金曜日, 7月 4, 2025
ホームつくば13人超の41人が届け出 つくば市議選告示

13人超の41人が届け出 つくば市議選告示

【鈴木宏子】任期満了に伴ってつくば市長選と同日の18日告示された同市議選(定数28人)には、定数より13人多い41人が立候補を届け出た。有権者数は18万7565人(17日現在)

内訳は現職が23人、新人が17人、元職が1人。政党別は自民11人、公明3人、共産3人、市民ネット4人、新社会1人、諸派1人、無所属18人。男女別は男性26人、女性15人。現職5人が引退する。

▷つくば市議選立候補者一覧 届け出順(氏名・敬称略、年齢、職業、政党・政治団体、現職・新人・元職の別・過去の当選回数)

五頭 泰誠(ごとう・やすまさ)52 つくば市産業育成協議会代表理事 自現②
【略歴】栃木県立小山高校卒。TOKYO自民党政経塾13期生。つくば秀英高校PTA会長。境町出身。吉瀬在住。

高野 文男(たかの・ふみお)57 損保代理店 無現①
【略歴】藤代高校卒。元牛久茎崎ライオンズクラブ会長。元県倫理法人会副事務長。つくば中央倫理法人会相談役。つくば市出身。上岩崎在住。

浜中 勝美(はまなか・かつみ)67 政党役員 公現③
【略歴】中央大学卒。党茨城第6支部副総支部長。つくば市出身。上郷在住。

鶴田真子美(つるた・まこみ)55 動物愛護団体理事長 無新
【略歴】東京外語大学大学院修了。武蔵野音楽大学講師。NHKイタリア語会話講師。動物愛護団体「認定NPO法人CAPIN」理事長。神戸市出身。二の宮在住。

仲村 健(なかむら・けん)38 大学院生 無新
【略歴】筑波大学大学院システム情報工学研究科修了。元NTT東日本社員。元筑波大学職員。筑波大学大学院博士後期課程。埼玉県所沢市出身。研究学園在住。

飯岡 宏之(いいおか・ひろゆき)68 会社員 無元⑤
【略歴】日本大学理工学部卒。元アイ・エヌ・エー筑波研究所勤務。飯岡建設営業。市こども会育成連合会会長。つくば市出身、上野在住。

加藤 純子(かとう・じゅんこ)72 無職 無新
【略歴】元婚活支援事業「ハッピーサークル」代表。元中高年男女の親睦支援事業「ゆうゆうクラブ」代表。小田自治会会長。つくば市出身。小田在住。

鈴木富士雄(すずき・ふじお)72 農業 自現⑥
【略歴】下妻一高卒。元市議会議長。全国芝生協会会長。土浦税務署管内納税貯蓄組合連合会筆頭副会長。つくば芝生事業協同組合顧問。つくば市出身。寺具在住。

皆川 幸枝(みながわ・ゆきえ)49 市議 市民ネット現②
【略歴】山形大学人文学部卒。元ソフトウエア開発会社勤務。元生活クラブ生協茨城理事。山形県南陽市出身。高崎在住。

山中 真弓(やまなか・まゆみ)42 党市委員 共現①
【略歴】茨城大学農学部卒、東京農工大学大学院連合農学研究科修了。元ツムラ勤務。現共産党つくば市委員会委員。栃木県市貝町出身。並木在住。

川久保皆実(かわくぼ・みなみ)34 弁護士 無新
【略歴】東京大学大学院法学政治学研究科修了。鳥飼総合法律事務所勤務。IT会社「リージット」代表取締役。IT会社「シンプルウェイ」取締役。つくば市出身。竹園在住

長塚 俊宏(ながつか・たかひろ)58 会社社長 自現①
【略歴】茨城高校卒。元土浦関東商事社長。県環境保全協会副理事長。学園関東サービス社長。つくば市出身。谷田部在住。

小村 政文(こむら・まさふみ)26 勝手につくば大使 無新
【略歴】筑波大学生物資源学類卒。情報サービス業「勝手につくば大使」。北海道網走市出身。花島新田在住。

川村 直子(かわむら・なおこ)48 市民ネット運営委員 市民ネット新
【略歴】日本福祉大学社会福祉学部卒。元日本聖公会名古屋学生青年センター主事。新潟市出身。花園在住。

