火曜日, 4月 28, 2026
ホームつくば知らせぬまま「各地区3人以上」に変更 つくば市農業委員会人数割

知らせぬまま「各地区3人以上」に変更 つくば市農業委員会人数割

選考の公正性、透明性どう確保

改選後のつくば市農業委員会委員の地区別人数割をめぐり、総会で農業委員から異議が出された問題で(5月20日付)、農業委員の候補者を選ぶ市農業委員会委員候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長)が第2回会合を開いた昨年12月、地区別の農業委員数を一律で「各地区3人以上」と変更していたことが分かった。

同市の農業委員数は公選制だったときも含めてこれまで、地区ごとの農地面積や農家戸数に応じて選ばれ、農家が最も多い谷田部地区は他地区と比べて委員数が多かった。各地区一律で3人以上とする人数割は、市農業委員会設立以来の大きな変更になるが、当事者である農業委員会や、同意を得なければならない市議会にも説明はされなかった。一方、市はホームページに、地区ごとの農地面積や農家戸数などを考慮した地区別人数割の考え方だけを公表していた。

選考会で各地区一律3人以上となったことについて市農業委員の一人は「初めて聞く。選考会にそこまでの決定ができるのか」と憤慨する。

問題になっている認識なかった

同選考会は、農業委員が公選制から市長による任命制に変わったのを受けて、選考過程の公正性、透明性を確保するため設置され、昨年12月、35人の候補者の中から定数の24人を選ぶ選考が実施された。

地区別人数割について、昨年12月7日の第1回選考会では、農業委員は農地転用や所有権移転など許認可の調査を地区ごとに行っていることから、事務に支障をきたさないよう、地区ごとの農地面積、農家戸数、農地転用や所有権移転など農地法の許可申請件数に応じて、谷田部地区6~7人、桜3~4人、大穂3人、豊里3人、筑波4~6人、茎崎2人とすることを、市長への答申書に申し添えることが事務局から提案された。

その後、同月21日に第2回選考会が開かれ、事務局提案とは異なる、各地区一律3人以上とすることが決まったという。

農業委員会事務局によると「各地区3人以上いれば仕事が十分できると(選考会の)話し合いの中で決まった」としている。

ただし第2回選考会の議事録や要約、答申は非公開で、基準を変更するに至った議論の経緯や意思形成過程は説明がないままだ。同事務局は議事録を非公開としている理由について「(採点結果など)個人情報がからむので、第2回選考会開催にあたって、あらかじめ議事録を公開しないことを決定した」ためだとしている。

第2回選考会では答申がまとめられ、五十嵐立青市長に提出された。市長は、答申にもとづき、選考会の採点結果をもとに24人を選んだとしている。24人の地区は、谷田部4人(改選前は6人)▽桜5人(同5人)▽大穂3人(同2人)▽豊里4人(同3人)▽筑波5人(同5人)▽茎崎2人(同2人)。各地区3人以上と決めたのに茎崎地区が2人なのは、候補者が2人しかいなかったためという。

各地区3人以上に変更されたことについてはこれまで、農業委員会に説明されたことはなかった。同事務局は「(農業委員の間で)地区バランスとの隔たりが問題になっているという認識がなかった」ためだと釈明している。

出席せず説明できなかった

農業委員の任命は市議会の同意が必要なことから、市長は3月議会最終日に24人を農業委員に任命する議案を提案した。議会では、本会議開会前に開かれた議会運営委員会で、塚本洋二議員から「地区バランスはとれているのか」などの質問が出されたが、地区別人数を各地区3人以上に変更したことの説明はなかった。

これについて農業委員会事務局は「人事案件を出すのは総務部で、農業委員会事務局は議会運営委員会に出席してなかったので、説明できなかった」としている。

本会議では24人のうち22人が全会一致で、2人が賛成多数で同意となった。

意見聞かれたこと一度もない

農業委員会は、農地法に基づいて農地の売買や貸借の許可、農地転用案件に意見を言うなど、農地に関する事務を執行する行政機関で、「農地の番人」とも呼ばれる。

農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変更になった。

市長任命制に変更後の選出方法について、農業委員会法規則は「関係者からの意見聴取その他の委嘱(任命)過程の公正性、透明性を確保するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と定めている。農水省は、必要な措置について①推薦を受けた者及び募集に応募した者や推薦者の意見を聞くこと②前任の農業委員または推薦委員の意見を聞くこと③パブリックコメントを行うこと④選定委員会を設けること等が考えられるとしている。

選出方法について別の農業委員は「つくば市から意見を聞かれたことは一度もない」と話している。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

