火曜日, 4月 14, 2026
ホームコラム《介護教育の現場から》4 重度訪問介護サービスのこと

《介護教育の現場から》4 重度訪問介護サービスのこと

【コラム・岩松珠美】新型コロナの感染拡大に抑制がかからない。基礎疾患を抱える方や高齢などのリスクを抱えている人々には、感染予防の強化が求められているが、今回は介護保険法による訪問介護とは制度が異なる「重度訪問介護」を取り上げたい。障害者総合支援法による事業で、訪問介護員が利用者の住まいを訪問し、生活全般の援助を行う介護サービスである。

常に介護が必要とされる方(原則65歳未満)がこのサービスを受けることで、住みなれた環境で生活が続けられることを目指している。

対象は、「重度の肢体不自由、または精神障害・知的障害により行動上著しい困難があり、常時介護を要する状態」にある方。具体的には、交通事故などで四肢を欠損したり、脊椎損傷によって全身まひになった人や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの難病にかかり、寝返りを打つことも難しいような重度の疾患を抱えている方が多い。日常生活を支えるために、3人の介護者が8時間・3交代が必要である。

現場に求められる人材の質

重度訪問介護の利用者数は年々増加しており、2016年は全国で1万463人に達した。この介護を担う事業所は、2016年時点で約7300カ所ある。訪問介護員は、居宅介護に従事可能な介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格所有者、または重度訪問介護従事者養成研修修了者などである。

利用者によっては、家族がいる夜間は介護サービスを利用しないこともあるが、原則的には、利用者に必要な身の回りの援助のすべてに携わる。また、利用者ができることは見守り、援助の必要性が生じたときのために、利用者の近くで待機することも大切である。人工呼吸器装着の利用者の痰の吸引や胃ろうなど医療的ケアが必要で、コミュニケーションの難しい重度障害者のケアをできる訪問介護員は少ない。

訪問介護員と利用者の関わりで重要なことは、利用者と訪問介護員が1対1の対等な人間関係にあり、常にお互いを思いやることである。家族ではない介護者が極めてリスクが高い介護を請け負っている現実に、今のような時期だからこそ、介護の現場に要求される人材の質の高さにハッとさせられることがある。(つくばアジア福祉専門学校校長)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

たまゆら《続・平熱日記》191

【コラム・斉藤裕之】「将来きっと青い絵を描くよ…」。ある彫刻家が私に言った。唐突に、なんの根拠もなく。あれから随分と時が経った。 まだ寒い3月初旬、パクと山口に向かう。山の中では弟夫妻が変わりない日常を過ごしている。長旅を終えたパクも再会を喜んでいた。 その日は野暮(やぼ)用があって街まで出かけた。かつてにぎわっていた繁華街も人通りはまばら。少し時間があったのでちょっと気になるところを車で通ってみた。「たまゆら」という看板が見えて店内の明かりがわずかに見えた。思い切って引き返して駐車場に車を入れた。 この辺りは小学生だった私の新聞配達の受け持ち地域だった。だから半世紀以上経った今も当時の街並みと店の名前をはっきり覚えている。「たまゆら」にも新聞を入れていたのだけれども、居酒屋や料亭などが多い通りなので昼間は開いていない店が多い。 だから「たまゆら」も子供心には十分に怪しげなその言葉の響きから、てっきりその類の店かと思い込んでいた。その後、たまゆらとは玉響と書き、勾玉(まがたま)同士が触れ合うかすかな音から、ほんのひとときや束(つか)の間という意味を持つ美しい言葉であることを知った。 ところがつい先日のこと、ネットに「たまゆら」の記事がアップされているのを見かけて「たまゆら」が実は純喫茶で、しかも今もなお営業しているということを知った。 「それいゆ」 客は私ひとり。ゴブラン織りの椅子に重厚な調度品。天井近くにある年代物のスピーカーからはクラシック音楽。そして半世紀の時が醸し出すどこか懐かしい匂い。そのうち2組の客が入ってきた。 確か代替わりされたと記事には書いてあったが、カウンターの中から数人の女性のにぎやかな話声が聞こえる。子供の頃に新聞を配っていた「たまゆら」の中はこんな世界が広がっていた。 あの彫刻家が未来を予言していたわけではないだろうが、「斉藤さんの青い絵がいい…」という声をこのごろ耳にするようになった。人は青に何を見るのだろうか。チルチルとミチルの探す「青い鳥」は幸せや希望の象徴として描かれる。 シャルトル大聖堂のステンドグラスは無垢(むく)で神秘的な青だ。もし、たまゆら色という色があるとすれば…、それは奥行きを感じる軽やかな青だろうか。 大きめのカップに入ったコーヒーを飲み干して店を出た。この並びには確か「それいゆ」という店もあった。当時はその意味も分からないでいたが、なかなか趣のある屋号の店が並ぶ街に新聞を配っていたんだな。 数日後、静かな入り江のある街で、これを吉兆とするほど信心深くないが、こういう偶然が物語の始まりになることはあるのかもしれない、青い鳥が飛んできて目の前の塀にとまった。ちょっとドキドキした。たまゆらのひととき。浜ヒヨドリという鳥だと後で知った。(画家)

