金曜日, 12月 26, 2025
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日本で幸せに暮らすために 3カ国語でハンドブック「架け橋」

「外国から日本に来る誰もが幸せに暮らせるように」。そんな思いを込め作られたハンドブック「Briging the gap ( ブリッジング・ザ・ギャップ、邦題:架け橋)」が完成した。外国人が日本で暮らす上で必要な多岐にわたる情報が盛り込まれている。制作は、フィリピン出身の法廷通訳士、島田ビトゥインさん(69)らが発起人となり、筑波大学生のメレシオ・ジャン・コリンさん(22)ら、フィリピンにルーツを持つ若者たちが作業の中心を担った。英語、タガログ語、日本語、各言語をウェブサイトから無料でダウンロードできる。

「これまでになかったハンドブック」

フィリピン人の両親を持つ筑波大4年のメレシオさんは、日系企業のエンジニアとして働く父の仕事の都合で1歳のときに来日した。その後、日本とフィリピンを行き来しつつ中学校から現在は、日本での生活が続いている。

メレシオさんは、今回作成したハンドブックは「これまでになかったタイプ」だと話す。

「日本での生活が長いフィリピン人の目線で作られたことがとても大切です。同じ事柄でも、日本人とは伝え方が変わってきます。規則など明文化された『ダメ』な事柄をあげるだけでなく、慣習による曖昧な判断が必要な場面も解説しました。日本人協力者のチェックも入っているので、誤解のない表現を選ぶことができたと思います」

メレシオさんは幼い頃、両親にかわって自宅に届く書類に目を通していた。保険や年金、ゴミ出しの規則など、わかりにくいことが多かった。大学ではフィリピンからの留学生とともに学園祭や地域イベントで文化紹介をするなど積極的に2つの文化の「架け橋」として活動している。

若者たちが制作の中心となった(写真提供:野口和恵)

ハンドブックで特におすすめの箇所を聞くと、法律関係をあげた。

「ビザや在留カード、その他、万が一疑われたり、法律に引っかかったりしてしまうと、日本人でもアドバイスできる人は多くありません。ハンドブックには、相談機関や対処法が書かれています。自分の身を守るためにも必要な知識だと思います」

また生活に欠かせない就業に関する事柄も充実させた。知っておくべき雇用契約内容、仕事の探し方、失業後の補償と手続きなど。

日常生活に必要な事柄もまとまっている。習慣、マナー、冠婚葬祭の服装にお金のやりとり、地域社会の一員としての自治会参加、児童館の利用方法など多岐にわたる。

また、「日本に来る前の確認事項」というチェックリストもあり、訪日前にウェブサイトからダウンロードすることで、事前に準備することができる。さらに情報を得たい場合、各項目に記載されたQRコードから詳細情報にアクセスできる。

若者のエンパワーメントの機会に

ハンドブック制作の発起人である島田ビトゥインさんは「外国人が日本で10年、20年生きていくために必要なことをまとめました」と話す。

10年以上、法廷通訳をして感じていたことがある。10代前半でフィリピンから来日する若者が、本人が望まない形で犯罪に関わってしまう姿を何度も目の当たりにした。その背景に、家や学校に居場所を作れないことがあった。そんな若者の多くが、日本語が理解できず、相談先もわからず、日本社会との間に軋轢を抱えざるを得ない状況があるという。

島田ビトゥインさん(写真右端)(写真提供:野口和恵)

島田さんはなんとかしたいと思っていた。周囲の仲間に声をかけ出し合ったアイデアが、ハンドブック作成になった。日本とフィリピンを結ぶ「架け橋」と名付けたこの活動は、2017年にスタートした。まず、フィリピンから来た人たちが抱える問題を知るため各地のフィリピン人コミュニティーを訪ねインタビューを繰り返した。より広い意見を得られるようウェブアンケートでも意見を募った。

