【鈴木宏子】18日告示されたつくば市長選に立候補した3氏はそれぞれ、第1声を上げ、舌戦がスタートした。新人で自動車販売店などを経営する富島純一氏(37)=無所属=は午後1時からホテル駐車場で出陣式を開き「つくばを未来に向け明るいまちに変えていきたい」と訴えた。現職で2期目を目指す五十嵐立青氏(42)=同=は午後4時から選挙事務所前第一声を上げ「市民に寄り添う、誰一人とり残さないつくばをつくる」と訴えた。新人で元研究者の酒井泉氏(71)=同=は午前10時から旧総合運動公園問題用地がある大穂地区のスーパー前で街頭演説し「(元所有者の)URと交渉し総合運動公園の(購入金額の)66億円を取り戻す」と訴えた。
元事務次官「仕事に成果を出す男」
富島氏は午後1時から、同市小野崎のホテル駐車場で出陣式。09年に知事選に出馬した土浦市出身の小幡政人元国交省事務次官や岡田久司元市副市長、市議選に立候補している現職市議や新人市議らが応援に駆け付けた。小幡元事務次官は「(富島氏は)仕事に対して成果を出す男」などと強調した。岡田元副市長は「すい星のように現れたのが富島候補。夢を語り(五十嵐氏と)全然違う提案ができる」と話した。
これを受けて富島氏は「(五十嵐市政で)何か変わったという実感が得られたことが一つもない」と現職を批判。出馬を決意した経緯を「対抗馬がいない中、無投票で進んでいいのか、居ても立ってもいられない気持ちだった」と語った。科学万博をもう一度というスローガンを掲げたことについては「夢を語ることが大切。先輩たちと話をすると、科学万博の話になるとにこやかになる。科学万博に対しては今でも忘れられない熱い思いがある」とし「つくば市政を、未来に向け明るい街にしていきたい」と訴え支持を求めた。
「未熟だった」一期目の反省から切り出す
五十嵐氏は午後4時から上横場の選挙事務所で事務所前第一声。立憲民主党の青山大人衆院議員らのほか、県内20市町村を超える市町村長が顔をそろえた。地元からは鈴木将県議(自民)、山中たい子県議(共産)と、いずれも市議選に立候補している、最大会派の自民つくばクラブ、市民ネット、共産の現職ら13人が応援に駆け付けた。
五十嵐氏はまず、1期目に議会の賛成を得られず断念したクレオ再生と総合運動公園用地売却問題について「(当時は)いい計画だから分かってもらえて当然と思ったが、これこそが私の未熟さだったと理解した」と4年間の反省から切り出し「同じ過ちを繰り返すことなく、新しい議員と話し合いをし、地域の声を聞いて、経営的実現可能性を踏まえ、次期任期中に結論を出したい」などと支持を求めた。
その上で「一期4年間は市民無視の市政から市民第一の転換することに力を注いだ。流れを止めるわけにはいかない」とし「市民に寄り添う、誰一人とり残さないつくばをつくる」と訴えた。
「研究用地に戻せば66億円戻る」
酒井氏は、同市筑穂のスーパー前で第一声。(市長選には)三つの大きな論点があるとし、一つ目の総合運動公園問題は「66億円という財政負担を放っておけば大きなしわ寄せがくる。(五十嵐氏は)完全解決すると公約して市長になったがURと真剣に交渉してない。昨年8月には購入価格より26億円も安く売りに出そうとした」と現職を批判。「元々の研究用地に戻せば66億円が返ってくる。そうしなければ新しい研究所はつくば以外に行ってしまい、つくばの将来の発展可能性がなくなる」と強調した。
さらに30年来の町村合併の弊害として、市役所は管理職が肥大化しているとし「(市役所組織の)制度上の問題は一気に解決することが必要。その上で旧町村の企画部を旧庁舎に復活させ、任期6年の部長を配置」し、地域の問題を地域で解決する地域分権が必要だと訴えた。
その上で、総合運動公園用地の66億円の返還交渉については「利子返済期限の2024年3月までに支払うはめになったら責任をもって辞任する」と強調した。