土曜日, 5月 15, 2021
ホーム つくば 教科書掲載、長久保赤水の日本地図も つくばの古書店で「むかしの茨城」展

教科書掲載、長久保赤水の日本地図も つくばの古書店で「むかしの茨城」展

つくば市吾妻の古書店、ブックセンター・キャンパス(岡田富朗店主)で第10回店内展示「むかしの茨城」が開催中だ。版画や古地図、絵葉書など茨城に関する古資料約30点が、店内のショーケースに展示されている。

100年以上も広く流通

展示の目玉の一つは、高萩市出身で江戸時代の地理学者、長久保赤水の日本地図「改正日本輿地路程全図」(通称「赤水図」)だ。同図は今年度、中学校の地理の教科書に初めて掲載された。

赤水図は江戸中期の1779(安永8)年に完成し、翌年大阪で出版され、赤水の死後も版を重ねた。展示品は嘉永5(1852)年原刻、明治4(1871)年再刻とあり復刻版のようだ。彩色もオリジナルとは異なる淡い色使いで、むしろ見やすい。

江戸時代の日本地図というと1821(文政4)年の伊能忠敬「大日本沿海輿地全図」(伊能図)が有名だが、赤水図の完成はその42年も前。実測ではなく収集資料と天文学の知識に基づくが非常に精度が高く、日本地図で初めて経線と緯線を入れたことも特徴。地名や主要街道などの情報も豊富に盛り込まれている。

伊能図は初めて全国の海岸線を実測して作られ、沿岸部は極めて正確だが内陸部の情報に乏しい。また幕府により公開が禁じられため、一般に用いられたのは赤水図の方だった。実用性の高さから明治初期まで100年以上も広く流通し、吉田松陰も旅の必需品としていたという。

赤水の生地、高萩市の歴史民俗資料館にある関連資料693点は、2017年に県有形文化財、2020年には国重要文化財に指定されている。

筑波山関係の珍品もいろいろ

筑波山関係では、「筑波山登山案内図」「ひとりでわかる登山案内」など珍しいものも多い。

「ひとりでわかる登山案内」1925(大正14)年、筑波史跡研究会。同年開業の筑波山ケーブルカーや、1918(大正7)年開業の筑波鉄道も記されている

小林清親の版画「常陸桜川より筑波山を臨む」は、日本名勝図会の1枚として1897(明治30)年に発行された。付された句は「筑波嶺や其のしら糸の水無の川」と読める。筑波大学図書館情報メディア系教授の綿抜豊昭さんは「清親は『明治の広重』とも呼ばれるだけあって、筑波おろしに吹かれる木々や農人が実に見事である」と展示解説で評している。

明治期を代表する名所画家、小林清親の「日本名勝図会 常陸桜川より筑波山を臨む」

清親は1876(明治9)年の東京名所図シリーズで、ガス燈やランプが彩る東京の夜景などを描いた「光線画」で人気を集めた後、広重調の画風に回帰していった。「日本名勝図会」は各地の名勝を28図に収めており、嵐山や松島など歴史的な景観に加え、中禅寺湖や熱海温泉など近代の保養地や、横須賀造船所といった時代を感じる新名所も含んでいる。

世の中の変化とともに旅や観光も様変わりしていく。徒歩が前提だった里程図が鉄道の普及で路線図に変わり、名勝図には写真絵葉書がとって代わる。そのような変遷も展示からは見えてくる。(池田充雄)

◆「むかしの茨城」の会期は30日(金)まで。開店時間は午前10時~午後4時、火曜日定休のほか不定休あり。ブックセンター・キャンパスはつくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い、店舗の裏に駐車場あり)、問い合わせは電話029-851-8100。

会員募集中

NEWSつくばでは、私たちの理念に賛同し、一緒に活動していただける正会員、活動会員、ボランティア会員、および資金面で活動を支援していただける賛助会員(クレジットカード払い可)を募集しています。私たちと一緒に新しいメディアをつくりませんか。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最新記事

導水運用し霞ケ浦、利根川下流の水資源を有効活用 東京2020渇水対策で国交省

国交省関東地方整備局は、東京2020オリンピック・パラリンピックに備えた4月の渇水対策協議会で、渇水対応行動計画を改定した。 前回、東京オリンピック直前の1964年(昭和39)夏に、最大給水制限率50%で昼間の断水等、厳しい制限を余儀なくされたことから、これを教訓にダム群の貯水量の温存に努め、水の安定的供給に万全を期す。 渇水対応行動計画の主な改定内容は、利根川・荒川水系等で3対策(武蔵水路等の新たな運用、既存施設の徹底活用など)を新たに追加したほか▽洪水期のダムの弾力的管理は「八ッ場ダム」(2020年3月末完成、4月以降は本格的な運用開始)、「渡良瀬遊水地」を追加し計11ダムで実施する▽継続的な確保対策上、水不足の段階になった場合には外国人観光客等に対し、外国語で節水を呼び掛ける―ことなども行い、対策を拡充、強化し、渇水に備えたいとしている。 前回の1964年夏とは異なり、現在は東京都の水源として多摩川に加え、利根川、荒川の2水系が加わり、2020年3月末には八ッ場ダムも完成した。 このため首都圏のダム総利水容量は、八ッ場ダムを含め洪水期で当時の約4.5倍の12億4500万立方メートル、非洪水期で5.1倍の16億9100万立方メートルとなっているが、近年の猛暑などから首都圏の主要な水源である利根川・荒川水系では、取水制限を伴う渇水が発生している。 オリンピック・パラリンピック開催の今年も大きな懸念材料になっている。