反戦と反差別訴える大学院生 ハナさん つくば【ひと】

米国とイスラエルによるイラン爆撃に反対する「反戦デモinつくば イラン爆撃もうたくさん!」を呼び掛け、11日つくば駅前のつくばセンター広場で街頭集会を開催した。主催したのは、つくば市在住の大学院生、ハナさん(25)ら「戦争に反対するつくば市民の会」。2月21日にも同駅前で反戦と反差別を訴える「戦争と差別もうたくさん!デモinつくば」(2月22日付)を開催して以来2回目。呼び掛けはSNSで広まり、11日はつくば市内外の市民ら約80人が参加した。 ハナさんはナイジェリア人の父親と日本人の母親との間に生まれた。つくば市内の小中学校、高校を出て、都内の大学に進学。現在は都内の大学院に通う。外国人ルーツかつアフリカ系という2つの属性ゆえに、日常的に日本社会からの疎外感を感じていた。 小学生の頃に自分の似顔絵を描く授業があり、周りの同級生と同じ「肌色」(薄だいだい色)を使って描いたが「これは誰だろう」と納得がいかなかった。後に自分が感じた差別的な体験や生きづらさの原因が社会構造にあると考え「社会的な構造を変えるために、市民の声を聴かせる市民運動がすごく強い力になる」と思い至ったという。 大学生の頃から、アフリカ系の人々やアフリカにルーツを持つ若者たちの支援活動に参加。2年前からはつくば駅前で毎月1回ペースで、パレスチナ連帯を訴えるスタンディング活動を行っている。 11日の集会終了後、ハナさんに思いの丈を聞いた。話は戦争反対から差別反対まで及んだ。 何をしてもいいという状態 —前回の2月のデモから1週間足らずで(2月28日に)米国とイスラエルによるイラン攻撃が起きました。「デモをやったのに」という思いはありますか。 ハナ 前回のデモでは「戦争反対」を訴えると同時に、米国やイスラエルの帝国主義・植民地主義にも反対しました。イスラエルがイランを攻撃したのは初めてではなかったので、世界がなんとなくイスラエルや米国を許すような状態でイランへの攻撃が始まったことは、正直あまり驚きではありません。「イスラエルは何をしてもいい」という状態になってしまっていると感じています。2年前からパレスチナ連帯のデモを続けてきて感じていることで、その歯止めが利かなくなっていることを本当に実感しています。 —ハナさんは大学院生とのことですが、大学の中や周囲の友人、知人との間で、イラン攻撃は話題になりますか。 ハナ 私は外国ルーツの友達が多いので、イランの情勢はいろいろなところに影響します。例えば、飛行機が急に欠航になってしまったりなどの影響が出ていて、友達と「不安だね」という話をします。イランの友達もいますし、周辺国のレバノンやシリア出身の友達もいます。周辺国でもイスラエルによる爆撃が続いていて、皆、家族を心配しています。 —今回のデモは、人が多かったと感じましたか。関心を持つ市民がかなり多く来た印象です。 ハナ いつもはそれほど人が集まらないのですが、前回(2月)のデモは50〜60人集まり、今回はもっと多く70〜80人と、かなりの人が来てくれました。つくばでは珍しい数だと思います。 —市民もそれだけイラン情勢に関心を持っているのだと思いますし、外国人や外国ルーツの人にとっては、他人事ではないのだと思います。 ハナ つくば市はとても国際的な都市で、外国ルーツの友達がいる人も多いし、外国ルーツの人自体も多い。イラン情勢もそうですが、米国やイスラエルに対する日本政府の外交的な姿勢について「どうなのかな」と疑問に思う人が多いのではないでしょうか。 2月の「戦争と差別もうたくさん!デモinつくば」では、戦争反対と同時に差別反対も掲げ、外国にルーツのある若者らを中心に集まった。今回の集会でも参加者から「差別反対」の声が上がった。 中でも、茨城県が今年度から実施予定の「通報報奨金制度」に対しハナさんは、同制度の撤回を求め、県に申し入れをした。非正規滞在の外国人を雇った事業主に関する情報提供者に報奨金1万円を支払う制度で、「自分のように外国人に見える日本人が普通に生きているだけでも、犯罪者のように扱われることがある」とハナさんは批判する。 身がすくむような感じ —茨城県の通報報奨金制度ですが、ハナさんは3月25日につくば市の市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」に同行して県庁を訪れ、同制度の撤回を求める申入書を提出し、県の担当者と面談しました。 ハナ 申し入れのとき県の担当者は、同制度が差別ではない理由を繰り返し説明しました。例えば「茨城県自体に外国人を通報する権限はない」「事業者に向けたものだから外国人差別ではない」などと繰り返し言いました。しかし通報(報奨金)制度を運用すれば、結局行き着くところは、働いている外国人に対し「在留カードを見せろ」と確認するしかない。いつでもそういう状況に追い込める権力を県が持っているということです。対象が事業者であっても、(外国人)差別であることは変わりません。 ただでさえ排外主義が高まっている社会で、普通に生きているだけでも外国人が犯罪者のように扱われることがあります。外国人だけでなく、外国人に見える私のような日本人も日々経験しています。それにお金をつけて推進していく制度は、差別でしかないと思います。 —県弁護士会が出した「通報報奨金制度は撤回すべき」という意見書に対し、大井川知事は4月2日の記者会見で強く反論していました。ハナさんから見ると「お金をつけて差別を推進する」ように映るわけですね。通報報奨金制度はまだ施行されず、通報するためのパソコンの通報システムを作っている最中といわれていますが、いつ出来上がるのかは不明です。県議会でも「虚偽通報があったらどうするのか」などの議論もありました。 ハナ 虚偽通報は怖いです。外国人が正しく働いているかどうかなんて、一般の人には基本的にわかりません。見た目でわかるわけではない。通報報奨金制度全体の予算は20万円と言っていましたが、そんな少額の予算でわざわざ報奨金を出すことに実効的な効果があるとは思えません。 —通報報奨金制度をあえてやるのは、大井川知事が「外国人に厳しく対応しています」とアピールしたいがためとしか思えませんが。 ハナ 外国人を捨て石にして、極右的な支持層の獲得を狙っているようにしか見えません。つくば市でも、外国人に対して差別的な主張を流す人たちが駅前などで行動しています。外国ルーツの身として、そういうのを見るたびに身がすくむような感じがします。そうしたすごく差別的な、外国人を「もの」としか見ていないような人たちに多くの票が入ってしまうのは、こんな国際的な都市でも起きるので、かなりショックです。 ハナさんたちは5月頃にも再びデモを行う予定という。詳しくはインスタグラム「palestine_day_tsukuba」または「moutakusandemotsukuba」で告知される。 (聞き手・崎山勝功)

