月曜日, 4月 13, 2026
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《ことばのおはなし》21 私のおはなし⑩

【コラム・山口絹記何度かの試行錯誤の末、娘と妻の名、短いメッセージを書くことができた。これが、私が書きたかったことばだ。時計を見ると朝の6時半だった。

まだ「あ」から順に五十音を口にすると、何故か、さ行までしか言えないし、2文字以上の漢字からなる単語は書けなかったりと問題は多い。それでも6時間前に比べたら見違えるような改善だ。

目が覚めて、またことばが話せなくなっていたら…。丸暗記でテストに臨む前夜のような不安にかられながら目を閉じると、カーテンが開いて妻が現れた。

(えぇ…こんな早い時間から面会できるの?)

少しでいいから寝たい。しかし、泣き腫らした顔の妻に、「眠い」とは言えない。もう話せるけれど、言えない。すっかり忘れていたが、昨夜の私は脳腫瘍の疑いと診断され、妻はその説明を受けてから帰ったに違いない。

メッセージを書いたメモを見せつつ、ぽつりぽつりと話をした。乳幼児は入室禁止らしく、娘とは会えない、ついでに朝食も出ない、とのこと。残念である。

9時になると、脳外科の医師がぞろぞろとカーテンを開けて入ってきた。「あれ、話せてるじゃない」などと話し声が聞こえる。今日の夕方、MRI(磁気共鳴画像)で精密検査をするらしい。11時になると看護師が身体をきれいにして、寝間着に着替えさせてくれた。やっと、入院患者らしい見た目になった。

昼食は魚のパン粉焼き。なかなか美味しい。まだうまく動かない右手でどうにか食べ終わり、やっと1人になって気絶するように眠りにつこうとしたところに、今度は母が現れた。母は私の顔を見て、一瞬泣きそうな顔をしたが、踏みとどまったようだ。

(ね、寝たい…)

精密検査の結果を説明される

その後も、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がかわるがわる病室を訪れ、休む時間もなかった。

結局1人になる時間はなく、夕方の精密検査の時間になる。ぐったりしながら車椅子に乗せられ、放射線室に連行される。点滴から、造影剤を入れているらしいが、もはやほとんど意識がない。左腕から上がってくる温かい感覚に途端に眠りに落ちる。気がつくと、再び車椅子に乗せられ廊下を進んでいた。爆睡している私を技師や看護士が車椅子に移してくれたのだろうか。申し訳ない。

HCU(高度治療室)から個室の部屋に移動になり、運ばれてきた夕食のカレーを食べながら、母と妻と話す。食事の量が足りない。あと、本が読みたい。

妻には、ありったけの食料と本を病室に持ってきてほしいと頼み、1人になってからは今日の記録をメモに残した。

翌朝。妻に持ってきてもらった、どんぶりいっぱいの手羽先とゆで卵、大量のお菓子が置かれた病室の机を挟んで、6名の医師から精密検査の結果を説明される。なんとなくシュールな絵面である。

昨日のMRIの結果、血管病変、腫瘍、感染症の原因のうち、血管の問題である可能性が高いらしい。再度検査が必要らしいが、「血管病変であれば、うちの病院は強いよ」と言いつつ、医師がニヤリとした。どこか楽しそうである。

ここで治療を受けよう。そう思った。-次回に続く-(言語研究者)

