水曜日, 3月 18, 2026
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《ことばのおはなし》21 私のおはなし⑩

【コラム・山口絹記何度かの試行錯誤の末、娘と妻の名、短いメッセージを書くことができた。これが、私が書きたかったことばだ。時計を見ると朝の6時半だった。

まだ「あ」から順に五十音を口にすると、何故か、さ行までしか言えないし、2文字以上の漢字からなる単語は書けなかったりと問題は多い。それでも6時間前に比べたら見違えるような改善だ。

目が覚めて、またことばが話せなくなっていたら…。丸暗記でテストに臨む前夜のような不安にかられながら目を閉じると、カーテンが開いて妻が現れた。

(えぇ…こんな早い時間から面会できるの?)

少しでいいから寝たい。しかし、泣き腫らした顔の妻に、「眠い」とは言えない。もう話せるけれど、言えない。すっかり忘れていたが、昨夜の私は脳腫瘍の疑いと診断され、妻はその説明を受けてから帰ったに違いない。

メッセージを書いたメモを見せつつ、ぽつりぽつりと話をした。乳幼児は入室禁止らしく、娘とは会えない、ついでに朝食も出ない、とのこと。残念である。

9時になると、脳外科の医師がぞろぞろとカーテンを開けて入ってきた。「あれ、話せてるじゃない」などと話し声が聞こえる。今日の夕方、MRI(磁気共鳴画像)で精密検査をするらしい。11時になると看護師が身体をきれいにして、寝間着に着替えさせてくれた。やっと、入院患者らしい見た目になった。

昼食は魚のパン粉焼き。なかなか美味しい。まだうまく動かない右手でどうにか食べ終わり、やっと1人になって気絶するように眠りにつこうとしたところに、今度は母が現れた。母は私の顔を見て、一瞬泣きそうな顔をしたが、踏みとどまったようだ。

(ね、寝たい…)

精密検査の結果を説明される

その後も、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がかわるがわる病室を訪れ、休む時間もなかった。

結局1人になる時間はなく、夕方の精密検査の時間になる。ぐったりしながら車椅子に乗せられ、放射線室に連行される。点滴から、造影剤を入れているらしいが、もはやほとんど意識がない。左腕から上がってくる温かい感覚に途端に眠りに落ちる。気がつくと、再び車椅子に乗せられ廊下を進んでいた。爆睡している私を技師や看護士が車椅子に移してくれたのだろうか。申し訳ない。

HCU(高度治療室)から個室の部屋に移動になり、運ばれてきた夕食のカレーを食べながら、母と妻と話す。食事の量が足りない。あと、本が読みたい。

妻には、ありったけの食料と本を病室に持ってきてほしいと頼み、1人になってからは今日の記録をメモに残した。

翌朝。妻に持ってきてもらった、どんぶりいっぱいの手羽先とゆで卵、大量のお菓子が置かれた病室の机を挟んで、6名の医師から精密検査の結果を説明される。なんとなくシュールな絵面である。

昨日のMRIの結果、血管病変、腫瘍、感染症の原因のうち、血管の問題である可能性が高いらしい。再度検査が必要らしいが、「血管病変であれば、うちの病院は強いよ」と言いつつ、医師がニヤリとした。どこか楽しそうである。

ここで治療を受けよう。そう思った。-次回に続く-(言語研究者)

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葛城地区周辺11カ所440ヘクタールを区域指定 つくば市 住宅供給に期待

TX沿線開発地区周辺で初 つくば市は6日付で、つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の葛城地区周辺おおむね1キロの11カ所計440ヘクタールを区域指定した。同周辺地区は市街化を抑制する市街化調整区域のため、これまでは特定の要件を満たした土地所有者しか住宅を建てることができなかった。指定により、土地があればだれでも住宅などを建てることができるよう都市計画法上の位置づけを変えた。TX研究学園駅周辺の葛城地区(約484ヘクタール)に匹敵する面積となる。 同市がTX沿線開発地区周辺で区域指定を実施するのは葛城地区周辺が初めて。今後、他の沿線地区周辺でも区域指定を実施するかどうかについて、市開発指導課は、葛城地区の区域指定後の住宅の貼り付き状況などをみて検討したいとしている。 今回の区域指定によって建築できる建物の用途は住宅や店舗などで、高さは3階建てに相当する10メートルまでなど。11カ所440ヘクタールは現在すでに集落や住宅、店舗などが立地し、空き地や畑などが混在している。TX沿線は地価上昇が続いている中、今後は区域指定エリアの空き地などに住宅が建ち、より買い求めやすい住宅が供給されることが期待されている。 区域指定制度は、2000年の都市計画法改正で既存宅地制度廃止に伴って新たに設けられた制度。県内では猶予期間を経て06年に既存宅地制度が廃止され、つくば市では07年度から運用が始まった。運用開始に伴って同市は市内全域を調査し、①40戸以上の宅地が連続して建っている②市街化区域から概ね1キロの範囲内にある③人口が減少している集落内にある④宅地率が概ね40%以上である⑤道路や下水道が整備されているーなどの要件がある地区を対象に、これまで市内で計約1700ヘクタールを区域指定してきた。 一方、TX沿線開発地区についてはこれまで、区画整理事業が進んでいたことから区域指定から除外していた。葛城地区では2014年度に換地が実施され、18年度に区画整理事業が完了、現在、住宅が8割以上貼り付いていることなどから、「つくばに住みたいと思っても住めないという声を踏まえて」(市開発指導課)区域指定を実施した。 一方で、土地区画整理事業で開発された葛城地区は、道路や公園、公共施設や学校用地が確保されるなど公共投資により計画的なまちづくりが進められてきた。これに対し区域指定エリアへの新たな公共投資は予定されておらず、民間投資で開発を実施することになる。(鈴木宏子) 【訂正18日17時】第4段落、市内のこれまでの区域指定面積を1700ヘクタールに訂正しました。