【鈴木宏子】土浦市、安藤真理子市長の定例会見が27日、同市役所で開かれた。市役所で新型コロナウイルスのクラスターが発生したことに対し改めて謝罪し、「市役所は市民の安全と安心を守るため、感染対策の模範となるべき立場であるにもかかわらず、このような事態を招いてしまい深く反省している」「一部窓口閉鎖など市民に迷惑と心配を掛け、心からお詫びします」などと述べた。
同市役所では本庁舎職員約680人全員がPCR検査を受け、25日までに本庁職員20人と消防本部職員1人の計21人の職員の感染が確認されている。その後27日までの新たな感染者はいない。
会見では、なぜ市役所内で感染が広がったのかについて、一端が明かされた。6日に桜町の飲食店で計6人で会食後、最初に発症した職員は、翌7日から症状が出て、週明けの9~11日の3日間は勤務を休んだ。しかし熱はあったが症状が軽かったことから、12日に出勤してしまったことが感染拡大につながったという。この職員は翌13日に再び休み、14日にPCR検査を受けて15日、感染が分かった。12日の出勤については、課長もコロナかもしれないという疑いを持たず、出勤を承認してしまったという。
6日に一緒に会食をした別の課の職員も、症状があったことから9~11日の3日間休んだ。10日に掛かり付け医を受診したところ、季節性のかぜだと言われたことなどから、12日に出勤した。13日から再び休み、15日、PCR検査を受け、感染が分かった。
市では現在、市職員と産業医などで構成する安全衛生委員会が、感染が拡大した原因などを検証し、職員間の感染拡大防止策や職場の環境整備をなど改めて検討している。かぜの症状であってもコロナの疑いが少しでもあれば、所属長が勤務を承認しないなどの基準をとりまとめて、近く市長に提言する予定だという。
安藤市長は「会食した6人は(感染拡大防止策をとっている)アマビエちゃん登録店でなかった店に行ってしまった。これまで感染者が出ていなかったので緩みがあった。今回のことで市役所皆が危機感を持っている。この危機感をずっと持ち続けることが大事」だと話した。職員の感染が分かった16日、同市は市職員同士の会食自粛を要請していたが、27日からは当面の間、職員同士の会食を禁止するという。
一方、現在、窓口を閉鎖している4階はこれまで以上の感染対策を講じた上で、予定通り12月1日から開庁する方向。
市内は感染爆発懸念状況続く
安藤市長はさらに市内の状況について、市内では桜町1、2丁目、神立中央2丁目の飲食店のほか、障害者福祉施設などでクラスターが発生し、感染爆発が懸念される状況が続いているとした。
桜町1、2丁目の飲食店を対象に県が実施しているPCR集中検査は26日までに1058人が受け付けし、964人が検体を採取、26人が陽性で、938人が陰性だった。
桜町では接待を伴う飲食店で36店で構成する桜町飲食業振興協議会が17日から自主休業し、現在、自主休業している飲食店は50店以上に増えているという。
一方、障害者施設でクラスターが発生したなど市内で感染が急拡大している受けて、県は11月下旬から、高齢者と障害者が利用している同市内の福祉施設65カ所の従事者約1800人を対象に抗原検査を実施している。対象は特別養護老人ホーム20カ所、介護老人保健施設7カ所、有料老人ホーム14カ所、障害者支援施設4カ所、サービス付き高齢者向け住宅20カ所で働くスタッフらが対象。1日600件検査でき、結果も約1日で判明する。