土曜日, 2月 7, 2026
ホームつくば原発事故を超えて つくばの原木シイタケ生産者 全国サミット開催へ奔走

原発事故を超えて つくばの原木シイタケ生産者 全国サミット開催へ奔走

【相澤冬樹】茨城県の原木シイタケ生産量は2016年に401.6トン、福島第一原発事故後の出荷制限・自粛下にありながら静岡、鹿児島、群馬に次ぐ第4位となったことはあまり知られていない。さらに年間150トンを出荷するという生産者がつくば市にいることはもっと知られていない。「おそらく日本一のはず」と胸を張るのは、なかのきのこ園(つくば市中野、飯泉厚彦社長)の創業者、飯泉孝司さん(71)。事業を子息に任せ、自身は全国の生産者らに参集を呼び掛けて、8月につくばで「原木しいたけサミット」を開催すべく東奔西走の日々を送っている。

県内19市町で続く出荷規制

2011年東日本大震災時の原発事故に伴う放射性物質の影響により、県内産原木シイタケは大打撃を受けた。19市町で出荷制限・自粛の規制がかかり、10市町村で一部解除になったものの、現在も19市町すべてで継続中だ。「規制と風評被害に耐えかねて廃業してしまったものも多く、生産者が再出荷に向け線量検査など申請手続きを行わなければ出荷規制だけが残ることになる」(飯泉さん)。事故当時県内に約500人いた原木シイタケ生産者は150人ほどになった。

被ばく線量の基準値を下回ったつくば市は規制の対象から外れたものの、飯泉さんは原木のホダ木約200万円分を廃棄処分にした。このため丸1年、生産できない時期が続いたが、再開には次のハードルが待ち受けていた。原木の高騰である。

きのこ園では原木にコナラとクヌギを用いているが、つくば周辺の生産者5人で共同購入グループを組んで、調達先を福島・阿武隈山地に確保していた。1本の木からホダ木7本が取れる。グループの年間使用量40万本のためには1ヘクタール約7000本として、60ヘクタール分が必要。植林から伐採まで約20年かかるのを見込み、1200ヘクタールもの広さを手当てしていた。福島県内の、その調達先が消えた。

当座は在庫でしのぎつつ、長野県産に切り替えるなどの措置をとった。7センチ径で長さ70センチの原木1本が事故前は200円だったのが、今は倍の400円以上している。東電の震災復興基金からの助成が入るが、これも19年度までで打ち切りとなる。この先原木調達が生産コストを押し上げるのは必至だ。

「今後の活路見出す」

川上に自前の原木調達先を持たず、川下に安定した流通経路を確保していない産地には苦境が待ち受けている。飯泉さんは、生産、販売に関わる課題と情報を共有し、今後の活路を見出すべく、全国の産地に連携を呼びかけた。

所属団体の東日本原木しいたけ協会(古河市)を社団法人化する過程で知り合った大分県の阿部良秀さん(現日本椎茸農業協同組合連合会長)らと協議を重ね、実行委員会形式で初のサミット開催を打ち出した。行政に協力を求める一方、消費者も巻き込んで、森林や山村の豊かな環境を保全するなかで成長戦略を描く道筋を考えた。「全国規模となると原発問題は扱えないし、第1回とも打ち出せない。しかしSDGs(持続可能な開発目標)に懸ける思いは強くある」という。

「原木しいたけサミット」は8月29、30日、つくば市小野崎のホテルグランド東雲をメーン会場に開催。全国から約150人の参加を見込み、パネルディスカッションや6分科会での討議を予定している。2日目の現地視察はなかのきのこ園が会場、付属のレストランでシイタケ料理の試食会を行う計画でいる。

