【山崎実】県教育委員会は、江戸時代後期の土浦の町人学者、色川三中(みなか)関係史料10件22点を昨年12月28日付で県文化財に追加指定した。史料を所蔵する土浦市立博物館(同市中央)は5日から、22点をお披露目展示している。
色川三中(1801~55年)は土浦城下の商家に生まれ、薬種業(現在の薬局)や醤油醸造業を営んだ。国学研究にもいそしみ、文献考証や郷土研究の地方文化人としても知られる。
すでに2016年に、色川関係史料計500点が県指定文化財に指定されている。今回22点を追加指定したことで合計522点となる。いずれも、当時の社会の変化や庶民の心情などを伝える貴重な歴史資料となっている。
今回追加指定された22点は、幕末の黒船関係情報を記した三中直筆の手書きの原稿(草稿)や、三中や弟の美年(みとし)らの和歌を収録した和歌集、常総地域の故事や国学・国史・本草などに関する考証的草稿類。特筆すべきは、これまで欠本となっていた「片葉(かきは)雑記」2点、「野中廼清水(のなかのしみず)」1点、「足柄(あしがら)日記」3点が含まれていること。

「片葉雑記」は、幕末にペリーが黒船で来航し開国を迫った当時の社会情勢や幕府の対応などについて記した草稿で、三中は土浦に居ながら、旅人の情報を聞いたり、江戸にいる知人の手紙などの情報を収集して独自に調査し記した。
日米和親条約締結に至った、2度目のペリー来航の際に三中は、国学を学ぶ門人(弟子)2人を浦賀(神奈川県横須賀市)に派遣して、様々な調査をさせていたことも今回の史料で新たに判明した。
22点はいずれも、都内の古書店から2017年に色川三中関係史料が見つかったと同博物館に連絡があり、調査の上、同館が購入したもの。前の持ち主は不明という。
同博物館の木塚久仁子副館長は「当時、幕府は、米国から開国を求められていた情報を庶民に隠し、知ろうとした者は処罰されていた。三中は独自に情報を収集し、浦賀に門人を派遣して調査をさせ、これから日本はどうなっていくのかを読み解こうとした」とし、「茨城県の文化財に指定された貴重な史料をぜひご覧ください」と話している。
◆追加指定された22点は土浦市中央、市立博物館で3月14日まで公開される。同館の開館時間は午前9時から午後4時30分。月曜休館。入館料は大人105円、小中校生50円など。問い合わせは同館(電話029-824-2928。