木曜日, 2月 19, 2026
ホームつくば【どう考える?免許返納】12 返納者同士助け合う術を模索 つくば市茎崎の住宅団地

【どう考える?免許返納】12 返納者同士助け合う術を模索 つくば市茎崎の住宅団地

【橋立多美】入居者が一斉に高齢化しているつくば市茎崎地区の住宅団地住民が、市中心部へ向かうコミュニティバス「つくバス」の発着時間に合わせ、高齢者を自宅からバス停まで送迎する術を模索している。免許を返納した高齢者が運転できる送迎車があれば、シニアボランティアが団地ぐるみで送迎を担えるのではないかというアイデアだ。

片岡三郎さん=つくば市宝陽台

発案者は同市宝陽台に住む片岡三郎さん(76)。宝陽台は1978年に入居が始まった住宅団地で世帯数は約550世帯。入居から40年を経た今、夫婦だけの世帯か独居の高齢者が目立つ。65歳以上の高齢化率は同市で最も高い55%(4月1日現在)だ。

片岡さんは宝陽台自治会の街づくり委員として高齢者の交通アクセス問題に取り組んでいる。遠くの店や病院に行かざるを得ないのに、車しか手段がない。バス停までのスムーズな移動手段があれば、免許を返納した高齢者が引きこもりになるのを防げるのでは、と考えている。

団地内に牛久市のコミュニティバス「かっぱ号」のバス停が2カ所設置され、牛久駅までの足はある。しかし、市中心部に向かう「つくバス」のバス停までは距離があって高齢者には使いづらい。バス停から最も遠い街区だと、重い荷物を持った高齢者は10分近くかかるという。

考えた末の結論が「つくバス」の発着時間に合わせて自宅とバス停間に送迎車を走らせること。送迎車は運転免許がなくても運転できることが条件になる。今後、免許を返納する人がもっと増えても運行に支障がでないためだ。

情報を集める中で「グリーンスローモビリティ」と呼ばれる環境に配慮した移動手段を知った。ゴルフカートをベースとした電動車両で時速20キロ未満で公道を走り、乗員は4人以上。狭い路地も通行が可能で、国土交通省は公共交通から取り残された地域の新たなスタイルとして各地で実用化に向けた試験を進めている。

東京大学とヤマハ発動機が共同研究したスローモビリティ(ヤマハ発動機提供)

ところが、スローモビリティは免許保有者でなければ運転できないことが分かって断念した。現在は運転免許不要で歩道を通行できる1人乗り電動車両「シニアカー」(最高時速6キロ)を、2人乗りにできないかと思案する。「つくばには多くの研究機関がある。望みを託してみたい」と話す。

市や警察は着想に否定的

片岡さんは宝陽台独自の交通システムを考え始めてから市高齢福祉課やつくば中央警察署交通課に相談に行った。着想に否定的で、警察署では自動運転車を紹介された。「自動運転車の普及は2020年代以降。今の高齢者には間に合わない」と不満を募らせる。

また「移動する方法はゼロではないが、さまざまな規制があって自由度が低い」という。一例が「つくタク」だ。移動範囲が決められ1時間単位の予約で時間が読めないことから「行きはいいが帰りが怖い」と指摘する。

片岡さんは「誰もが余生は自由に送りたいと思うもの。好きな時に外出できるよう送迎を実現させたい。突破口は免許を返納した人が運転可能な車。諦めることなく模索していく」と揺るがない。(免許返納シリーズ 終わり)

➡【どう考える?免許返納】の過去記事はこちら

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つくば駅前の樓外樓学園本店《ご飯は世界を救う》71

【コラム・川浪せつ子】樓外樓(ろうがいろう)学園本店(つくば市吾妻)は、つくば駅前の商業施設「トナリエつくばスクエア」にある中華料理店です。かなり前、ここで開かれた立食パーティーに参加したことがありました。立体駐車場横にあり、ランチの看板が出ていますが、宴会中心のお店と思っていましたので、入ったことはありませんでした。 私、茨城県建築士会・女性部の新年会幹事になり、みなさんが集まれる場所を、昨年秋から探し回っていました。ところが、昨今の食料品の値上がりで、予定額に見合うようなお店がなかなか見つかりません。女性ばかりの会なので、「デザートとお茶、頼むよ!」との要望に応えてくれるお店を見つけるのは難しいのです。 いろいろなお店に電話して訪問。私たちの予算では無理だわ~と思っていたところ、たどり着いたのが樓外樓さんでした。12月初めに皆さんに連絡する必要があるので、下見をする時間もなく、とりあえず11月に日程を押えました。 それでも少し心配になって、ランチに行ってみました。そうしたら、お手ごろ価格! それに、上のイラストのようなバリエーションに富んだメニュー。私は「小龍包セット」を頼んだのですが、焼きそば、スープ、サラダ、コーヒーなどが、食べ・飲み放題。ほかに、ポット入りの温かいウーロン茶や杏仁豆腐まで。 餃子と小龍包、夫とシェアできず 皿数が多いと、食べる前に線でスケッチするのには、とても時間がかかるのです。スケッチブックに全部収まるかなぁ~。やっと、どうにか描けました。それに、描き終えてから気がついたのですが、こんなことに…。 餃子定食を頼んだ連れ合いと、私の小龍包と一個ずつシェアすることにしていたのに、餃子は1個も残っていません! 私が絵を描くのに時間がかかり過ぎ、つい食べてしまったようでした。あらら…。 肝心の新年会は、お部屋も取れて、皆さんに好評でした。予定人数が少し増えるとか、デザートの追加注文もあり、お店に何度も連絡することになりましたが、とても気持ちよく対応していただきました。食べられなかった餃子、またの機会に注文しようかなと思っています。(イラストレーター)

