【鈴木宏子】住まいに困っている低所得者などに民間のアパートを紹介したり相談や見守りをする、つくば市の居住支援法人「LANS(ランズ=ライフ・アシスト・ネットワーク・サービス)」(浅井和幸代表)がこのほど、2軒目のシェアハウスを同市内にオープンした。
空き家だった6LDKの一戸建て住宅を活用した女性専用のシェアハウス(定員4人)で、緊急の住まいや一時的な避難所などとして運営する。住宅の所有者からLANSが賃貸し、県の補助金を受けて3月に開所した。現在20代と40代の女性2人が入居している。
交通事故きっかけ
このうち40代女性は4月初旬に入居したばかり。離婚し、つくば市内の実家に戻ったが、家族と折り合いが悪く、2年前に実家を出た。その後は仕事をしながらウイークリーマンションで暮らし、自立した生活を送った。
暗転したのは交通事故がきっかけだ。昨年の夏は、派遣社員として夜間に荷物の仕分けをする仕事に就いていた。自転車で出勤途中、信号機のある横断歩道で右折車にはねられ、けがを負った。軽傷だったため治ると仕事に復帰できたが、今度は胸の痛みを感じるようになった。病院に行ったところ、ろっ骨が折れていたことが分かり、医師からは安静にするよう言われた。なぜろっ骨が折れたのか、原因が分からないまま、荷物を運ぶ仕事が続けられなくなり、昨年10月、仕事を辞めた。
今年3月、家賃を払えなくなり、ウイークリーマンションを出た。その後、約2週間、県南のネットカフェを転々とした。
所持金が底を尽き、友人に相談。友人の付き添いでつくば市役所に相談に行き、市役所の紹介でLANSのシェアハウスに入居できた。
女性は「仕事を見つけて自立し、自分で部屋を借りられるようにしたい」と話す。
とにかく相談を
LANSは住宅セーフティネット法に基づく県内第1号の支援団体だ。精神保健福祉士で、引きこもりの若者の自立支援に取り組む浅井さんら3人が2018年7月に設立した。
住宅確保が難しい低所得者のほか、母子家庭やDV(配偶者や恋人からの暴力)被害者などに一時避難所や住まいを紹介したり、入居を拒まれがちな一人暮らしの高齢者や障害者に民間のアパートなどを紹介している。
18年7月につくば市内の空き家だった一戸建てを活用して1軒目のシェアハウスを開設した。これまで1年半の間に、自立を目指す引きこもりの若者、家賃が払えなくなった高齢者、母子など計7人が利用した。現在は男性3人が入居している。
浅井代表は「生活サイクルが悪化して住む場所を確保できなくなっている人は、とにかく相談してほしい。1人でも世帯でも対応できる。家賃を払えない場合でも、一緒に払える方法を探したい」と話す。
◆女性シェアハウスは家賃月3万円。入所者を支援するカンパや生活物資の寄付なども受け付けている。
◆LANSの問い合わせは電話080-1018-7670、メールはasai-kazu@sinri-soudan.com(いずれも浅井さん)。
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