土曜日, 1月 23, 2021
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《続・平熱日記》67 ヘビのはなし 「ハミ酒」のことなど

【コラム・斉藤裕之】我が家の台所に「ハミ酒」と書かれたラベルの小さな小瓶がある。マムシの酒である。故郷ではマムシのことを「ハミ」という。恐らく「はむ」「噛(か)む」からきているのだと思う。このハミ酒は弟から譲り受けたもので飲むためのものではない。実は虫刺されの特効薬なのである。

1年前の実話である。長女の結婚式に出席するために弟夫婦が上京する前日。ほぼぽつんと一軒家の弟宅で、運の悪いことに嫁さんが黄色スズメバチに刺された。それも顔面。すぐに器具で毒を吸い取り、ハミ酒を塗ったそうな。普通に考えれば人前に出られないほどに腫(は)れ上がるはず。しかし次の日の結婚式にはそんなことがあった?というほどに腫れも引いた、晴れやかな笑顔で写真に納まっていたのだ。

八郷のお寺の裏山で薪割りの作業中にお茶を差し入れてくださる奥様が、母屋の玄関にマムシが入ってきて騒動になったという話をされたので、こんな逸話を披露した。

「というわけでとにかく、毛虫やなにかの正体不明の腫れ痒(かゆ)みには、迷わずこのハミ酒をちょちょっとつけると間違いなく治ります。だから今度マムシを見つけたら是非お酒につけて…」と奥様に勧めてはみたものの、自分でやるかと問われれば「否」。思えば奥様も尼僧であることを忘れて、殺生を勧めるとは実に罰当たりであったと少々反省した。

SNS書き込みの「蛇足」「やぶへび」

さて、いつの間にか本堂に足場が組んである。長雨で雨漏りがひどくなり、ついに瓦を葺(ふ)き替えるとのこと。お寺の屋根の曲線は球が転がるのが直線よりも速い。なんとか曲線でアールと物理の先生だかが言っていたのを思い出す。

かれこれ10年ほど前、藁(わら)葺き屋根に被せたトタン屋根の塗装を手伝ったことがある。古い民家の広くて急勾配の屋根の上での作業は想像以上に過酷で、半日も作業をすると足腰がやられる。おまけに船から降りても揺られているかのような錯覚に陥るのと一緒で、地上に降りると暫くは地面が傾いて感じられた。

前後して、隣にある納屋の解体を手伝っていた時のこと。てっぺんの棟のところの藁を外すと、大きなアオダイショウが巣を作って寝ていた。よく家の守り神だとか、寝ている時に梁(はり)から落ちてきたとか聞いたことはあったが、本当に居るのを見たときは感動さえ覚えた。

我が家にもヘビがいる。幼稚園児が作ったものだが、黄色の絵具で塗られたヘビは、見るからにお金を呼びそうな雰囲気を醸し出していたので、取り上げてアトリエの入り口のかもいに置いた。このヘビを作った子も今年で6年生。未だにヘビ様のご利益はない。

さて、そろそろSNSという道具もなんとなく使い方がわかってきた。ほとんどの書き込みは「蛇足」で、「やぶへび」にならないように熟慮すべきである。(画家)

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