金曜日, 1月 9, 2026
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憲法記念日に思ったこと 《つくば法律日記》16

【コラム・堀越智也】コロナ禍という非常事態の下では、どちらかと言えば、憲法に関する議論は活発でなくなってしまうようです。なぜなら、憲法は国家権力を抑制するためにつくられたものですが、非常事態では、国家権力の発動により事態の解決を期待する方向にベクトルが向きやすいからです。

もちろん、菅首相がコメントしていたように、非常事態では憲法による国家権力への抑制を緩める議論は、コロナ禍で活発になります。しかし、せっかくの憲法記念日なので、コロナ禍であるために脇に置かれてしまった憲法の問題をゆっくりと思い起こす時間にしなければと思って過ごしました。

例えば、仮に楽観的に考えて、ワクチン効果が手伝って、コロナがある程度落ち着いたとすると、憲法に関する問題は山積みのはずです。

安倍前首相は、結局実現しなかったものの、憲法改正を積極的に進めようとしました。憲法改正には、国会の議決に加え、国民投票という厳しい要件があるので、簡単にはいかないにしても、油断しているうちに改正されてしまうのではないかと、心配になった時期もありました。

対中関係で9条の議論が再燃

米国の大統領にバイデン氏が就き、米中関係の影響を受けて、憲法9条の議論が再燃する可能性が大いにあります。現在のアジアでの中国の軍力と米国の軍力を比較すると、圧倒的に中国が勝っています。米国が日本に、今以上のことを求めてくることを想定しなければなりません。

これまで、憲法9条ないし自衛隊の活動範囲の問題は、中東やカンボジアなど、日本の国境から離れた地域の問題をめぐって議論されていましたが、お隣の中国との関係をめぐって議論がなされるとなると、それなりの恐怖感があります。

かつては巨大なマスメディアが君臨し、国民1人1人の政治的意見は届けにくかったのが、インターネットによりSNSの利用が広がり、国民が政治的意見を表現しやすい世の中になりました。その結果、国家権力の表現の自由に対する規制のモチベーションが高くなることに注意しなければなりません。

一方で、SNSを利用して誹謗(ひぼう)中傷される少数者を守るには、国民の表現の自由を一歩後退させざるを得ません。

コロナ禍であるがために、脇に置かれていた憲法問題を挙げればきりがなく、どれも重要な問題です。立ち止まって考える時間を与えてくれる憲法記念日の意義を、改めて痛感する令和3年の5月連休でした。(弁護士)

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