10 コメント

10 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

柵が倒れ女子児童けが つくばカピオ前広場

26日午後1時30分ごろ、つくば駅近くの同市竹園、市の複合施設、つくばカピオ前の広場で、広場に設置されたスロープと広場を隔てる鉄製の柵に女子児童(8)が手を掛けたところ、柵がスロープ側に倒れ、児童は足などを打ってけがを負った。 市芸術文化推進課によると、倒れた柵は高さ79センチで、長さ4.35メートルにわたって3ブロックが倒れた。女子児童は市内から家族と遊びに来ていて、柵に体を向けて手でにぎっていたところ、柵と一緒に正面から倒れたという。同課によると、柵に腐食はみられず、溶接部分がはがれたことが原因とみられるという。 柵はカピオと同じ1996年に建築された。指定管理者のつくば市文化振興財団(同市竹園)が施設の管理などを実施し、定期的に点検などを実施しているが、柵がぐらついていたなどの異常は確認されていなかったという。 市文化振興財団は、女子児童の保護者に謝罪した上、施設の点検や安全確認を改めて実施した。倒れた箇所や同様の柵がある箇所については現在、カラーコーンを設置し、近寄らないよう注意喚起する張り紙を掲示している。 市は、当該施設の点検を徹底し、安全対策や注意喚起を行うなど再発防止に努めるとしている。

障害者の余暇活動充実へ つくばで新団体スタート 

地域のネットワークで課題解決 障害者の余暇活動の充実を目指す「つくば市障害者の余暇活動を考える会」の発起式が26日、同会の実行委員会によってつくば市内で開かれ、福祉事業者や障害者のスポーツ団体、行政職員、支援者、当事者や家族らが参加した。実行委員会には、市内で障害者の余暇活動や運動・スポーツ活動、生活支援に取り組む福祉専攻科シャンティつくば、障害者のスポーツ事業や余暇活動支援を行う一般社団法人ウルラ(URULA)、NPO法人ユアフィールドなどが名を連ねる。今後も行政を含めた地域のネットワークづくりや課題解決に向けた取り組みを進めていく。 2025年初頭、関係者間で課題を共有したことをきっかけに準備を進めてきた。世話人の一人、ウルラ代表で筑波大学准教授の澤江幸則さんによると、障害者の余暇を取り巻く環境には、家族の負担の大きさ、当事者のニーズに合った福祉サービスの不足、活動の場や情報のマッチング不足などが課題に挙げられ、特に「(活動の)場」「移動」「時間」の3点が大きな壁となっているという。 同会は現時点で実行委員会形式でのスタートとなるが、今後は行政や支援団体、当事者や家族などの活動への参加を想定している。発起式には会場定員の60人を上回る約80人の申し込みがあり、オンライン対応も行われた。澤江さんは「関心の高さを感じる一方で、その期待に応える責任も感じている」と述べた。今後は6月に初のセミナーを予定しており、当事者や家族、相談員の声を反映しながら、具体的な施策づくりを進めていく考えだ。 余暇は労働と同じくらい大切 発起式で澤江さんは「余暇とは単に余った時間ではなく、人生や生活を豊かにする重要な要素」だと強調した。かつては労働中心の価値観が主流だったが、現在はワーク・ライフ・バランスの考え方が広がり、「労働と同じくらい余暇が大切な時代になっている」と指摘した。余暇活動が心身の回復や人とのつながりを生むとする理論にも触れ、「社会との接点を広げ、人生を豊かにするための大切なツール」だと語った。 一方で、障害者の余暇を取り巻く環境には課題も多いと指摘する。澤江さんによると、当事者家族への調査では、外出や余暇の満足度は「満足している」と「満足していない」がほぼ半々だった。 活動の場自体は一定数存在するものの、情報が十分に共有されておらず、活用されていないケースも少なくない。移動手段についても既存の支援制度だけでは対応しきれていない現状があると話す。また、施設職員の勤務体制などの影響で、平日に比べて休日の活動が乏しい点も課題とされる。 こうした状況を受け、同会は、行政、民間団体、支援者、当事者らが緩やかにつながる「ネットワークづくり」を重視する。澤江さんは「一つの主体だけで解決できる問題ではない。みんなで考える必要がある」と語った。 今後の取り組みとしては、定期的なセミナーやワークショップの開催、ホームページやSNSを活用した情報発信、寄付の呼びかけなどを計画する。多様な関係者の参加を促し、「市全体で障害者の余暇活動を支える仕組みづくり」を目指す。 また、学校卒業後の学びの機会が限られる現状を踏まえ、生涯学習の視点から余暇の充実を図る必要性も強調する。「学びの場を広げることが、余暇をより豊かなものにする」と話した。 課題出し合えたのは重要な一歩 実行委員会の世話人で、シャンティつくば代表の船橋秀彦さんは「地域で地道に取り組んでいる人たちが初めてこういう場で交流し合い、障害のある人たちの余暇活動に関する課題を出し合えたのは重要な一歩。さらに、そこに行政の参加があったことは大きい。シャンティつくばでも余暇活動を進めてきたが、より一般に広げるためには行政も含めた取り組みが必要になる。市が余暇活動に視点を当てた取り組みである『余暇活動支援事業』を始めたことは高く評価しており、障害のある人たちの余暇活動の発展につながる第一歩になると感じている」と語った。(柴田大輔)