サヨナラ勝ち アストロプラネッツ、東地区2位に浮上

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは14日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で神奈川フューチャードリームスと対戦し、4-3でサヨナラ勝ちを収めた。これで茨城は7勝7敗1分、栃木ゴールデンブレーブスをかわし東地区2位に浮上。期待の新外国人ラモン・カブレラも初ヒットを記録した。 神奈川 000002001 3茨城  000003001x 4 茨城はこの試合、土浦出身の野木和馬投手が加入後初となる先発出場。5回までを2安打2四球の好投で試合を作り、「少ない球数で抑え、攻撃につなげるピッチングを心掛けた。1、2回とも先頭打者を出してしまったが後続を断ち、野球はリカバリーができるスポーツであることを体現できた」と胸を張った。ジョニー・セリス監督も「いま一番安定している投手。コントロールがいいし気持ちも強い」と評価、今後も先発で使う意向だ。 先発で5回を好投した野木(同) 野木は初の先発とあって5回でマウンドを降りたが、6回表、2人目の久能雄汰が神奈川に先制を許した。先頭を四球で出し、三塁打と犠牲フライで2失点。しかし茨城はその裏すかさず逆転に成功。先頭の妹尾克哉の中前打で口火を切り、2四死球で無死満塁とすると、安田寿明の中前打でまずは1点。そして山中堯之の中越え二塁打で2点を加えた。これで山中は初のMVP受賞。試合後のお立ち台では「勝ちたい一心でバットを振った。これからさらに勝ち続けるので応援よろしくお願いします」とファンにアピールした。

「コップ半分の水」の捉え方 《続・気軽にSOS》85

【コラム・浅井和幸】ここにコップがあります。そのコップには水が半分入っています。このコップを見て、「コップに水が半分しか入っていない」とネガティブに考えることはいけないことで、「コップに水が半分も入っている」とポジティブに考えることがよいことだと教えられる場面があります。 世間では、ポジティブが良いことで、ネガティブが悪いことだと教わります。さて、コップに水が半分「も」入っていると考えるのがよいのか、半分「しか」入っていないと考えるのがよいのか。それぞれが勝手に好きなように考えればよいと思いますよ。 ですが、浅井はどのように考えるのか?と聞かれたら、「コップに水が半分入っているのだなと考える」と答えます。いやいや、それをネガティブに考えるのか、ポジティブに考えるのか?という質問に答えなければいけないとなると、どんな大きさのどのようなコップに、どれぐらいの水が入っていようが、ポジティブでもなければ、ネガティブでもないよと捉えます。 大切なのは、このコップと水のある背景、シチュエーションです。コップに水が入っていることが良いことか、悪いことか? そして、「も」と捉えることと「しか」と捉えることのどちらがよいことかは、別の条件がなければ判断できません。 ポジティブ思考とネガティブ思考 例えば、コップ半分の水で、十分にのどの渇きが潤せるのであれば、それは「コップに水が半分も入っている」というポジティブな意味にとらえられます。

描いて木の魅力を引き出す 上渕翔さん展覧会「木に描く」

つくば市在住の画家、上渕翔さんの展覧会「木に描く」が水戸市備前町の常陽史料館で開催中だ。板や丸太などさまざまな木に、ウッドバーニングやアクリル絵の具、金箔などで描いた58点の作品を展示しており、白いキャンバスを離れて自由なアプローチを目指した、この10年間の集大成と言える内容になっている。 上渕さんは熊本県出身。筑波大学で油絵を学び、卒業後ウッドバーニングを始めた。電熱ペンを使って木を焦がし描く技法で、木と絵の一体感が強く出るという。「木自体の色や存在感が好きで、それを見て何を描くか考えるのが面白い。例えば木目が風のそよぎにも、降り注ぐ雨にも、水の流れにもなる。木の力を借りて作品が生まれていて、同じものは2つとない」 制作中の上渕さん。電熱ペンから細い煙が立ち上る 生活に入り込めるアートを作りたいという思いもあった。絵を買って部屋に飾るのは、特に若い人にはハードルが高い。より手にしやすいよう小さな升や桐箱などに絵付けした作品を発表し、そこから桐下駄、羽子板、曲げわっぱなど日本の伝統的な木製品にも目が向いていった。 製材所で見付けた古材や、骨董市で出合った建具などからも「描けそう」とインスピレーションを得て、その素材ならではの雰囲気や存在感が生かせる画題や手法を選んでいる。
0
コメントお待ちしてますx
()
x