土曜日, 1月 23, 2021
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《吾妻カガミ》91 つくば市長の退職金辞退に違和感

【コラム・坂本栄】つくば市長2期目を目指す五十嵐さんが1期目の退職金2040万円を辞退、それを可能にする条例が9月18日に市議会で可決されました。法的な障害をクリアするために22円だけもらうそうですが、今回はこの退職金問題を取り上げます。というのは、美談風に報じられているこの件、「何か変だな」と思っているからです。

経緯や背景については、本サイトの記事「廃止を公約の退職金22円に つくば市長」(6月5日掲載)をご覧ください。ポイントは①市長は4年前の市長選で退職金廃止を公約②6月5日の記者会見で公約を果たすと言明③ただ制度上0円は難しいので最少額の22円を受け取ることにし、関連条例案を提出すると表明―です。

整理すると、前回市長選の公約「市長特権の退職金の廃止」を、今回市長選(10月25日)の4カ月半前に確認、そして市長選の1カ月ちょっと前に必要な手続きを終わらせ、公約の順守を市民に示した―といった流れになります。公約は選挙の肝(きも)ですから、五十嵐さんにとって、6~9月のこのプロセスは必要不可欠だったのでしょう。

仕事をうまくこなす自信がなかった?

しかし私は、退職金廃止という公約そのものに違和感を持っています。退職金はハードな仕事をこなす市長の報酬の一部ですから、大きな失政をしないことが前提にはなりますが、堂々と受け取るべきと考えているからです。それなのに、選挙で退職金廃止を公約したのは、市長の仕事をうまくこなす自信がなかったからでしょうか?

私は33年間、経済記者として企業経営を見てきました。さらに10年間、メディアの経営に携わっていたこともあり、「仕事の達成度とトップの報酬はリンクさせた方がよい」と考えています。そうしないと、トップのやる気が落ち、仕事の結果に対する言い訳を許すからです。企業の支出に占めるトップ報酬はわずかですから、ケチるよりはきちんと報いた方が全体としてプラスになります。

こういった観点からすると、報酬規定で約束された退職金の辞退を公約するのは何か変です。トップの職を引き受ける以上、むしろ、成果を約束して増額を求める方が自然ではないでしょうか。これとは真逆の廃止を公約したことが、不思議でなりません。

辞退の公約と順守は選挙にプラス?

想像するに、五十嵐さんは選挙での「受け」を意識して、2016年の市長選で市長退職金廃止を公約、20年の市長選を前に廃止公約を実行に移したのでしょう。廃止公約が市長選ではプラスに働き、公約を守らないとマイナスに作用すると判断したのだと思います。そう考えれば、私の「何か変」「不思議」は解けます。

つまり、多くの市民は<おカネに拘(こだわ)らない市長は好ましい人物>と思うだろう―五十嵐さんはこう読んだというのが私の見立てです。私の観点からすると、これはおかしな考え方です。(広島県の国会議員夫婦のように)おカネをばらまく行為も、(五十嵐さんのように)おカネを遠慮して市民受けを狙う行為も、政策を競う選挙本来の姿に反するからです。

1期目の「実績」を自賛する五十嵐さんは、退職金廃止公約を反故(ほご)にし、むしろ増額条例案を出したいと、胸を張るべきでした。(経済ジャーナリスト)

5 コメント

5 Comments
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匿名
3 months ago

任期満了日の給料が1円ならば、退職金は22円。
給料1円は、明らかに最低賃金法に違反します。
ちなみに茨城県の最低賃金は、時給851円です。
市長の雇用主である市民は、ブラック企業の悪徳経営者ということなのか。
その点、どうなんでしょうか。

匿名
3 months ago
返信する  匿名

市長は労働者ではありませんから、最低賃金法の適用外なので違反ではないですね。

匿名
3 months ago

市長退職金廃止の公約が素晴らしい公約だとは思わないし、退職金はきちんと働いた分だけ受け取ればいいと思います。
でも、公約にした以上、一応実現に近づけましたという点では別に文句を言うところではないと思います。

でも、このコラムの著者は現市長が嫌いで書いているのがありありとわかります。
「退職金廃止公約を反故(ほご)にし、むしろ増額条例案を出したいと、胸を張るべきでした。」なんて書いていますが、実際にそんなことをしたら今度は公約違反だと騒ぐのが目に見えています。
公約実現にケチを付けるより、もっと取り上げるべきことはないのでしょうか?

匿名係長
3 months ago

そもそも労働に対する対価である退職金に対して廃止して市民に寄り添うなどという安直な公約自体が間違いであり、それを真に受けて通した市民も同レベルと言わざるを得ない。

この記事も感情むき出しでどうかとは思うけど、4年もあったのに規定の改定にも着手せず、半年前になって「ルールで出来ませんでした」は流石に愚かでしょ?
 
ということで、愚かな公約を掲げた市長も、それを支持して当選させた市民も、そして公約をあたかも達成したかのように誤魔化す市長も、それを真に受けて「さすが!」とほめたたえる市民も、全てが愚かなつくば市だね。

匿名
3 months ago
返信する  匿名係長

市民まで愚かだと言われるとイラッとくる。

確かに市長の公約は論外だけど、廃止する!って言ってたんだからまさか規則も知らずに調べもせずにそんな公約掲げたとは思わないじゃん。

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