【コラム・坂本栄】つくば市長選挙(10月25日投開票)が迫りました。市内に編集室を置く本サイトにとって市長選は最大のネタです。この5カ月の関連コラムとしては、「市長の退職金辞退に違和感」(10月5日)、「際立つ2候補の違い」(9月21日)、「市長の看板公約を検証」(8月17日)、「紙爆弾戦開始」(7月20日)、「市長選 2つの風景」(7月16日)、「市長選まで5カ月」(6月1日)―があります。青字部を押してのぞいてみてください。
立候補者は、現職の五十嵐立青さん(2月27日)、会社経営者の富島純一さん(8月31日)、元研究機関勤務の酒井泉さん(10月12日)の3人。各候補の出馬記事もクリックしてご覧ください。酒井さんは決断が遅れたこともあり、事実上、五十嵐vs.富島になりそうです。
五十嵐市政1期 合格点?落第点?
手元に五十嵐後援会・討議資料があります。地元記者クラブの横顔取材の際にもらったものですが、1期目の実績集(4年間の軌跡)です。内容は「徹底した行政改革」「安心の子育て」「頼れる福祉」「便利なインフラ」「活気ある地域」「誇れるまち」に分類され、全27施策に合格印☑が付いています。
選挙用ですから、全部「やった、やった」になっています。しかし、このリーフレットの中で、五十嵐さんが「9割以上の公約が達成もしくは順調に進んでいる」と自賛しているのを読み、強い違和感を覚えました。
というのは、市長1期目を優・良・可・不可で採点すると、私の判定は不可だからです。4年前、五十嵐さんの選挙キャンペーンの50~100パーセントが目玉公約「運動公園問題の完全解決」に注がれました。ところが、「市長の看板公約を検証」(8月17日)で指摘したように、この公約は完全未解決でした。エネルギーの過半を使って訴えた公約が実績ゼロ点ですから、他の公約が優・良・可であったとしても、総合点は不可(60点以下)=落第になります。
2度目の万博 大風呂敷?現実策?
横顔取材で配られた富島後援会の討議資料は公約集です。まず「長期ビジョン 科学万博をもう一度」と大風呂敷を広げ、主な公約として「スタジアムを整備」「市立高等学校を設置」「(6地区協議会に)学園地区とTX沿線地区を追加」「国・県・近隣自治体と連携」「中核市に移行して児童相談所・保健所を市が運営」の5施策を掲げています。
「2度目の万博」への想いを富島さんに聞くと、①2035年開催に向け教育・研究・産業などの基盤を整えるテコになる②万博を知らない若者に夢を持ってもらえる③万博報道によって新しいつくばを内外にPRできる④万博に向け国や県との関係を深められる―といった「効用」を期待しているそうです。
富島公約が面白いのは、万博と5つの主公約がリンクしていることです。万博をターゲットに、15年かけて研究学園都市を大リフォームする構想と言えるでしょう。 現職はその実績をあれこれ言われますが、夢を語れる挑戦者は楽しそうです。(経済ジャーナリスト)