ホーム コラム 《雑記録》15 安倍長期政権 ついに限界辞任

《雑記録》15 安倍長期政権 ついに限界辞任

【コラム・瀧田薫】8月28日、安倍晋三首相が辞任の意向を表明した。第2次内閣発足(2012年12月26日)以降、首相在任日数は2800日を超えており、難病を抱えながら激務をこなしてきた首相の自己管理能力には敬服するが、それも限界にきたということだろう。自民党総裁の任期はまだ残り1年あるが、政治空白をつくるわけにはいかない。後任選びを急がねばなるまい。

辞任表明を受け、「突然のことで驚いている」とコメントする有力議員がほとんどだが、後釜首相候補者は活発に動きだしているし、新聞紙上でも「安倍長期政権の総括」が始まっている。

たとえば、政治学者・細谷雄一氏(8月25日付朝日新聞)は、「安倍首相の思想信条(戦後レジーム=戦後体制からの脱却)は、多くの国民の意識とはかけ離れていた。それが、第1次政権が短命に終った理由だ」とし、さらに「第2次安倍政権は先の失敗を教訓として、アベノミクス(実利の経済政策)を前面に押し出すと同時に集団的自衛権行使の一部容認に代表される保守重視のイメージ戦略を組み合わせた、この絶妙なバランス感覚が安倍長期政権を支えた」と指摘している。

安倍首相からすれば、レームダック(政治的影響力を失い、政権末期を指摘される首相や大統領)扱いをされることは不愉快なことだろう。しかし、もっと不愉快なのは「戦後体制からの脱却」が事実上失敗に終わったと指摘されたことだろう。

教育基本法の改正や集団的自衛権行使の一部容認など、一定の成果はあったとする与党内の見方もあるが、「この国を安倍首相の考える本道に戻す」という究極の目標からすれば、満足できる成果ではない。結局、安倍首相は、志半ばにして、失意のうちに第一線を退くこととなった。

トランプ依存外交は幕引き

さて、後継政権の政策課題はどうなるだろうか。イデオロギーについては「戦後体制からの脱却」という看板が継承される可能性は低い。しかし、世界情勢次第では、ナショナリズムへの対応が必要になるかも知れない。

安全保障政策については、安倍政権の敷いた路線が当面継承されるだろう。経済面では、アベノミクスの負の遺産(経済格差の拡大、財政規律の破綻と累積債務、地方の疲弊など)を抱えながら、人口減少と低成長、そしてコロナ禍という苦い現実に向き合わねばならない。

残念ながら、日本の技術競争力は、デジタル化に代表される構造改革についていけず、落ち込む一方である。日本の産業を支えてきた中小企業を支援し、これをベンチャー化するなど、新たな産業政策も必要だ。行政と国会の改革も待ったなしである。いわゆる「政治主導(安倍一強)」を見直すことになろう。

最後に外交面であるが、米大統領選挙の結果一つ、それで国際環境は激変する。これからは、米中対立の狭間で、日本外交の自主性とバランス感覚が問われるだろう。トランプ依存でやっていけた時代は、コロナウイルスの登場で潮目が変わり、安倍首相の退陣とともに幕引きとなりそうだ。(茨城キリスト教大学名誉教授)

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here

スポンサー

LATEST

9世帯の家主が意見交換 つくば「もん主の会」初会合

【鴨志田隆之】NPO法人つくば建築研究会(つくば市台町、小玉祐一郎理事長)が主催する第1回もん主の会が27日、つくば市大の塚本康彦さん宅で開かれ、長屋門への民泊機能を付加する「もん泊プロジェクト」の趣旨説明が行われた。会合には研究会の坊垣和明副理事長をはじめ、古民家研究の筑波大学・山本幸子准教授、オブザーバーとしてつくば市都市計画部・大塚賢太次長が出席。家主側では塚本さんほか市内在住の9世帯11人が参加した。 「もん泊プロジェクト」は、古い農家に点在する長屋門を利活用し、イベント会場としての提供や貸店舗展開などを経て、最終的に宿泊機能を実現させることが目的。坊垣副理事長は「関東地方の農家や商家独特の様式である長屋門を地域資源として活かし、文化交流や経済活動を掘り起こすことがねらい。つくば市内には217軒の長屋門が現存しており、江戸末期から大正時代の建築など幅広い歴史的価値が眠っている。これらを改修して維持・宿泊運営するためのビジネスモデルを模索中だが、まず家主の皆さんに主旨を理解していただき、賛同を得なくてはならないと考えている」と述べた。 長屋門の利活用について現状が語られた「もん主の会」 家主側からは現在の長屋門の維持状況がそれぞれ説明され、多くの建物が物置扱いであるか、老朽化が進み維持していくこと自体が負担になっている実態が紹介された。もともと古い建築である上、2011年3月の東日本大震災で大きなダメージを受けたことが老朽化を加速させているという。 「次の代に相続させるとしても、使い道の無い状態では税負担も馬鹿にならない」「土台をなんとか保たせ、何か良い活用のアイデアがないかと年月を消費している状況」といった声が出る中、塚本さんからは「一足飛びに問題が解決できるわけではない。もん主だけでなく、地域との相互理解も必要だと思う」との意見もみられた。 塚本さん宅の長屋門をモデルケースとして「もん泊仕様」に改修する準備を進めている研究会では今後、プロジェクトに参加している建築家や地元工務店の協力を経て、改修内容や費用概算を見積もることにしている。もん主の会については今後も機会を見て継続する考え。11月1日には市民シンポジウムも開き、ビジネスモデルとしてどんなケースが実現可能かなどの討論を行う予定だ。