藤岡 輝子(ふじおかてるこ)49 中国語通訳 自新
【略歴】水海道一高、中国・南京大学卒。元常総市議2期。ヤギ出張レンタル会社「山羊印本舗」経営。農産物直売所「七福交換の郷」経営。常総市出身。手代木在住

山本 美和(やまもと・みわ)50 政党役員 公現③
【略歴】創価大学卒。元松代小父母と教師の会会長。元手代木中PTA会長。元土浦一高PTA会長。市議会副議長。つくば中央ライオンズクラブむすび支部会長。東京都出身。松代在住。

神谷 大蔵(かみや・だいぞう)47 会社役員 自現②
【略歴】霞ケ浦高校卒。元つくば青年会議所理事長。市議会議長。つくば観光コンベンション協会副会長。つくばフェスティバル実行委員長。つくば市出身。沼田在住。

中村 重雄(なかむら・しげお)50 自営業 無新
【略歴】東洋大牛久高校卒。中村米穀店社長。元市消防団谷田部第一分団長。元谷田部中おやじの会会長。市商工会理事。内町評議委員会委員長。つくば市出身。谷田部在住。

木村 修寿(きむら・しゅうじ)66 元つくば市職員 無現②
【略歴】土浦日大高校卒。元谷田部町職員。元つくば市職員。市島名地区体育協会会長。市島名地区まちづくり協議会副会長。保護司。つくば市出身。島名在住。

小野 泰宏(おの・やすひろ)60 政党役員 公現⑤
【略歴】中央大学経済学部卒。元大曽根小PTA会長。元大穂中PTA会長。党つくば支部長。党茨城第6総支部長。くすのき会会長。常総市出身。花畑在住。

木村 清隆(きむら・きよたか)56 市議 無現②
【略歴】日本大学卒。元連合茨城副会長。元産別労組JAM茨城副委員長。国際IC日本協会理事。市立豊里中学校評議員。つくば市出身。上郷在住。

久保谷孝夫(くぼや・たかお)69 会社役員 自現⑨
【略歴】東洋大牛久高校卒。元久保谷商事役員。ミユキコーポレーション役員。つくば市出身。前野在住。

木村 芳美(きむら・よしみ)57 行政書士 無新
【略歴】吉沼中卒。石下高校中退。つくば市出身。西高野在住。

須藤 光明(すどう・みつあき)78 市議 自現⑤
【略歴】上郷高校卒。元市経済部長・企画部長。県つくば芝振興協議会会長。インプルーブファーム代表取締役。つくば市出身。吉沼在住。

黒田 健祐(くろだ・けんすけ)39 市議 自現②
【略歴】学習院大学文学部哲学科卒。元会社員。つくば青年会議所理事。つくば市出身。東平塚在住。

野友 翔太(のとも・しょうた)26 自営業 無新
【略歴】早稲田大学社会科学部卒。元会社員。システム企画・運用支援の自営業。稲敷市出身。研究学園在住。

塚本 洋二(つかもと・ようじ)48 会社顧問 自現③
【略歴】県立土浦産業技術専門学院卒。元大曽根タクシー整備管理者。信輝インターナショナル顧問。社会福祉法人博愛会理事。つくば市出身。花畑在住。

滝口 隆一(たきぐち・りゅういち)72 党市副委員長 共現⑨
【略歴】法政大学社会学部卒。元土浦信用金庫職員。元民青同盟茨城南部地区委員長。土浦市出身。栄在住。

宮本 達也(みやもと・たつや)48 宮本ファーム代表 無新
【略歴】谷田部高校卒。元市農業委員。つくば市谷田部農協理事。県猟友会谷田部支部事務局。つくば市出身、飯田在住。

小森谷佐弥香(こもりや・さやか)46 薬剤師 市民ネット現①
【略歴】富山医科薬科大学薬学部卒。元製薬会社MR勤務。薬剤師。前橋市出身。研究学園在住。

小久保貴史(こくぼ・たかし)47 農業生産法人代表 自現②
【略歴】八ケ岳中央農業実践大学校卒。元・小久保造園土木社長。元つくば青年会議所理事長。元筑波東中学校PTA会長。農業生産法人筑波農場代表。つくば市出身。小田在住。

