【相澤冬樹】医療相談アプリ「LEBER(リーバー)」を運営するAGREE(アグリー、本社・つくば市、伊藤俊一郎社長)は19日、五十嵐立青つくば市長、小田川浩つくばみらい市長らの同席でオンライン記者会見を行い、両市の市立小中学校で導入された児童・生徒向け体温・体調管理ツールについて説明、学校版「新しい生活」の標準となるモデルをつくばから提示すると意気込んだ。
両市は6月8日からスマートフォンアプリ「LEBER」を利用して体温・体調管理ができる「LEBER フォースクール」を導入した。検温結果の記録と簡単な体調の報告をセットにするツールで、入力結果は自動的に学校に送信される。
アプリには毎朝、検温を促すプッシュ通知が送られ、入力を忘れることなく体温を計る習慣づけがなされる。保護者は、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症等の健康観察票」に準拠した、体調に関する簡単な質問への回答を加え、データを自動送信する。書類の記載や手渡しなく教育機関に伝わったデータはグラフ化などにより容易に管理でき、教職員の負担が大幅に軽減される仕組みだ。

「LEBER」は登録ユーザーがスマホを操作して医師と相談するアプリ。チャットスタイルの自動問診で、「痛い」「かゆい」などの症状を伝えると、これを見た医師から最速3分で回答が届き、最寄りの医療機関や適切な市販薬などがアドバイスされる。24時間365日相談できる。新型コロナの感染拡大を受け、病院での受診に悩む患者や家族からの利用が拡大、茨城県内では9月末まで無償提供されている。(4月9日付)
AGREEの伊藤社長によれば、医療相談に対応する医師数は270⼈以上まで確保されており、両⾃治体で約2万6000⼈に及ぶ児童・⽣徒の家庭による登録にも⼗分な体制が整っているとした。さらに7月には「健康予報」機能を備えたリニューアルバージョンの発表も予定しているという。
児童・生徒向け体温・体調管理ツール「LEBERフォースクール 」は滑り出したばかりで、つくば市の実績は未集計だが、つくばみらい市では約4600人いる児童・生徒の77%が登録を済ませた(15日現在)。小田川市長は小学生で42%、中学生で44%にとどまっている検温の実施率向上が課題と報告した。
五十嵐市長は、学校に通う自分の子供に検温結果を聞くのが「毎朝のコミュニケ―ションになった」と言い、withコロナ時代の「新しい生活」に安心・安全を担保できるツールとして世界中の都市に送り出したいと語った。
医療相談事業には医師登録を通じて筑波⼤学付属病院が協⼒を開始したことから、同大学の永田恭介学長も会見に参加。オープンイノベーションによる全学的な学際プロジェクトである「つくば未来都市プロジェクト」に、筑波大発ベンチャー事業であるLEBERを積極的に取り込んでいく姿勢を打ち出した。