天候不順にイノシシ被害、コロナ禍にもめげず 筑波山麓で稲刈り

【相澤冬樹】稲刈りシーズンも最終盤、つくば市神郡の「すそみの田んぼ」で26日、NPO法人つくば環境フォーラム(田中ひとみ代表)による体験学習会「谷津田と森のガイドツアー」が開かれ、市民参加の稲刈りが行われた。筑波山麓の山すそに開かれた田んぼは今年、天候不順やイノシシ被害に悩まされた上、コロナ禍から市民参加による活動もままならず、悪戦苦闘の中、収穫の秋(とき)を迎えた。 学習会で多様な生態系をアピールする田中代表=同 すそみの田んぼは「生きものと共存するコメ作り」を掲げ、同フォーラムが2006年から取り組んでいる谷津田再生事業。例年秋には多くの家族連れを集め、収穫祭を兼ねての体験学習会を開いてきたが、今回は新型コロナ対策から大人限定で呼びかけ、約10人の参加で行われた。 細草川上流の「田んぼ」には、ホタルやカエル、タガメなど水生生物をはじめとする生きものが多数生息する。乾田化することのない谷津田は、多様な生態系を維持する環境だが、大型の農業機械が入らず手間がかかるため、農業者の高齢化に伴い全国的には耕作放棄が広がっている。同フォーラムでは約0.8ヘクタールの田んぼを隣りの山林と合わせて借り、あぜ道を作り、耕起した上で、主に手植えや手刈りによる稲作を行ってきた。田んぼボランティアや田んぼオーナーなど市民参加で通年プログラムを運営している。 今季はコロナ禍で、5月上旬に行う田植えイベントから縮小を余儀なくされ、栽培スケジュールが間延びした。全面無農薬栽培による稲作を実現できたが、天候不順、特に7月の長雨、日照不足が生長に大きな影響をもたらした。稲穂の実入りが思わしくないという。 加えてイノシシの出没時期が例年より早まり、8月から活動が見られるようになった。山側からの進入に備えて鉄製のフェンスを張り巡らしたが、今季は川側から二度にわたり侵入された。特に古代米の被害は甚大という。台風の直撃がなかったことで、倒伏イネは少なかったが、天候不順とイノシシ被害から、「作況指数でいったら50に満たないのでは」(スタッフの永谷真一さん)という最悪の状況になった。

【気分爽快 りんりんロード】4 ヒルクライムに熱中 志賀旭さん

【田中めぐみ】筑波学院大3年の志賀旭さん(21)は、昨年4月、兄の大海(ひろみ)さんに誘われたのがきっかけでつくば霞ケ浦りんりんロードを走り始めた。休日の早朝、つくば市内の自宅から出発して土浦駅まで行き、りんりんロードに入って平沢官衙遺跡(つくば市平沢)まで走る。そこから、つくば市と石岡市の境にある標高294メートルの不動峠、筑波山南東の尾根に位置する標高412メートルの風返し峠、つつじが丘駐車場に上るヒルクライムコースが特にお薦めだそうだ。 坂を上りきる達成感 「ヒルクライムはとにかく体力勝負。余った体力を坂にぶつけている。頂上まで上り切った時の達成感が最高」と志賀さん。「ギアを軽くして上る人もいるが、自分は軽くせず、一度も止まらずに強い踏み込みで上っていく。動いている、確かに前進していると感じられるのがヒルクライムの楽しさ」と顔をほころばせる。 不動峠の平均勾配は7%。途中10%を超える急傾斜もある。風返し峠を過ぎると標高は500メートルになる。兄の大海さんと、どちらが早く着くか競い合うこともあるそうだ。 つつじケ丘駐車場から筑波山神社に向かいダウンヒルで下りてきた後、りんりんロード沿いの筑波休憩所近くにある「松屋製麺所」(つくば市沼田)で食べるラーメンは感動の味だそう。「サイクリスト向けに駐輪用の自転車スタンドが置いてあり、席数もメニューも少ないが、安くてめちゃくちゃおいしい」

観客席2倍、付帯施設も つくば市が陸上競技場たたき台

【鈴木宏子】陸上競技場の規模や立地場所などを改めて検討する、つくば市陸上競技場整備基本構想策定検討会議(座長・萩原武久つくば市スポーツ協会会長)の第2回会合が24日、同市役所で開かれ、事務局の市スポーツ振興課から施設規模のたたき台が示された。 上郷高校跡地を想定した昨年2月の案と比べ、観客席を2倍の4000席にするほか、付帯施設として雨天走路(室内走路)、多目的広場、セミナーハウスを整備する案が示された。 たたき台は、8レーン(直線は9レーン)の400メートルトラックを整備し、内側のインフィールドは天然芝とする、観客席はメーンスタンド2000席と芝生スタンド2000席の計4000席とするなど、日本陸上競技連盟の施設基準で第3種公認相当規模の整備をする。駐車場収容台数は400~500台程度とする。 一方、昨年の上郷高校跡地案は、トラック内側のインフィールドは人工芝、観客席は計2000席程度、駐車場台数は190台程度だった。 ほかに付帯施設として、3レーンの雨天走路を整備する案のほか、競技場の周囲に、出場選手がウオームアップできる多目的広場、市民が散策できるジョギングコース、遊戯空間を整備する案が出された。さらに会議室や研修室を備え、地元企業と連携した物販などもできるセミナーハウスなどの整備案も盛り込まれた。避難場所とし、防災備蓄倉庫の整備案も示された。市によると、全体面積や総事業費などは次回以降示すという。 委員からは、付帯施設について「サブトラック(多目的広場)を備えた競技場は大きな規模の競技会を誘致しやすい」「雨天走路がある競技場は少なく付加価値が高まる」など好意的に受け止める意見が相次いだ。
おすすめ