ヘイズ ジョン 57 会社経営 無現③
【略歴】カナダ・リジャイナ大学卒、音楽教育学学士取得。元英会話教師。イマジネリク代表取締役。カナダ出身。二の宮在住。

浅野英公子(あさの・えくこ)59 市民ネット運営委員 市民ネット新
【略歴】東京外国語大学卒。元学習塾経営。元高校講師。元オーガニック検査員。富山市出身。吾妻在住。

下神納木加枝(しもこうのき・かえ)38 理学療法士 自新
【略歴】四條畷(しじょうなわて)学園短大卒。一般の病院で7年、動物病院で7年勤務。県理学療法士会理事。NPO法人HA-HA-HA理事。大阪府堺市出身。みどりの東在住

中山 道世(なかやま・みちよ)34 飲食店経営 無新
【略歴】藤代紫水高校卒。JTBトラベルカレッジ中退。中国上海で飲食店勤務。カクテル世界大会優勝。飲食店経営。つくば市出身。二の宮在住。

福田 恵(ふくだ・めぐみ)35 会社社長 政治団体「スーパークレイジー君」新
【略歴】東放学園高等専修学校卒。エステサロン「美肌コンシェルジュ」代表取締役。経営コンサルタント。阿見町出身。赤塚在住。

伊藤 栄(いとう・さかえ)56 行政書士 無新
【略歴】湘南高校卒。元陸上自衛隊勤務。行政書士伊藤栄事務所代表。山形県東根市出身。研究学園在住。

橋本 佳子(はしもと・けいこ)66 党県委員 共現⑤
【略歴】聖徳学園短大保育科卒。共産党茨城県委員。土浦市出身。自由ケ丘在住。

金子 和雄(かねこ・かずお)76 党県委員長 新社会 現⑨
【略歴】NHK学園卒。元竹内猛社会党衆院議員秘書。元県立土浦養護学校後援会会長。群馬県高崎市出身。下広岡在住。

