【山口和紀】新型コロナウイルスの影響から生活に困った人に少額資金を貸し付ける緊急小口資金制度、つくば市では申請が3月下旬から始まり(4月14日付)、4月以降利用者が急増、5月は前月の2倍を超える勢いで増加していることが分かった。他方、つくば市の生活保護の相談・申請件数は微増に留まり、踏みとどまっていることもうかがわれた。
同制度は、20万円を限度に無利子で貸し付けを受けられるもので社会福祉協議会が実施している。新型コロナウイルス対応のため特例という形で、3月に利用条件が緩和された。同市社協によると、緊急小口資金の申請件数は、3月は11件、4月が128件、5月は15日までの半月で152件だった。条件緩和のため単純に比較することはできないが、昨年度の同市の申請件数は年間を通じて3件しかなかった。
緊急小口資金の利用が急増する一方で、生活保護は4月末時点で微増の傾向だ。同市によると、生活保護制度の申請件数は3月が16件(前年度平均比107%)で4月が17件(113%)だった。全国的には東京都23区や横浜市などで、生活保護の申請件数が増加していることが報道されている。
経営悪化、しわ寄せは従業員へも
つくば市の経済に及ぼした影響をみると、茨城県の緊急事態宣言発令は4月16日だったが、それ以前から経済への影響は深刻だった。市が市商工会員などを対象に、3月19日から4月3日に実施した新型コロナウイルスに関する影響調査によれば「売り上げが20~50%低下」した事業者が42%あった。感染が長期化すれば「従業員の解雇や廃業を検討する」との声もあった。
4月に入ってからは、初旬から市内の大型商業施設が休業した。筑波山の観光ホテルや旅館も4月初旬から休業状態となり、ゴールデンウイーク前の25日から5月17日まで筑波山の駐車場は封鎖された。市内の飲食店も軒並み休業や短縮営業を行った。