緊急事態宣言などでつくば市の公共施設が使えず、青い羽根学習会が開催できなかった期間も、子どもたちと直接会い続けた団体がある。屋外スペースを利用したり、公共施設とは別の場所を探したりしながら、子どもたちとつながり続けるための模索がおこなわれていた。
9人中8人が希望
Aさんが代表を務めるNPOは、県内7カ所で無料の学習支援塾を運営し、つくば市内でも青い羽根学習会を1カ所運営している。昨年4月、感染予防のために公共施設が使用できなくなり、学習会を開催できなかった。当時は学校の休校も続いていたため、子どもたちの心理面や、普段から学習することが難しい環境にいる子どもたちがもっと不利になることを心配した。
「何もしないと子どもたちが大変になる」と思ったAさんは、学生ボランティアにも協力してもらい、週に1回、普段使っている休館中の公共施設の駐車場で、子ども一人一人と15分ずつ会い、体を動かして遊んだり、子ども一人一人に合わせた課題を出したりしていた。学生ボランティアと遊んでいる時は、子どもたちもはしゃいでいた。「どうせやるなら、楽しいことをやりたかった」とAさんは話す。
オンライン授業を希望した子どもには週1回、小学生は30分、中学生は45分、SNSアプリを利用し学習指導をした。当時、学習会に通っていた子ども9人のうち8人が駐車場で会うことを希望し、1人がオンライン授業を希望した。
今年1月中旬からの3週間、県独自の緊急事態宣言のために公共施設が使用できなかった期間は、別の会場を探した。対面授業を希望した子どもを別の会場で、週に1回、1時間から1時間半、学習指導した。この時期は学校に通えていたため、精神的な支援よりも学習支援に力を入れた。
同時にオンラインでも学習指導を行った。当時の学習会参加者11人のうち、4人が対面授業を、4人がオンライン授業を受けた。
会い続けることで安心できた
学習会が開催できない期間、どのように授業を受けたいかは、子ども自身や、親子で相談して決めてもらった。「勉強する方法を自分で選んだ方がやる気になる」からだ。直接会うことで精神的な安定につながった子どももいれば、オンライン授業の方が集中できる子どももいた。
学習会では普段から、送迎の時などに保護者ともコミュニケーションをとり、子どもの学習状況を保護者と共有したり、保護者が子どもの進路や保護者自身の働き方について相談できる体制をつくっている。つくばの教室では、コロナの影響で経済的に厳しくなった等の具体的な相談はなかったが、学習会が開催できない間も子どもたちと会い続けることで、子どもたちだけでなく、保護者も安心できたのではないかと、Aさんは話す。