塩田 尚(しおた・ひさし)70 行政書士 無現⑧
【略歴】神奈川大学法学部卒。行政書士。愛媛県四国中央市出身。真瀬在住。

田中 美華(たなか・みか)38 販売員 無新
【略歴】立正大学法学部卒。元飲食店店員。販売員。常総市出身。島名在住。

(18日午前11時現在)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

常総だから勝たなきゃではなく歴史つくるチームに 島田直也監督【高校野球展望’25】㊦

県内強豪校の名監督インタビュー最終回は、常総学院の島田直也監督。第107回高校野球選手権茨城大会開幕を控え、チームの仕上がりや手応えをお聞きした。 低めの投げ分けがうまい ―今年のチームについて教えてください。昨年と比較してどのような特徴を持っていますか? 島田 昨年は投手力、打撃力、守備力ともに個々の力が高かったのですが、今年は全体的に力が落ちます。投手も野手も、調子の良い選手を見極めながら起用しています。 ―投打の中心となる小澤頼人投手についてですが、秋は最速145キロをマークしながら、春は球速がやや落ちていた印象です。 島田 球速を求めすぎるとフォームが崩れ、コントロールが乱れてしまいます。春の大会ではその点を意識して、あえてコントロール重視で投げていたと思います。土台ができれば球速は自然と戻るもの。鋭いキレのあるボールを意識してほしいと伝えています。 ―春の大会ではインコースとアウトコースの投げ分けが非常に効果的に見えました。 島田 そこが彼の持ち味です。低めへの投げ分けが非常にうまい。関東大会では少し高めに浮いて打たれましたが、夏に向けては修正して臨みます。 ―打撃陣では佐藤剛希選手と柳光璃青選手が印象的でした。 島田 調子を落とした選手がいる中で、この2人がしっかりとカバーしてくれました。小澤と佐藤剛希は昨年メンバー入りしており、今年の中心選手です。柳光も力がありましたがけがでメンバー入りできず、今年こそはチームを引っ張ってくれると期待しています。 次の代のチームつくる難しさ実感 若手の育成と課題 ―春の県大会では1年生の出場も目立ちました。 島田 将来を見据えて、若い選手に経験を積ませました。上級生にも刺激になったと思います。 ―秋・春の戦いを経て見えてきた課題は? 島田 実力ある代の次にチームをつくる難しさを改めて実感しました。監督1年目だった「大川・秋本・田邊世代」のあとも、結果が出なかった。今回も似たような状況で、最初は秋に勝てる気がしませんでした。ですが、そこからチームがまとまり、秋に4強まで進出できたのは大きかったですね。 ―春は県大会3連覇を達成されました。 島田 3年生たちは1年時から優勝の景色しか見ていません。「3連覇を君たちの代で止めるのか」とプレッシャーをかけながら臨みました。達成できたことは大きな自信になると思います。 ―関東大会では東海大相模に大敗。受け止めを教えてください。 島田 強豪校との対戦で悔しさを経験できたことは、選手たちにとってプラスでした。練習に対する姿勢も変わってきたと感じています。 自分の強みアピールしていた ―夏の組み合わせ抽選についていかがですか。 島田 Aシードでしたので抽選はありませんでしたが、会場で結果を見ていて童心に戻りました。「さあ、やるぞ」と気持ちが引き締まりました。 ―これまで出会った指導者の中で、影響を受けた方はいますか? 島田 プロ4球団、独立リーグでも8年やってきましたが、特定の誰かというより、出会ってきた多くの指導者から良い部分を吸収してきたと感じています。 ―ご自身の高校時代を振り返って、どんな選手でしたか? 島田 「絶対負けない」という強い気持ちを持っていました。与えられたチャンスは必ずものにするつもりで、自分の強み(肩・足)をとにかくアピールしていました。 ―今の選手たちとの違いは? 島田 最近の選手は「どうしたら使ってもらえるか」を考える力が弱く、自主練でも好きなバッティングばかり。私は「守備や走塁、バントでベンチ入りできる」と伝えているのですが、なかなか行動に移す選手が少ない。逆に、過去には自己プロデュース力でベンチ入りをつかんだ選手もいました。社会に出ても大事な力ですので、今のうちから身につけてほしいです。 「常総学院の使命」転換点に ―常総学院は夏の甲子園から9年遠ざかっています。そのプレッシャーは? 島田 「常総は勝って当然」という空気が、選手にとってプレッシャーになっていると感じています。これまでは「気にするな」と言ってきましたが、今年は「楽しもう」という方向に意識を変えたいと思っています。 ―「楽しむ」とは、どのような意味ですか? 島田 緊張感の中での本気の楽しさです。その感覚があれば自然と力が出せると考えています。 ―センバツよりも「夏」にこだわりがあるということでしょうか。 島田 やはり「夏の常総」が周囲からの評価にも直結します。「甲子園で勝つ」ではなく、まずは「茨城を勝ち抜く」。そこに焦点を置いています。 ―最後に、今年のチームに期待することを教えてください。 島田 「常総だから勝たなきゃ」ではなく、「自分たちが歴史をつくる」という意識を持って戦ってほしいです。甲子園出場はゴールではなく、その過程で得る経験こそが大きな財産。今年は、常総学院としても大きな“転換点”になる予感がしています。 【取材後記】過去4年間、夏を前にしたタイミングで島田監督に話をうかがってきたが、今年のインタビューではこれまでと少し違う空気を感じた。かつては「今年こそ」という悲壮感がどこかに漂っていたが、今回はむしろ“開き直り”にも似た落ち着きと、確かな覚悟が伝わってきた。選手たちに求めるのは「結果」ではなく「本気の中で楽しむ」こと。そこに、勝ち負けを超えた野球の本質がある。名門・常総学院の重圧を背負いながらも、今あるチームの可能性を信じて進む監督の姿は、頼もしくもあり、まさに“歴史をつくる”旅の先頭に立つ存在だった。今年こそ、夏の常総に新たな物語が刻まれるかもしれない。その瞬間の目撃者でありたい。素直に、そう思わせてくれる取材だった。(伊達康) 終わり