1年を通じ出荷作業の行われる原木シイタケ=同

菌床栽培全盛の中で

スーパーなどに並ぶシイタケには、生(なま)と干しの2種類あるのはご存知だろうが、生産の仕方でも2通りに分けられる。短く切った樹木に菌を植え付けて林地やハウスに並べて栽培する原木栽培と、粉砕した樹木のオガクズなどから作る菌床を用いてハウス栽培する菌床栽培である。人工的なシイタケ栽培が始まったのは大正年間で、そんなに古いものではないが、昔からの手間ひまかけて作るのが原木栽培で、近代化されたオートメーション促成型が菌床栽培といえる。

シイタケ菌を植え付けた原木をホダ木といい、これを寝かせて生育を待つだけで1年以上を要するのに対し、菌床なら3~4カ月で収穫でき、同じ面積のハウスなら4倍以上生産可能という。だから、今日では両者の生産量に圧倒的な差がついた。林野庁統計によれば、16年の生シイタケ生産量は全国で6万9707トン、うち原木栽培は7322トンに過ぎない。天候や気温の影響を受けやすい原木栽培は生産量が上下しがちだが、概ね全体1割前後にとどまっている。

1975年から一貫して原木シイタケ栽培に取り組んでいる飯泉さんによれば、見た目はもとより、食品成分を調べても両者の間に明確な差は認められないそうだ。それでもなぜ原木栽培を続けるかといえば、「食べれば分かる」という味覚へのこだわりにほかならない。大口出荷先の生協からも、飲食店からも原木シイタケ以外の取引はしないと言われている。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

予約できないまま誤ってカード決済 乗合タクシーなど つくば市

つくば市は6日、同市が運行している乗り合いタクシー「つくタク」と、同市など4市が共同運行している公共ライドシェアで3日と4日の2日間、予約配車システムに障害が発生し、配車の予約がされないまま、計11人に対し運賃計1万4400円が誤ってクレジット決済がされたと発表した。決済された運賃は6日までに全額返金処理され、利用者に被害はない。 クレジット決済されたのは、3日午前9時23分から4日午後2時16分までに、「つくタク」を予約した10人と、一般ドライバーが自家用車で送迎する公共ライドシェアをつくば・土浦エリアで予約した1人。配車をウェブ画面からクレジット決済で予約する際、予約確定の画面に切り替わらず配車されなかったという。 利用者は、画面にエラーが出て予約がとれず何度も予約手続きをやり直したことから、その都度、運賃がクレジット決済された。つくタクは10人に対し56回分計1万2000円が決済され、公共ライドシェアは1人に対し4回分計2400円が決済された。一方、本人の口座から引き落とされる前に返金処理された。 4日午後1時ごろ、利用者から「エラーの画面が出る」などとつくば市に連絡があり、分かった。 市総合交通政策課によると、つくタクと公共ライドシェアの予約と配車はいずれも、AIを活用した配車サービスなどを行っている交通サービス運営事業者の「コミュニティ・モビリティ」(東京都中央区)に委託して実施し、同じシステムを利用して予約と配車を行っている。3日午前9時30分ごろ、同社がプログラムをバージョンアップした際、クレジットカード決済後の画面の移行先の設定を誤ったことが原因。 誤ってクレジット決済された11人に対しては同社が6日までに謝罪と説明を実施した。再発防止策として市は同社に対し、システムをバージョンアップなどする際は、確認体制を見直すなどを強く要請したとしている。電話や現金払いで予約した利用者の配車に問題はなかった。