12本中半数に空洞 ソメイヨシノ6本を伐採 つくば 桜の名所 農林さくら通り

森林総合研究所第2樹木園 つくば市の桜の名所、同市観音台、農林さくら通りで16、17日の2日間、森林総合研究所第2樹木園の敷地内に植栽されているソメイヨシノ12本のうち6本の伐採作業が実施されている。12本の幹の内部などを調べたところ、空洞があり、倒伏の恐れがあることが分かったためだ。 伐採後は土壌改良し、早くて来春、八重咲きのサクラ「はるか」と野生種の新種「クマノザクラ」を植栽する予定だ。はるかは同研究所が開発し、俳優の綾瀬はるかさんが命名した。クマノザクラは同研究所などが紀伊半島で発見し2018年に命名された。 50年前に植栽 農林さくら通りは、農林関係の国立系研究機関が集積する約1.5キロの通り。通り沿いに約500本の桜が植栽され、各研究所が管理している。戦時中、谷田部海軍航空隊の飛行場跡だったところで、戦後、開拓地となり、その後、筑波研究学園都市の一角として農林研究団地が造成された。桜は約50年前の1975年ごろに植栽されたと見られている。同研究所第2樹木園は、筑波学園病院から常磐車道に架かる橋を渡ってすぐの、さくら通り入り口に位置する。 同研究所の佐藤保企画部長によると、さくら通り沿いの第2樹木園にはもともと13本のソメイヨシノが植えられていた。桜が散った後の昨年4月、そのうちの1本が2車線のうち片側1車線をふさぐように道路側に倒伏した。朝、出勤した職員が発見、倒伏した時刻は深夜か早朝だったとみられ、幸いけが人はなかった。 同研究所は、残りの12本に倒伏の恐れがないか調査。森林微生物が専門の研究者が目視と特別な機器で樹木の健全性を調査した結果、12本中6本に空洞があることが分かり伐採を決めた。近年、全国各地で落枝や倒木による人身事故が多発しているほか、ソメイヨシノは樹齢50年ほどを過ぎると枯れ枝が目立つようになるという。一方、昨年4月に倒伏した1本は、幹の空洞が原因ではなく根の一部が腐っていた。当日吹いた強風により根が地上部を支えられなくなったと考えられるという。 伐採する6本はいずれも幹の直径が70センチ程度、高さは10~12メートル程度で、歩道を覆うように桜の枝が伸び、桜の名所の一角を形成していた。 来春以降、植栽する桜は現在、同研究所の多摩森林科学園で育てられている。佐藤部長によると、花を咲かせるのは植栽してから3~4年後、桜並木を形成する大きさに成長するのは10~20年先になるという。(鈴木宏子)

思いやりのデザイン《デザインを考える》29

【コラム・三橋俊雄】昨年の春のことです。UR住宅で一人暮らしをされている97歳のMさんが、ビルの出入口前にある2段の階段でつまずき、仰向けに倒れて頭を少し打ってしまいました。ちょうど近くの遊び場にいた女の子たちがその様子に気づき、そのうちの1人がスマートフォンで救急車を呼んでくれたそうです。ところが、Mさんが「救急車を呼んじゃったの!」と言ったためか、その子は姿を消してしまったとのことでした。幸い、Mさんは病院で手当てを受け、その日のうちに無事に帰宅することができました。 翌日、この話をMさんから伺った私は、救急車を呼んでくれた子どもたちの気持ちがどうだったのか、心にひっかかりました。善意から行動してくれた子どもたちが、Mさんの一言によって「迷惑だったのかもしれない」と感じ取ってしまったのではないかと思うと、そのときの出来事が子どもたちの心に残ってしまいそうで気がかりだったのです。 そこで私はMさんと相談し、「救急車を呼んでくれてありがとう。私が階段で倒れていたところを、みなさんが心配して救急車を呼んでくれました。おかげさまで、病院で頭の傷の手当てを受け、その日のうちに退院できました。みなさんのおかげです。ありがとう! 97歳のおばあちゃんより」と書いた手紙を作り、遊び場にある滑り台の脇に貼りました。 次の朝に見に行くと、その手紙の下に「無事退院できてよかったです。お体に気をつけてください! by 中1の7人より」という小さな書き込みが添えられていました(上の写真)。それを目にしたとき、私は、子どもたちの善意とMさんの気持ちが、ようやくひとつにつながったように感じました。それは、小さな「思いやり」が確かに行き交った瞬間でした。 「お礼」でなく「手立て」 この出来事を振り返ると、親切心から行動した子どもたちでしたが、Mさんの一言によって、かえって不安を抱くことになったと感じたとき、私たちはどうしたらよいのか。ここでは、こどもたちが誰なのかも分からない状況のなかで、子どもたちとMさんの気持ちがもう一度寄り添えるようにと、手紙というかたちで「ありがとう」を伝えることにしたのです。 子どもたちへの手紙は単なる「お礼」ではなく、状況をより良い方向へ導くための小さな「手立て」だったと思います。途切れかけた人と人との関係を、もう一度そっとつなぎ合わせるための「きっかけ」でありました。 こうした行動こそ、小さな問題に気づき、状況を読み取り、より良い関係へとつなぎ直していく、そして素敵なコミュニティにしていくための「思いやりのデザイン」だったと感じています。(ソーシャルデザイナー)