世界が壊れた日 その1《看取り医者は見た!》42

【コラム・平野国美】私たちの社会には、「普通」という暗黙のルールがあります。「空気」を読み、周りに合わせることが求められ、そこから外れる人は「変わっている」「融通が利かない」と見なされがちです。しかし、もし社会の「普通」という前提自体が崩れ落ちてしまったら、一体何が起きるでしょうか。 2011年3月11日に起きた東日本大震災。被災地の町の図書館も例外ではなく、すさまじい揺れで本棚は倒れ、蔵書が床一面に散乱する光景が広がりました。翌朝、出勤したスタッフは言葉を失い、立ち尽くすばかりでした。「どこから手を付ければ…」。誰もが絶望と無力感にさいなまれ、思考を停止していたのです。 その時が止まったような空間に、カツ、カツと規則正しい足音が響きます。定刻通りに出勤してきたKさんです。彼は普段、「仕事は正確だが冗談が通じない」「空気が読めず人を戸惑わせる」と評される、少し不思議な存在でした。 この日も、Kさんはいつもと寸分違わぬ「いつも通り」でした。茫然(ぼうぜん)自失の同僚たちを一瞥(いちべつ)しただけで、散乱した本の山にまっすぐ向かいます。そして静かに一冊の本を拾うと、汚れを払い、記憶の中にある完璧な配置図通り、本来あるべき棚にそっと差し込みました。一冊、また一冊…。 Kさんは、目の前の惨状など存在しないかのように、淡々と本を元の場所に戻し続けます。周りの混乱した空気とは完全に異質なその姿。「空気を読まない」と評された彼の特性が、この極限状況において、誰にも真似できない「不動の精神」として静かな光を放ち始めた瞬間でした。その規則正しい作業は、まるで正確に時を刻む振り子のようでした。 不思議なことに、その姿を見ているうちに、パニックに陥っていたスタッフたちの心は少しずつ凪いでいきます。「…そうだ、こうしていても始まらない」。誰かがつぶやくと、1人、また1人と魔法が解けたように動き出し、Kさんの隣で本を拾い始めたのです。 Kさんの「いつも通り」が、崩壊した世界の中で、秩序を取り戻すための最初の歯車となりました。作業は1日中続きました。しかし夕方5時に終業チャイムが鳴ると、Kさんはぴたりと手を止めます。そして、まだ山のように残る本には目もくれず、「お先に失礼いたします」と一礼し、いつも通りの定時に帰って行ったのです。 輝いた「異質な人間の存在」 一見、奇妙に見える彼の行動。しかし、この一連の出来事は、私たちが当たり前だと思う「普通」や「協調性」という物差しを、根底から揺さぶるものでした。彼の行動の裏には、一体何があったのでしょうか。 この話の中にダイバーシティの概念があります。人間の集団の中には、気質や行動パターンに多様性が存在します。町の図書館の中にも異質な人間が存在したのです。同じタイプの人間ばかりでは、同じストレスがかけられた場合、その集団が全滅する可能性があります。Kさんの性格・特性は「いつも通り」でない世界で輝いたのです。(訪問診療医師)

