【鈴木宏子】災害時に、ホテルや旅館を避難所として活用しようと、つくば市は2日、県ホテル旅館生活衛生同業組合つくば支部(高橋栄支部長、市内29施設加盟)と災害時避難所提供協定を締結した。高齢者や障害者、妊婦などの要配慮者や、体調が悪い人、共同生活が困難な人などに優先して利用してもらう。
近年、災害が多発していることに加え、コロナ禍で避難所の3密を防ぐことが求められ、避難所を数多く確保しなければならないこと、本来、要配慮者が避難する民間の福祉施設など福祉避難所はコロナ禍で受け入れが難しくなることが想定されることなどから、市内のホテルや旅館で、宿泊や食事、入浴などを提供してもらえるようにする。
ホテルなどへの避難は、地域の小中学校や交流センターなど避難所に避難してきた住民の中から、市職員が、特段の配慮が必要な人を、空き室があるホテルなどに割り振る。自力でホテルなどに行けない避難者は、市が送迎する。
避難所となったホテルや旅館には市職員を派遣し、避難者の健康状態を確認などする。
滞在期間は、災害発生直後の短期間のほか、家屋が壊れて自宅に戻れないケースなど長期間の利用も想定している。宿泊費は食事代を含め1人1泊上限7000円程度を目安とし、費用は市が負担する。
同協定締結は水戸、ひたちなか市についで県内3市目。同組合に加盟する市内29カ所のホテルや旅館が協力するが、実際に何人程度が利用するかは未定という。
五十嵐立青市長は「3密を回避するためには公共施設だけでは限界がある。市民の安心にとっても大きい」と話し、同組合つくば支部の高橋支部長は「組合として、つくば市や住民のために協力させていただきたい」と話した。
市危機管理室によると、避難所で3密を避ける対策をとった場合、市内に112カ所ある避難所の定員は、従来の約1万5000人から6割減の約6000人程度になってしまうことから、今後さらに増やすことを検討していくとしている。