開幕2連勝 つくばFCレディース

関東女子サッカーリーグ1部が開幕、つくばFCレディースは2連勝し、好スタートを切った。5日に今季開幕戦を神奈川大学(本拠地 横浜市)とアウェーで戦い4-2で勝利。12日の第2節はホームのセキショウチャレンジスタジアム(つくば市山木)に山梨学院大学(本拠地・甲府市)を迎え2-0で勝利した。 第32回関東女子サッカーリーグ1部 前期第2節(4月12日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 2-0 山梨学院大学前半2-0後半0-0 つくばは前半23分、MF穂谷颯季がボールを前へ送ろうとした相手DFに詰めてボールを奪い、間髪を入れずミドルシュートを放つ。ボールは前へ出ていた相手GKの手を弾き、ゴールポストを叩いてネットを揺らした。「次に相手がどういうプレーをするのか予測を持って守備に行くのが得意。一瞬のときをつかんでボールを奪い、何も迷わずゴールに行けたことは良かった」と穂谷の振り返り。 その後は早めのメンバー交代で守備陣形を整え、10分後の前半34分には追加点。ロングボールに穂谷が抜け出してコーナーキックを獲得し、MF打桐菜海が蹴ったボールのこぼれ球にMF高橋萌々香がいち早く駆け込み、左足のミドルシュートをゴール左隅に突き刺した。「こぼれ球がいいところに来たので迷わず振り抜いた。いいコースに飛んでよかった。今は点をしっかり決められていることが勝ちにつながっている。試合の流れとして課題はまだたくさんあるので、自分たちの目標に向かってしっかりやっていきたい」と高橋主将。 課題の一つが後半の戦い方。今節では後半に放ったシュートはわずか1本で、浴びたシュートは8本に及んだ。前節も前半は4点を奪いながら、後半は相手のキーマンをつぶし切れず、不要な2失点を喫してしまった。「2節目ということもあるしチームの練習は夜が中心なので、まだ昼間の戦いに体が慣れていない。このリーグの対戦相手はほとんどが高校や大学のチームで、ハードワークでは彼らの方に分があり、今後暑くなると体力的にもっと厳しくなる。チームとして意識的に取り組む必要がある」と志賀みう監督。 ロングボールの応酬から相手にセカンドボールを拾われ、押し込まれる時間が長くなったものの、守備を固めてゴールを一度も割らせなかったことは一つの成果といえる。負傷中のGK伊東美和に代わってゴールを守る鈴木那智の活躍も見逃せない。「前の選手が決めてくれたので、その分も後ろがしっかり守らなくてはという強い気持ちがあった。相手のロングシュートにも警戒を怠らず、上を狙ったボールも体格を生かしてしっかり止めることができた」と鈴木。 目標はなでしこ2部入替戦 昨季から継続の13人に新規加入の14人が加わり、選手層が厚くなるとともにレギュラー争いも厳しくなり、締まった雰囲気でトレーニングが行われているという。 「目標は9月末のなでしこリーグ2部入替戦。予選だけで4試合あり、レギュラーメンバー以外の誰が出ても遜色なく、むしろ強くなるくらいでないと勝ち進めない。選手の成長が非常に重要なポイントになるので、育成の部分には強くこだわって取り組みたい」と志賀監督は力を込める。 次節は19日、西東京市の早稲田大学東伏見グラウンドで早稲田大学と対戦する。(池田充雄)