東田旺洋、兵藤秋穂 両選手にエール 関彰商事 4日から日本陸上選手権

第109回日本陸上競技選手権が4日開幕するのを前に、関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長) 所属でいずれも筑波大出身の東田旺洋選手(29)と兵藤秋穂選手(26)の壮行会が3日、同社つくばオフィスで催され、社員約100人がエールを送った。 東田選手は男子4×100メートルリレーに、兵藤選手はやり投げに出場する。同選手権は6日まで国立競技場で開催され、9月に東京で開かれる2025世界陸上につながる重要な大会となる。 一生懸命走ることだけ 東田選手 東田選手は昨年開かれたパリ五輪に出場、今年4月にはアジア陸上競技選手権に出場した。昨年の日本選手権では2位になっている。奈良県出身、筑波大学卒、同大学院を修了し、関彰商事ではヒューマンケア部に所属する。自己ベストは100メートル10秒10。 「この1年で若い選手が台頭し、現在年間ランキングは国内10位なので、ともかく決勝に残ることが重要。準決勝に焦点を当てている。出来ることは一生懸命走ることだけ」と意気込みを話す。 自己新記録目指す 兵藤選手 兵藤選手は2023年、日本インカレ優勝。持ち味は、力強い振り切りと、そこから放たれる鋭く勢いのあるやりの飛行だ。宮城県出身、筑波大学卒、同大学院修了、関彰商事ではライフサイエンス事業企画室に所属する。やり投げの自己ベストは56メートル16。 「やり投げは北口榛花選手がオリンピックで金メダルをとったので、注目を集める種目となっている。昨年は12位に終わってしまって残念だった。今年は十分練習を積むことができたので、入賞と自己新記録を目指して頑張りたい」とコメントした。 壮行会で関社長は「社員一同が応援している。2人にはぜひ頑張って、9月に東京で開催される世界陸上に選ばれてほしい」と激励した。さらに同社所属の高橋理恵子選手がスウェーデン・マルモで開催されたゴールボールの大会で銀メダルをとったこと、同社野球部が天皇杯茨城県大会で決勝に進んだことなどの報告もあった。(榎田智司) ◆日本陸上競技選手権大会スケジュール▽4×100メートルリレー予選は4日午後3時35分~、準決勝は同午後8時25分~、決勝は5日午後6時30分~▽やり投げ決勝は4日午後5時35分~。