そこで見えたのは、日本に来るための準備が不足していることだった。必要な情報を当事者目線で提供しようと考えた。

本の中には、エッセイとして個人のライフストーリーも複数掲載している。

「個人の物語は、辛い時にどう乗り越えたのか、どんな支援を得ていたのか具体的な事例が盛り込まれているので、そこを見て欲しいです」

ハンドブック作成には、フィリピンにルーツを持つ多くの若者が参加し、デザイン、執筆、翻訳などを担った。書籍版の印刷は、フィリピン人が経営する印刷会社によるものだ。

専用ウェブサイトから各言語ダウンロードができる

「このプロジェクトは、若者たちのエンパワーメントの場にもなりました。この経験を次の世代に引き継いで、将来の子どもたちのための活動につながればうれしい。フィリピン人だけでなく、あらゆる移民に応用できる内容です。是非、日本人にも読んでもらいたいと思い日本語版も作成しました」

総務省によると日本に暮らす外国人は2020年6月の時点で288万5904人。茨城には約7万人が暮らし、その内、土浦市とつくば市には1万5000人余りが暮らしている。両市の人口の4%あまり。全国平均の約2倍となっている。

ハンドブック「Briging the gap」はこちらから無料ダウンロードできる。(柴田大輔)

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つくば駅前に大型ディスプレイ登場 イルミネーションと共ににぎわいを

オフィスビル「T.S BUIL」 つくば駅前のオフィスビル「T.S BUIL」(同市吾妻)のペデストリアンデッキに面した2階部分の壁面に21日、縦2.5メートル×横4.4メートル、200インチの大型ディスプレイがお目見えし、クリスマス関連の映像が放映されている。 22日夜からは同ビル恒例のクリスマスイルミネーションも加わり、道行く人たちの目を楽しませている。駅前をもっとにぎやかにしたいと、同ビルを所有する不動産業の都市開発(塚田純夫社長)が新たに大型ディスプレイを設置した。 ディスプレイの設置工事は14日から始まり、1週間の工事期間を経て21日から放映が始まった。毎日正午から夜9時まで映像が流れる。クリスマスの現在は、クリスマスにちなんだクイズやイルミネーション点灯のお知らせなどが流れ、26日以降は年越しに関する映像に変わる。 今後は市の情報や警察関連情報、防災情報なども放映していく予定だ。「屋外広告物」という扱いのため、大きな音を出し大勢の人が集まるコンサートやパブリックビューイングを行うためには今後、市と相談しながらになるという。 イルミネーションは来年1月12日まで点灯する。3年前に始まり、昨年同様、同ビルのペデストリアンデッキに面する2階エントランスのガラス張り壁面全体がLEDで装飾され、ショーケースの中にはサンタクロースや雪だるま、トナカイ、クリスマスツリーなどが飾り付けられている。 ディスプレイに見入っていた市内に住む60代女性は「大型のディスプレイにびっくりした。世の中に季節感がなくなってきた時代なので、こんな感じでクリスマスなど季節を知らせてくれるのはありがたい。ディスプレイの前のペデストリアンデッキは広くなっているのでコンサートでもやってくれたら」と話す。近くの職場に通う50代の男性会社員は「ずっと殺風景だったので、とても良いと思う。どんどんにぎやかにすることをやってほしい」と話していた。 都市開発の霞学部長は「つくば駅前にあるつくばセンター広場のにぎわいづくりに協力出来たらということでやっている。防災も重要なので、行政の防災の取り組みに協力し、防災に関することも放映していきたい」と語る。また「今年、1階にスタジオを移転したラヂオつくばの中継も可能なので、ディスプレイで何が放映できるか考えていきたい」と述べる。 現在放映している映像の制作は20代の同社若手社員が担当した。管理部の藤沢花恋さんは「グラフィックデザインのソフトを使って動画を作ったが、初めてだったので大変だった。デザインなどは不慣れだが担当させてもらい、いい経験になった。今後の展開も考えたい」と話した。設置業者とのやりとりや申請業務など担当した営業部の高橋開人さんは「人が集まる場所が出来ればとてもうれしい」と述べた。(榎田智司)