新型コロナウイルスの感染拡大による県独自の緊急事態宣言について、大井川和彦知事は5日、当初期限の7日で解除せず、28日まで延長すると発表した。
引き続き県内全域で不要不急の外出自粛を要請するほか、県内すべての飲食店の営業時間を夜8時までとするよう要請する。時短営業の協力金として8日から28日まで、1日1店舗当たり4万円、最大84万円を支給する。
飲食店以外の事業者も影響を受けていることに対しては、県独自に支援する余力がないとして、6000万円まで無利子で融資を受けることができる新型コロナ対策融資など、現在ある支援策を活用してほしいとした。
従業員の賃金や休業手当てについては、正社員だけでなくパートやアルバイトも支援を受けられるとし、1日上限1万5000円の雇用調整助成金の活用を呼び掛けた。休業手当てが支払われない人には賃金の8割、1日上限1万1000円の支払いを受けることができる感染症対応休業支援金などの支援策があるとして、茨城労働局やハローワーク、専用コールセンター(0120-221-276)の活用を呼び掛けた。
学校には引き続き、部活動での他校との練習試合中止と合宿の中止を要請する。
公共施設は8日から再開
一方、1月18日から3週間閉鎖された公共施設は、感染対策を講じた上で、8日以降、順次再開するとした。県の宿泊施設も、国の緊急事態宣言地域からの来訪者を除いて8日から順次受け付けを開始する。
再開理由について大井川知事は「外出自粛の徹底をお願いする象徴的な形として図書館以外閉鎖したが、一方で県民サービスの低下につながった、感染症対策をきちんと行うのであれば、感染者を増やすことにつながらない。過剰なまでに厳しく全部シャットダウンしたので、感染対策が整った段階で解除していきたい」と話した。
順調なら25日ごろ解除基準達成も
緊急事態宣言延長の理由については、新規感染者数の数は低下傾向が見られるが、医療提供体制が改善していないため、改善するまで緩めないで継続するとした。
解除の基準としては①県内の1日の新規感染者数が60人以下となり、直近1週間の感染者数が前週より減少していること②稼働病床数が県全体185床以下となる、という二つの条件を示した。185床以下という数は、県全体のコロナ病床を410床として、通常の医療に影響を及ぼさない稼働数を基準に設定した。
その上で、「今の傾向が順調に進めば、25日ごろに184床近くにたどり着くと推計している」として、解除基準を満たせば、28日を待たず解除したいと述べた。
福祉施設従事者3万人に簡易抗原検査
一方、ここ1~2週間、高齢者施設で大きなクラスターが起きているとして、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、障害者支援施設、サービス付き高齢者向け住宅など県内すべての福祉施設の従事者、850施設の約3万人を対象に、抗原簡易キットによる検査を実施するとした。だ液をとり、15分程度で結果が出る簡易キットで、6日から申し込みを受け付ける。
全国で、自宅療養者が医療を受けられず、症状が急激に変化して治療が間に合わず死亡している事例が発生している問題に対しては、茨城県では原則、入院か宿泊施設への入所にするとした。自宅療養者はやむを得ないケースに限って認め、子どもがいて自宅を離れられない、認知症や精神疾患の状態などにより宿泊療養施設での療養が困難、本人が入所を拒否している、福祉施設内でクラスターが発生し施設内で療養できないなどのケースに限定するとした。
自宅療養者には、県庁に健康観察チームを立ち上げて集中管理する方式にするほか、血中酸素濃度を測定するパルスオキシメーターを貸し出したり、食料品を配送する体制をつくるとした。