応援されるチーム、人の心動かす野球目指して 土浦日大 小菅監督【高校野球展望’25】㊥

第107回⾼校野球選⼿権茨城⼤会開幕まであと2日。大会を前に、強豪校の名監督インタビュー2回目は、土浦日大の小菅勲監督にお聞きした。 団子状態 ーチームの状況を教えてください。 小菅 正直に言えば、今の時点で完成度は高くありません。欠けている部分も多く、まだまだ課題の多いチームです。 ただ、高校野球は「発展途上人」の集まりです。大会に入ってから成長してくれればという期待がありますし、「これでいけるぞ」という手応えも少しずつ感じています。優勝には足りないピースもありますが、それを大会中に埋めていきたいと思っています。 ──茨城全体のレベルについて、今年は突出したチームがいないと思いますが。 小菅 その通りで、まさに「団子状態」です。だからこそどのチームにもチャンスがあるとも言えます。 完璧に抑えられた ー春に準々決勝で常総学院に3対7で敗れました。反省点や手応え、対策など教えてください。 小菅 まず良かった点は、前半が競り合いになったことです。打撃では事前に分析したデータに基づいて狙い打ちができていました。 一方で、守備は機動力を使われた際に対応できなかったことが反省点です。データに出ないような「余白の部分」への対応力も足りませんでした。ここをどうアプローチしていくかが課題ですね。 ー相手ピッチャーの小澤頼人投手は、対戦してみてどうでしたか? 小菅 手強いピッチャーでした。ゾーンにしっかり投げ込む力があり、変化球でもカウントが取れるタイプです。うちの打線も前半はよく対応していましたが、7回以降は完璧に抑えられてしまいました。そこをどう攻略するかが、今後の課題だと感じています。 素材的に差はない ─打撃陣の調子はいかがでしょうか。甲子園4強入りした2年前の世代と比べてどうでしょう。 小菅 素材的にそれほど差はありません。ただ2年前の世代は課題に向き合う姿勢や思考、行動が非常に優れていました。今年の選手たちはその点でややアプローチ不足があると感じています。 理想は「波状攻撃」ができる打線です。1、2番がダメでも3、4番が、そこがダメでも5、6番がカバーする。春の時点ではそこまでできていませんでしたが、今は徐々にその形に近づいてきています。 ─投手について教えてください。 小菅 エースは右腕の永井です。際立ったボールを投げるタイプではありませんが、「打たせて取る」ことを理解し、自分の投球スタイルを確立しつつあります。守備との信頼関係も生まれ、テンポ良く投げられるようになってきました。非常に頼もしい存在になりましたね。 徐々に自覚芽生え ─1年生は甲子園4強を見て進路を決めた世代ですね。入部希望者は増えましたか? 小菅 ありがたいことに問い合わせは例年の2倍ほどありました。やはり甲子園効果は大きいです。 ─甲子園4強世代はダブルキャプテン制でしたが、今年は? 小菅 今年は梶野悠仁がキャプテンです。新チーム発足時は別の選手に任せていたのですが、徐々に梶野の自覚が芽生えて言動がリーダーらしくなり、キャプテンを交代しました。年によって適した体制を選ぶようにしています。 負ける要因つぶすこと再認識 ─春の敗戦から、チームはどう変わりましたか? 小菅 春は「取れるアウトをしっかり取る」という基本が徹底できていませんでした。今はまずそれを完璧にしようと取り組んでいます。負けない野球をするには、まず「負ける要因」をつぶすことが大事だと再認識できました。守備への意識が大きく変わったと思います。また、常総に負けたことで「夏こそは」という雰囲気がより一層強くなりました。 OBの自己分析を共有 ──大学野球でOBが活躍していますね。 小菅 亜細亜大の芹澤優仁(4年)は東都大学リーグで首位打者とベストナイン。國學院大の藤本士生(2年)は防御率4位。法政大の小森勇凛(2年)は慶応大から初勝利。 そのほか、明治学院大の太刀川幸輝(2年)、常磐大の川井康晟(3年)もそれぞれのリーグで結果を残してくれています。芹澤と太刀川には、なぜ活躍できたか自己分析を5つずつ出してもらい、チームと共有しました。選手たちにも好評でした。 脚本家のように ─夏の大会の土浦日大の組み合わせゾーンは「死のゾーン」とも言われています。 小菅 まさに「一戦必勝」。厳しいゾーンですが、戦いながらチームは強くなっていくもの。決勝戦の頃にはまったく別のチームになっているはずです。 本番までに「負けにくい材料」をさらに整備し、仕上げていく。そして大会中も進化していく選手を見守っていく。監督として脚本家のように準備を進めていきます。 心ひきつける存在に ─最後に、応援してくれるファンや地域の方々、OBの皆さんにメッセージをお願いします。 小菅 選手たちには常に「人気のある選手であれ」と伝えています。ここで言う「人気」とは、人の心をひきつける存在であること。 ガッツあるプレー、笑顔、明るさ─選手それぞれの「自分らしさ」が人の気を引き寄せるのだと思います。感謝の念を持ちつつ、自分を押し殺さず、のびのびと自然体でプレーしてほしい。その姿が、きっと見る人の心を動かすはずです。 全力プレーで心を動かす試合を届けられるよう、「応援されるチーム」を目指していきます。高校野球ファンの皆さま、ぜひ球場に足を運んでいただき、熱い声援をよろしくお願いいたします。 【取材後記】春の敗戦を経て、どこか張りつめたような、それでいて希望に満ちた空気がチーム全体に漂っていたのが印象的だった。小菅監督の言葉は一つひとつに実感がこもっており、単なる反省ではなく、「何を得て、どう変わるか」にフォーカスが当たっていたことが、特に心に残った。「取れるアウトを確実に取る」─言葉にすれば当たり前のようだが、春にできなかったことを素直に認め、そこから逃げずに積み上げ直していく姿勢に、このチームの芯の強さを感じた。夏は“いける”、そう語る監督の眼差しはどこまでも冷静で、それでいてどこか楽しそうでもあった。 そして、今年のチームを語る上で欠かせないのが、キャプテン・梶野の存在だ。新チーム発足当初は目立たなかったという彼が、今では自然と声を上げ、チームを導く姿に変わったというエピソードは、まさに今のチームの成長そのものだろう。与えられた立場ではなく、自らの意思でリーダーシップを育ててきたその過程に、大きな可能性を感じた。 取材を終えて強く思ったのは、「このチームはまだ完成していない」ことこそが、最大の魅力なのだということ。大会を通してどのように進化していくのか──まさに“成長の物語”が始まろうとしている。その主役たちがどんな姿を見せてくれるのか、夏の開幕が今から楽しみでならない。(伊達康)