満開の桜の下 東京で「百姓一揆」《邑から日本を見る》193

【コラム・先﨑千尋】「この閉塞状況を水戸の力で突き抜ける。あきらめず、新しい農村、農業を作っていこう!」。3月29日に東京都心で行われた「令和の百姓一揆」。トラクターと軽トラが出発する前に開かれた集会で、茨城県代表として発言した常陸農協の秋山豊組合長が檄(げき)を飛ばした。 昨年に続いての百姓一揆が北海道や沖縄など全国18カ所で開かれ、東京の会場となった青山公園には、トラクター7台と軽トラ21台、1200人の農家や消費者らが集まった。 山形県長井市で米を作っている令和の百姓一揆実行委員会の菅野芳秀代表は「昨年の百姓一揆から1年。状況は変わっていない。羊羹(ようかん)をスパッと切ったように日本から農民がいなくなり、食の供給がぷつんと切れる。そうなってから騒いでも遅い」と強調した。 集会では、トラクターと軽トラの参加者と、全国から集まった米生産者や酪農家、野菜農家、消費者が、農業では生活できない現状や国への要望、国産の米が食べたいのに高くて買えない、などとそれぞれの思いを訴えていた。 食料自給率は10%を切っている 東京大学の鈴木宣弘特任教授も会場に駆け付け、「食料自給率は38%と言われているが、肥料や種子、動物の飼料は大半が輸入だ。だから実質の自給率は10%を切っている。生産者はコスト高で辞めていき、消費者も所得が減って苦しい。農家への所得補償をすれば両者のギャップが埋まり、自給率も上がるのに、国はやらない。地域ごとに農作物をみんなで作ってみんなで食べる取り組みを進めよう。植えるか、飢えるかだ。各地にローカル自給圏を構築し、食と農の自立を広げていこう」と提案した。 午後4時に声援に送られてトラクターと軽トラが出発。1時間後、ほら貝の合図で、提灯(ちょうちん)やのぼり旗を掲げた人の行進が始まった。コースは、桜が満開の青山公園から表参道、原宿駅前を通って代々木公園までの約3.5キロ。 参加者は「国産の米や野菜を食べよう。農家に所得補償を。日本の農業を守ろう。未来の子どもに国産の農畜産物を残そう」などと訴えながら、ゆっくり行進した。道を歩く人たちからも注目を集め、拍手が起き、「ガンバレー」などの声援も飛んだ。スマートフォンで撮影する人の姿もあった。 令和の百姓一揆実行委員会は、農業、農村の衰退を止め、国産の食料を守ることを目的に全国各地の有志が立ち上がり、現在では26都道府県で実行委員会が結成されており、百姓の声を国民に伝える取り組みが行われている。農村では耕作放棄地が増え、山林も放置され、熊やイノシシなどが人家近くまで出没し、農村の衰退が進んでいる。一方では、スーパーの棚から米が消える「令和の米騒動」が起き、消費者の生活が苦しくなっている。こうした状況を打破しようというのが百姓一揆の狙いだ。(元瓜連町長)