【山口和紀】新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受けて、つくば市は27日から、生活困窮世帯の子供を対象とする無料塾「青い羽根学習会」での食事提供を当面の間、中止することを決定した。利用している子供からは「家に帰ってもご飯はないと思う」という声が出ている。
市は生活困窮者自立支援法に基づき地域のNPOなどと協働で、青い羽根学習会を市内13カ所で実施しており、そのうち3カ所で食事の無料提供が行われている。しばらくの間、これら無料塾での「子ども食堂」は中止となる。市子ども未来室は「食事はウイルス感染のリスクが大きいため」だと説明する。ただし無料塾そのものは中止せず、マスクの着用や手洗いの徹底で対応してもらう方針だ。
ライフラインの児童・生徒少なくない
「『子ども食堂』がなければ今日の夜ご飯が無くなる子供もいる」と、無料塾を運営するNPO法人「居場所サポートクラブ ロベ」(つくば市島名)代表の森美智子さんは話す。無料塾に通う子供の1人は「子ども食堂が無くなると聞いてがっかり。今日は勉強する気が起きない。感染を防ぐためには仕方が無いとは思うが、お腹が減ったし、家に帰ってもご飯はないと思う」と話した。
ロべは運営する3カ所の無料塾のうち2カ所で塾の子供たちを対象に「子ども食堂」を行っている。小学生から高校生まで70人近くの児童・生徒が利用し、カレーライスやみそ汁、おにぎりなどのメニューを毎回提供していた。市の決定を受け、週に3日間実施していた「子ども食堂」を当面中止する。
ロべに対しては「感染リスクに配慮し、家でも食べられる既製品のパンを無償提供する」という企業からの声掛けも既にあったという。
森代表は「感染拡大を防ぐため中止の対応は妥当だと思うが、中止によって食べるものが無くなる子供がいることもまた事実」だと語る。子ども食堂がライフラインになっている児童・生徒の数は少なくないのが現状だ。
現場は難しい選択
無料塾「青い羽根学習会」の子ども食堂とは別に、市は民間団体が実施する子ども食堂「みんなの食堂」に対しても補助金を出している。みんなの食堂は昨年末時点で市内に6カ所あり、子供から高齢者までだれでも利用できる。みんなの食堂の新型コロナウイルスへの対応は各団体の判断に任されている。感染リスクと福祉的必要性を天秤にかけて、どちらを取るべきなのだろうか。現場は難しい選択を迫られている。
◆居場所サポートクラブ ロベは日頃から食べ物の寄付を募っている。コメや日持ちのする野菜などが必要。生鮮品は要相談。連絡先はafterschool.robe@gmail。
➡新型コロナウイルスの過去記事はこちら