定はないが、ここには現代人が忘れがちな「心の余裕」と「他者への慈しみ」が描かれている。読み終えた後、まるで良質な短編映画を観た後のような、清々しくも少しだけセンチメンタルな余韻に浸れるはずだ。忙しい日常に少し疲れを感じたとき、あるいは静かな夜に一息つきたいとき、ぜひ『LA QUINTA CAMERA』の扉を叩いてみてほしい。 5番目の部屋に集う人々の優しさが、あなたの心も穏やかに解きほぐしてくれるだろう。(牛肉惣菜店経営)

戦争と差別に反対 若者たちがスタンディングデモ つくば駅前

選挙結果に危機感 2月8日投開票の衆院選で与党が大勝した結果を受け、戦争や差別への懸念を訴える若者たちが21日、「戦争と差別 もうたくさん!」などと書かれたポスターを手に、つくば駅前のつくばセンター広場で街頭に立った。外国にルーツを持つ若者を中心に80人余りが、それぞれが抱く経験や思いを語りながら、「声を上げ続けることの大切さ」を訴えた。 大学院生が呼び掛け スタンディングデモを呼び掛けたのは、つくば市在住の大学院生、ハナさん(25)。日本とナイジェリアにルーツを持ち、つくばで生まれ育った。2週間前の衆院選で、与党の自民党が大勝した結果について、「自分にとっては衝撃的だった。食べ物は高く、賃金は低い。毎日生活が苦しい状況で、軍事費を上げようとする。日本が戦争に向かっているように感じた」と語る。 ハナさんは、近年強まっていると感じる排外主義や差別に対する危機感も、デモ開催の理由の一つだという。ハナさん自身も、生活の中で差別を感じた経験がある。物件を探していた際、「アフリカ系のハーフだから難しい」と断られたことがあり、不動産業界でも外国人風の人を断る家主が増えていると説明されたことがある。 選挙戦の中では、つくば駅前で外国人排斥を訴える候補者を見ることもあった。「多様な人が暮らすつくばで、外国人を追い出せという声があるのは悲しい。ネット上でも差別的な言葉をよく見るようになった。それが訂正されないまま広がっているのが怖い」とし、「外国人や性的マイノリティ、女性など弱い立場の人が切り捨てられ、スケープゴートにされ、対立があおられていると感じる」と話す。 中高生らも参加 デモには多様な背景を持つ学生が参加した。中国で生活し、現地で反日デモを目撃した経験を持つ中学2年の参加者は「今の日本の状況には複雑な気持ちがある」と話す。「日本人だけど、中国語が話せるというだけで嫌なことをされたり、言われたりしたことがある。それはおかしいと思う」。一方で、多様な言語や文化に触れる経験は自分の世界を広げたとも語り、「いろんな人を受け入れる社会になってほしい」と訴えた。 市内在住の高校3年ジボフスキー・ニキータさんは、「外国人への嫌悪と闘いたいと思って参加した」と話した。同じく高校3年のマッコイ・キリアンさんは「私の家族も差別を経験してきた。差別のない平和な世界をつくっていきたい」とし、高校2年の荒木茉莉花さんは「戦争や差別のない世界にしたい。一つの国のことを語るにも、その国の中にもいろいろな立場の人がいることをしっかり考えなくてはいけない」と、国や立場によって単純に善悪を決めつけない視点の大切さを強調した。 「市民運動の力示したい」 ハナさんは、2年前から仲間たちと声を掛け合い、パレスチナ連帯を訴えるスタンディングを毎月開催してきた。そこで感じてきたのが今回のデモのテーマの一つでもある「市民運動の力」だとし、「選挙結果を見ると、みんなが差別に賛成しているように見えるかもしれない。でも、実際には反対している人は多い。パレスチナに関してもそう。その声を見える形にしたかった」と話す。また、外国にルーツを持つ人が政治について発言すると批判されることがあるとしながら、「日本に住んでいる人なら誰でも、差別は嫌だと言う権利がある」と強調し、「裏金問題や統一協会との関係など、批判されるべきものが批判されないまま、憲法改正が押し進められようとしている。私たちは、そんなこと望んでいない。差別は嫌だ、戦争は嫌だという当たり前のことを、当たり前に言える社会にしたい」と訴えた。 会場には、通行人も自由に思いを書き込めるように付箋と大型の模造紙が用意された。スピーチも誰でもできるようにし、「みんなの声を可視化する場にしたい」という思いが込められた。 来場した牛久市の細谷一明さん(62)は「23歳と17歳の子どもがいるが、彼らを戦争に行かせたくない。雰囲気に流されないよう、声を上げることが大切」と語った。(柴田大輔)

新党「中道」はこれからどうなる《文京町便り》49

【コラム・原田博夫】唐突に始まり、2月8日が投開票日だった総選挙は、自民党の歴史的大勝で、高市早苗首相の賭けは見事に当たった。急ごしらえの野党第一党、中道改革連合は壊滅し、議席数では3分の1に落ち込んだ。これほどのコントラストは、国民一般のみならず永田町の消息通や選挙プロも、事前には予想できていなかった。 実体のなかった新党「中道」の敗北を受けて、共同代表の野田佳彦(旧、立憲)氏と斉藤鉄夫(旧、公明)氏は責任を取り、ともに退任。敗退の原因は解明しきれず、「中道」の認知度も低いままだが、その新代表に小川淳也氏(香川1区、54歳)が選出され、幹事長には階毅維氏(盛岡1区、59歳)が指名され、新執行部が発足。翌18日には、特別国会で首相に指名されて、第2次高市内閣が発足した。 しかし、衆院を基盤とする中道は存在するも、参院では立憲と公明は継続し、国会議員総体では3党の連絡協議の場が設けられることになった。さらに、1976年総選挙以来の慣例で第2会派に当てられてきた衆院副議長ポストに関しては、打診された立憲・元代表の泉健太氏(京都3区、51歳)が拒否したため、石井啓一氏(比例北関東、67歳)が就くことになった。 気になる政治家、小川新代表 というわけで、新党・中道の船出は甚だ厳しい。小川新代表は、不退転の覚悟で議論を尽くして党内融和を図り、18日の議員総会では「巨大与党の権力の横暴や怠慢は絶対に許さない。権力監視の先頭に立つ」と言っているが、このスタイルは旧来の野党色を引きずっている印象がある。こうした対決色は果たして、有権者とりわけ20~40歳代にどれだけ届くだろうか。言い換えれば、無党派層に刺さるだろうか。 ここ数年の国政選挙で、国民民主、維新、参政、みらいなどの一点突破型新党が順繰りにそれなりの議席を確保してきたことを踏まえると、その時々のテーマやイシューに躊躇(ちゅうちょ)なく取り組む、進取性が求められる気がする。そうした潮目の変化を「つかむ」「引き出す」柔軟さと戦略性こそが、巨大与党に対峙(たいじ)するには必要ではないか。 たまたま私は、小川新代表と2000年ごろ、ロンドンで交流があり、その誼(よしみ)で夏の週末、リッチモンド野外で開かれたコンサートを家族連れで楽しんだことがある。 その時の小川氏の真摯(しんし)かつ謙虚な言動に感心し、政界に転じた後も折々の活躍を気にしてきた。この際、経済学者リカードの比較優位(自分の相対的に優位な分野に特化すべし)原理に基づいて、ご自分のキャラクターと年来のスタイルを貫き、かつグローバルに激動の時代の息吹を感じ取る柔軟性を発揮してもらいたい、と祈る。(専修大学名誉教授)