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米国とイスラエルによるイラン爆撃に反対する「反戦デモinつくば イラン爆撃もうたくさん!」を呼び掛け、11日つくば駅前のつくばセンター広場で街頭集会を開催した。主催したのは、つくば市在住の大学院生、ハナさん(25)ら「戦争に反対するつくば市民の会」。2月21日にも同駅前で反戦と反差別を訴える「戦争と差別もうたくさん!デモinつくば」(2月22日付)を開催して以来2回目。呼び掛けはSNSで広まり、11日はつくば市内外の市民ら約80人が参加した。 ハナさんはナイジェリア人の父親と日本人の母親との間に生まれた。つくば市内の小中学校、高校を出て、都内の大学に進学。現在は都内の大学院に通う。外国人ルーツかつアフリカ系という2つの属性ゆえに、日常的に日本社会からの疎外感を感じていた。 小学生の頃に自分の似顔絵を描く授業があり、周りの同級生と同じ「肌色」(薄だいだい色)を使って描いたが「これは誰だろう」と納得がいかなかった。後に自分が感じた差別的な体験や生きづらさの原因が社会構造にあると考え「社会的な構造を変えるために、市民の声を聴かせる市民運動がすごく強い力になる」と思い至ったという。 大学生の頃から、アフリカ系の人々やアフリカにルーツを持つ若者たちの支援活動に参加。2年前からはつくば駅前で毎月1回ペースで、パレスチナ連帯を訴えるスタンディング活動を行っている。 11日の集会終了後、ハナさんに思いの丈を聞いた。話は戦争反対から差別反対まで及んだ。 何をしてもいいという状態 —前回の2月のデモから1週間足らずで(2月28日に)米国とイスラエルによるイラン攻撃が起きました。「デモをやったのに」という思いはありますか。 ハナ 前回のデモでは「戦争反対」を訴えると同時に、米国やイスラエルの帝国主義・植民地主義にも反対しました。イスラエルがイランを攻撃したのは初めてではなかったので、世界がなんとなくイスラエルや米国を許すような状態でイランへの攻撃が始まったことは、正直あまり驚きではありません。「イスラエルは何をしてもいい」という状態になってしまっていると感じています。2年前からパレスチナ連帯のデモを続けてきて感じていることで、その歯止めが利かなくなっていることを本当に実感しています。 —ハナさんは大学院生とのことですが、大学の中や周囲の友人、知人との間で、イラン攻撃は話題になりますか。 ハナ 私は外国ルーツの友達が多いので、イランの情勢はいろいろなところに影響します。例えば、飛行機が急に欠航になってしまったりなどの影響が出ていて、友達と「不安だね」という話をします。イランの友達もいますし、周辺国のレバノンやシリア出身の友達もいます。周辺国でもイスラエルによる爆撃が続いていて、皆、家族を心配しています。 —今回のデモは、人が多かったと感じましたか。関心を持つ市民がかなり多く来た印象です。 ハナ いつもはそれほど人が集まらないのですが、前回(2月)のデモは50〜60人集まり、今回はもっと多く70〜80人と、かなりの人が来てくれました。つくばでは珍しい数だと思います。 —市民もそれだけイラン情勢に関心を持っているのだと思いますし、外国人や外国ルーツの人にとっては、他人事ではないのだと思います。 ハナ つくば市はとても国際的な都市で、外国ルーツの友達がいる人も多いし、外国ルーツの人自体も多い。イラン情勢もそうですが、米国やイスラエルに対する日本政府の外交的な姿勢について「どうなのかな」と疑問に思う人が多いのではないでしょうか。 2月の「戦争と差別もうたくさん!デモinつくば」では、戦争反対と同時に差別反対も掲げ、外国にルーツのある若者らを中心に集まった。今回の集会でも参加者から「差別反対」の声が上がった。 中でも、茨城県が今年度から実施予定の「通報報奨金制度」に対しハナさんは、同制度の撤回を求め、県に申し入れをした。非正規滞在の外国人を雇った事業主に関する情報提供者に報奨金1万円を支払う制度で、「自分のように外国人に見える日本人が普通に生きているだけでも、犯罪者のように扱われることがある」とハナさんは批判する。 身がすくむような感じ —茨城県の通報報奨金制度ですが、ハナさんは3月25日につくば市の市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」に同行して県庁を訪れ、同制度の撤回を求める申入書を提出し、県の担当者と面談しました。 ハナ 申し入れのとき県の担当者は、同制度が差別ではない理由を繰り返し説明しました。例えば「茨城県自体に外国人を通報する権限はない」「事業者に向けたものだから外国人差別ではない」などと繰り返し言いました。しかし通報(報奨金)制度を運用すれば、結局行き着くところは、働いている外国人に対し「在留カードを見せろ」と確認するしかない。いつでもそういう状況に追い込める権力を県が持っているということです。対象が事業者であっても、(外国人)差別であることは変わりません。 ただでさえ排外主義が高まっている社会で、普通に生きているだけでも外国人が犯罪者のように扱われることがあります。外国人だけでなく、外国人に見える私のような日本人も日々経験しています。それにお金をつけて推進していく制度は、差別でしかないと思います。 —県弁護士会が出した「通報報奨金制度は撤回すべき」という意見書に対し、大井川知事は4月2日の記者会見で強く反論していました。ハナさんから見ると「お金をつけて差別を推進する」ように映るわけですね。通報報奨金制度はまだ施行されず、通報するためのパソコンの通報システムを作っている最中といわれていますが、いつ出来上がるのかは不明です。県議会でも「虚偽通報があったらどうするのか」などの議論もありました。 ハナ 虚偽通報は怖いです。外国人が正しく働いているかどうかなんて、一般の人には基本的にわかりません。見た目でわかるわけではない。通報報奨金制度全体の予算は20万円と言っていましたが、そんな少額の予算でわざわざ報奨金を出すことに実効的な効果があるとは思えません。 —通報報奨金制度をあえてやるのは、大井川知事が「外国人に厳しく対応しています」とアピールしたいがためとしか思えませんが。 ハナ 外国人を捨て石にして、極右的な支持層の獲得を狙っているようにしか見えません。つくば市でも、外国人に対して差別的な主張を流す人たちが駅前などで行動しています。外国ルーツの身として、そういうのを見るたびに身がすくむような感じがします。そうしたすごく差別的な、外国人を「もの」としか見ていないような人たちに多くの票が入ってしまうのは、こんな国際的な都市でも起きるので、かなりショックです。 ハナさんたちは5月頃にも再びデモを行う予定という。詳しくはインスタグラム「palestine_day_tsukuba」または「moutakusandemotsukuba」で告知される。 (聞き手・崎山勝功)

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