任期満了に伴うつくば市長選は25日即日開票され、現職で2期目を目指した五十嵐立青氏(42)=無所属=が、自動車販売会社経営の富島純一氏(37)=同=、元研究者の酒井泉氏(71)=同=の新人2氏を破り、再選を果たした。当日有権者数は18万7565人。投票率は51.6%。
◆つくば市長選開票結果(選管確定)
当 67,933 五十嵐立青 42 無現
13,439 酒井 泉 71 無新
10,918 富島 純一 37 無新
五十嵐立青 42 市長 無現①
【略歴】筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。元いがらしコーチングオフィス代表。元NPOつくばアグリチャレンジ理事長。つくば市出身。梅園在住。
【公約】①市民無視から市民第一のつくば②こどもとママパパにもっとやさしい子育て環境③すべての人が自分らしく生きる社会
五十嵐氏は1期4年間の成果を強調し「誰一人とり残さないつくばを、共につくる」などと訴えた。選挙戦は、現職の強みを生かして市議会最大会派の応援や、主な業界団体の推薦を得て強固な体制を敷き、知名度で新人2氏を突き放した。
酒井氏は、告示の1週間前に急きょ出馬を表明。五十嵐氏の4年前の最大公約だった総合運動公園問題に的を絞って現職を真っ向から批判し「URに買い戻させて66億円を取り戻す」などと訴えた。地元の上境地区などの応援を得て浸透を図ったが、及ばなかった。
富島氏は、五十嵐氏の行政手腕を「結果を出していない」と批判し、自らの経営手腕を強調した。若手経営者グループなどの応援を得て後半、追い上げたが、出馬表明が2カ月前と出遅れたことが響き、知名度が浸透しきれなかった。
マニフェスト135項目を必ず実現
【五十嵐陣営】同市上横場の選挙事務所には午後8時過ぎから支持者が集まり、開票を待った。午後9時30分過ぎ、五十嵐氏が投票総数の過半数を超える5万票超を獲得した速報が伝えられると、大きな拍手と歓声がわき起こった。地元の国会議員や近隣首長らが祝福に駆け付けた。
五十嵐氏は「ここまで多くの票をいただけたことに責任の重さを痛感している」と述べ「約束した135項目の公約を前に進めるためロードマップをつくり、市民との対話を深め確実に政策を実現したい」と話した。課題となっている旧総合運動公園用地問題とつくばセンタービル改修問題については「新しい議員と協議し、市民との対話を通し進めていきたい」とし、特に総合運動公園問題を訴えて告示日の1週間前に出馬した酒井氏に1万3000票超が集まったことについて「酒井さんに投票した皆さんにもいい解決になったなと思えるようにしていきたい」と話した。
突き一本で勝つつもりだった
【酒井陣営】支援者は終始和やかな雰囲気で談笑していた酒井氏の元へ午後9時30分過ぎ、現職再選確実の報が飛び込む。事務局では支援者から「『負けは負け』だが、ギリギリで立候補をしてこれだけ得票できた」との声が飛んだ。
酒井氏は、支援者に頭を深く下げ敗戦の弁を述べた。「最後まであきらめず突き一本で勝つつもりだった。勝ち負けは度外視だったが負けは負けだ。今回、出馬しなければよかったとは一切考えていない。もし出馬をしていなければ、死ぬまで悔いが残ったに違いない。研究学園都市をこれまで作ってきた先人が見守ってくれていたという実感がある」と語り、これからもつくば市のブランドを成長させるための貢献をしていくと抱負を語った。
これから自分の生き方で恩返し
【富島陣営】午後8時過ぎ、同市稲荷前の選挙事務所には支持者が集まったが、1回目の開票で大差がついた。
富島氏は「短い期間でしたが応援してくれた皆様への感謝は忘れない。商売においても日本を良くしたいという気持ちでやっている。これからの自分の生き方で恩返ししていければと思っている。ただ、得票数においては、正直受け止めきれない。今後、この数字と向き合っていきたい」と敗戦の弁を語った。