市立図書館と市民ギャラリーを併設したアルカス土浦が27日、土浦駅西口前にオープンした。同日、市バリアフリー推進協議会委員を務める電動車いすの今福義明さん(58)と館内を回り、バリアフリー度をチェックした。今福さんは新図書館のデザインや配置に目を見張り「自治体のセールスポイントになるのではないか」などと話した。
今福さんは交通バリアフリーを求める市民団体「アクセスジャパン」代表で、全国各地を飛び回り、公共交通、公共施設などのバリアフリー度をチェックし提言している。土浦市の新図書館に対しては、市と障害者団体とのバリアフリー意見交換会などで、設計段階から当事者の立場で提言してきた。
同日、電動車いすで各階を回った今福さんは「デザインがすごくいい。どこにいても館内が見渡せ、堅苦しさがなくオープンな雰囲気」と高得点を付けた。「いろいろな高さやデザインのテーブルや椅子が配置されていて、余裕が感じられる。いろいろな視線が交差するデザインになっていて、ゆっくりできて落ち着く」と話し、「今風の図書館の機能とは何かということを再認識できる」と賛辞を贈った。
視覚障害者や聴覚障害者向けの読書機能が備えられているかを尋ねると、3階に案内された。点字図書コーナーはカウンター近くにあった。弱視者や色弱者向けの、本を読み取って文字を大きく映し出したり文字の背景の色を変える拡大読書器や、視覚障害者向けの対面朗読室を見せてもらった。拡大読書器や対面朗読室は今回、新たに導入されたという。今福さんは「バリアフリーの装置はそろっている」と納得していた。
課題も見つかった。1階と2階の多目的トイレは、出入口扉近くにオストメイト対応器具や洗面台が配置されているため、幅が狭い。トイレから出る際は開閉ボタンを押して扉を開けなくてはならないが、器具がじゃまになり、車いすではボタンに手が届かない。今福さんは常時携帯している自助具の棒で開閉ボタンを押し扉を開けることができた。「開閉ボタンの位置も少し高いのは」とも指摘した。
設計段階で開かれた意見交換会では、視覚障害者から、点字ブロックの動線や色について質問が出ていた。新図書館は点字ブロックや警告ブロックが館内をめぐっておらず、基本的に職員が案内する。今福さんは「使い勝手について、視覚障害者にも話を聞きたい」と話した。(鈴木宏子)