日曜日, 11月 8, 2026
ホームつくば【どう考える?免許返納】12 返納者同士助け合う術を模索 つくば市茎崎の住宅団地

【どう考える?免許返納】12 返納者同士助け合う術を模索 つくば市茎崎の住宅団地

【橋立多美】入居者が一斉に高齢化しているつくば市茎崎地区の住宅団地住民が、市中心部へ向かうコミュニティバス「つくバス」の発着時間に合わせ、高齢者を自宅からバス停まで送迎する術を模索している。免許を返納した高齢者が運転できる送迎車があれば、シニアボランティアが団地ぐるみで送迎を担えるのではないかというアイデアだ。

片岡三郎さん=つくば市宝陽台

発案者は同市宝陽台に住む片岡三郎さん(76)。宝陽台は1978年に入居が始まった住宅団地で世帯数は約550世帯。入居から40年を経た今、夫婦だけの世帯か独居の高齢者が目立つ。65歳以上の高齢化率は同市で最も高い55%(4月1日現在)だ。

片岡さんは宝陽台自治会の街づくり委員として高齢者の交通アクセス問題に取り組んでいる。遠くの店や病院に行かざるを得ないのに、車しか手段がない。バス停までのスムーズな移動手段があれば、免許を返納した高齢者が引きこもりになるのを防げるのでは、と考えている。

団地内に牛久市のコミュニティバス「かっぱ号」のバス停が2カ所設置され、牛久駅までの足はある。しかし、市中心部に向かう「つくバス」のバス停までは距離があって高齢者には使いづらい。バス停から最も遠い街区だと、重い荷物を持った高齢者は10分近くかかるという。

考えた末の結論が「つくバス」の発着時間に合わせて自宅とバス停間に送迎車を走らせること。送迎車は運転免許がなくても運転できることが条件になる。今後、免許を返納する人がもっと増えても運行に支障がでないためだ。

情報を集める中で「グリーンスローモビリティ」と呼ばれる環境に配慮した移動手段を知った。ゴルフカートをベースとした電動車両で時速20キロ未満で公道を走り、乗員は4人以上。狭い路地も通行が可能で、国土交通省は公共交通から取り残された地域の新たなスタイルとして各地で実用化に向けた試験を進めている。

東京大学とヤマハ発動機が共同研究したスローモビリティ(ヤマハ発動機提供)

ところが、スローモビリティは免許保有者でなければ運転できないことが分かって断念した。現在は運転免許不要で歩道を通行できる1人乗り電動車両「シニアカー」(最高時速6キロ)を、2人乗りにできないかと思案する。「つくばには多くの研究機関がある。望みを託してみたい」と話す。

市や警察は着想に否定的

片岡さんは宝陽台独自の交通システムを考え始めてから市高齢福祉課やつくば中央警察署交通課に相談に行った。着想に否定的で、警察署では自動運転車を紹介された。「自動運転車の普及は2020年代以降。今の高齢者には間に合わない」と不満を募らせる。

また「移動する方法はゼロではないが、さまざまな規制があって自由度が低い」という。一例が「つくタク」だ。移動範囲が決められ1時間単位の予約で時間が読めないことから「行きはいいが帰りが怖い」と指摘する。

片岡さんは「誰もが余生は自由に送りたいと思うもの。好きな時に外出できるよう送迎を実現させたい。突破口は免許を返納した人が運転可能な車。諦めることなく模索していく」と揺るがない。(免許返納シリーズ 終わり)

➡【どう考える?免許返納】の過去記事はこちら

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