片隅で咲く恋心、ままならない感情 《マンガサプリ》6

【コラム・瀬尾梨絵】SNSという広大な海から生まれ、多くの読者の心を静かに揺さぶり続けて書籍化に至った名作をご存知だろうか。それが、蒔(まき)先生による「おもいこみのノラ」(KADOKAWA、全1巻)だ。コンパクトな巻数の中に、私たちが忘れかけていた誰かを思うことの、みずみずしくも少しだけ苦い感触が、驚くほどの密度で閉じ込められている。 本作の舞台は、さまざまな動物たちが人間のように二足歩行し、服を着て生活している世界。その中でも、人生のモラトリアムとも言える大学が物語の中心となる。 主人公は、犬のノラ。彼女は派手なタイプではなく、どちらかといえば周囲の喧騒(けんそう)から少し離れたところでひっそりと、自分の日常を過ごしているような雑種犬。そんな彼女が胸の奥で温めているのは、同じ大学に通うオオカミのアルへの淡い恋心だった。 動物たちの世界といっても、そこに描かれるのはファンタジーな冒険ではない。講義の空き時間、学食での何気ない会話、放課後のちょっとした寄り道。私たちがかつて通り過ぎてきた、あるいは今身を置いている「学生生活」そのものの空気が、蒔先生の柔らかな描写で描かれている。 最大の見どころは、タイトルにもある「おもいこみ」というキーワード。恋をすると、私たちはどうしても臆病になり、相手の何気ない一言に一喜一憂し、深読みしすぎて自爆したり、逆に都合の良い解釈をして舞い上がったりと、自分でも想像することができない自分を垣間見ることになる。 ノラが抱える恋心は、まさにその「おもいこみ」の連続。自分の気持ちを伝える勇気が出ないからこそ、心の中の独白(モノローグ)は饒舌(じょうぜつ)になり、相手への思いは純度を増していき、その一方通行の熱量が、読者の胸を締め付ける。 動物たちが織りなす不器用な日常 ノラを取り囲む友人たちの描写も秀逸だ。それぞれに個性があり、悩みがあり、彼らなりの生活がある。動物の姿を借りているからこそ、キャラクターたちのささいな表情の変化や、耳や尻尾の動きといった「言葉にできない感情」がよりダイレクトに伝わってくる。それは言葉の解像度を超えた、非常に豊かな感情表現と言えるだろう。 全1巻という構成は、まるで1本の良質な短編映画を見終えた後のような、すがすがしい余韻を私たちに与えてくれる。物語は劇的な大団円を迎えるわけではないかもしれないが、ノラが過ごした穏やかで少しだけ切ない日々は、読者自身の記憶にある「大切な誰か」の面影を呼び起こさせてくれる。 「最近、心がささくれ立っている」「誰かを好きになる真っ直ぐな気持ちを思い出したい」。そんな方にこそ、この「おもいこみのノラ」を手に取ってほしい。動物たちが織りなす優しくて不器用な日常が、あなたの心の中に、温かな火をそっと灯してくれるはずだ。(牛肉惣菜店経営)

スペインに海外出張 五十嵐つくば市長 4泊6日

つくば市の五十嵐立青市長が26日から4泊6日の日程で、国際会議「ブルームバーグ・シティラボ2026」に出席するためスペインのマドリードに海外出張する。帰国は5月1日。市が負担する費用は8万円で、渡航費、宿泊費、会議期間中の食費は主催者が支払うという。 今年から市ホームページで事前公表するようになった目的や概要などによると、市長が加入するOECD先進的市長会議(OECDチャンピオンメイヤーイニシアティブ)から招待された。同国際会議はマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が創設した慈善財団と、米国の非営利研究・教育機関「アスペン研究所」が主催する。世界各国から100人以上の市長や専門家らが集うという。 五十嵐市長は、建築、計画、コミュニティの変革方法について話し合う会議や非公開のセッションに参加するほか、住宅問題について議論するパネルディスカッションに登壇する予定。 日程は、26日出国し、同日マドリード着、27日から29日まで3日間、同会議に参加する。30日マドリードを離れ、5月1日帰国する。 市長の海外出張は今年2月、イギリスとフランスに8日間出張(2月1日付)して以来、今年2回目。今年度は初めて。今年度当初予算では市長の海外出張費は計上せず補正予算で対応するとしていた(3月26日付)。(鈴木宏子)