【鈴木宏子】市民のボランティア活動や社会貢献活動を支援するつくば市市民活動センター(同市吾妻)の運営が、来年4月から市直営になる。今年7月、市が来年度から3年間の指定管理者を公募したところ、応募がなかったためだ。市は今年3月策定の未来構想(総合計画)第2期戦略プランで同センターをさらに充実させることを明記し、指定管理料を2割引き上げた矢先だった。
同センターは2001年11月にオープンした。当初の運営は市直営だったが、07年度からNPOつくば市民活動推進機構が指定管理者として管理運営を担い、13年度から8年間は現在のNPOスマイル・ステーション(松浦幹司代表)が運営している。現在の指定期間は来年3月末で終了する。
同センターは、年末年始を除き、土日も休むことなく午前10時から午後10時まで毎日開館し、市民活動の場を提供してきた。同NPOが市に提出した事業報告書によると、19年度は年間1万3795人が施設を利用した。施設の貸し出し以外に、自主事業として市内のさまざまな市民活動の情報を収集して発信したり、相談に乗ったり、市中心市街地のつくばセンター広場でイベントを開催したり、自主講座や交流会を開催するなどして市民活動を支えた。
特に相談件数は年間211件と多く、助成金、ホームページ作成、市民ビジネスなど他分野にわたった。
19年度の事業費は年間約1400万円。うち市からの指定管理料収入は約1200万円。自主事業収入は約110万円で、収支は赤字だった。
コロナ禍、自主財源確保厳しく
市市民活動課によると、来年度から3年間の指定管理者の公募の際、説明会には現在の指定管理者とは別の1団体が参加したが、応募はゼロだった。応募がなかった原因について同課は「コロナ禍で自主事業の財源確保が難しくなっている」と状況を話す。
再公募については「かなり増えてきている相談事業に対応できるNPOが想定できなかった」などとして、実施しなかった。
一方、20年度から5年間の第2期戦略プランは同センターについて「施設の提供や各種相談機能の充実を図る」「市民活動の情報提供や市民団体のネットワーク化を図る」などの目標を掲げ、来年4月からの指定管理料を、現在の年間約1200万円から約1400万円に引き上げて公募した。
来年度から市直営となった場合、現在のサービスは維持されるのか、事業費はどれだけ増えるのか。
同課は、来年度以降の事業内容や事業費の検討はこれからだとし「来年度(現在の指定管理者の同NPOが)どの程度協力してくれるのか、どういう事業を展開していけるか、検討したい」としている。
一方、2022年度以降も引き続き市直営とするか、指定管理者に戻すのかは現時点で未定という。
現在同センターを管理運営している同NPOの松浦代表は、来年度からの指定管理者に応募しなかった理由について「8年間、10人強で運営してきて、くたびれてしまったというのが正直なところ。指定管理者の応募がなく、逆に迷惑を掛けてしまった」とし、来年度以降について「(これまで実施してきた)自主事業の部分で引き続きお手伝いできれば」と話す。