あす投開票 茨城6区 衆院選’26

解散に伴う衆院選はあす8日、投票が行われ即日開票される。つくば、土浦市など5市が選挙区の茨城6区には▽新人で党県南部地区委員会副委員長の稲葉英樹氏(58)=共産▽前職で立憲民主党を離党した青山大人氏(47)=無所属▽新人で元会社員の堀越麻紀氏(53)=参政▽前職で外務副大臣の国光あやの氏(46)=自民▽新人で自営業の中村吉男氏(55)=無所属の5氏が立候補し、いずれも前職の青山氏と国光氏が激戦を展開している。 6日までの期日前投票の投票率はつくば市が21.72%、土浦市が27.25%だった。 比例候補らが応援 稲葉英樹氏 共産 新 共産党新人の稲葉氏は連日15カ所程度で街頭演説を展開。北関東比例区に立候補する塩川鉄也前衆院議員、梅村早江子元衆院議員らが応援に駆け付けた。最終日の7日は土浦、つくば市内を回り、午後6時40分につくば駅前、7時50分に同市上ノ室の選挙事務所前でマイク納めをする。 稲葉英樹 58 政党役員 共産 新【公約】①消費税廃止目指し5%に②核兵器禁止条約参加③給付型中心の奨学金制度の実現【略歴等】土浦市出身。取手一高卒。半導体メーカーなど勤務。党県南部地区委員会専従職員、同副委員長▽尊敬する人は母子家庭で自分を育ててくれた母親、座右の銘は七転び八起き、好きな本はアイザック・アシモフのSF「われはロボット」、趣味はオートバイ。土浦市在住 地元市長らが応援演説 青山大人氏 無所属 前 無所属前職の青山氏は連日5~10カ所程度で街頭演説、各市の街頭演説などではそれぞれ五十嵐立青つくば市長、安藤真理子土浦市長、宮嶋謙かすみがうら市長、谷島洋司石岡市長らが応援に駆け付けた。最終日の7日は午後7時から土浦駅西口前のうらら大屋根広場で最後の訴えをする。 青山大人 47 会社役員 無所属 前③【公約】①教育の負担軽減②消費税食料品ゼロ③TX土浦駅延伸【略歴等】土浦市出身。土浦一高、慶応義塾大卒。丹羽雄哉元衆院議員秘書、県議2期、衆院議員3期。現在、児童発達支援事業会社取締役▽尊敬する人は徳川家康。座右の銘は人事を尽くして天命を待つ、好きな本は吉川英治の「三国志」、趣味はランニング。土浦市在住 党代表ら駆け付け 堀越麻紀氏 参政 新 参政党新人の堀越氏は、連日6~7カ所で街頭演説、地元の桜井祥子参院議員のほか、神谷宗幣党代表、北関東比例区に立候補する豊田真由子元衆院議員、大津力参院議員らが応援に駆け付けた。最終日の7日はつくば市内を回り、午後7時からつくば駅前で最後の訴えをする。 堀越麻紀 53 無職 参政 新【公約】①消費税の段階的廃止②外国人受け入れ制度の見直し③子育て支援【略歴等】つくばみらい市出身、米テキサス州立ハイランド高卒、神田外語学院国際ビジネス科卒。英語力を生かし電子機器メーカー、外資系小売店など勤務▽尊敬する人は吉田松陰、座右の銘は常に愛と志をもって万事の源となす、趣味はガーデニング。つくばみらい市在住 閣僚らが次々 国光あやの氏 自民 現 自民党前職で外務副大臣の国光氏は、岸田文雄元首相、林芳正総務相、小泉進次郎防衛相、小野寺五典党税調会長、片山さつき財務相、梶山弘志党国対委員長らが次々に応援。7日は午後6時30分にイーアスつくば前、午後7時45分に同市吉瀬の選挙事務所前でマイク納めをする。 国光あやの 46 選挙区支部長 自民 前③【公約】①強い外交②強い経済③強い社会保障【略歴等】山口県周防大島出身。長崎大医学部卒、東京医科歯科大大学院博士課程修了。国立病院機構災害医療センター医師、厚労省職員などを経て、衆院議員3期▽尊敬する人は野口英世、座右の銘は至誠、好きな本は司馬遼太郎の「坂の上の雲」、趣味は柔道、つくば市在住 ポスター貼りなど全力 中村吉男氏 無所属 新 無所属新人の中村氏は、一人で選挙カーを運転しながら5市を回り、選挙掲示板にポスター貼りをするなどに全力で取り組む。最終日の7日は午後4時から石岡駅東口前で最後の訴えをする。 中村吉男 55 自営業 無新【公約】①憲法9条を改正し国防軍を明記②航空宇宙産業を育てるための環境構築③経済の活性化【略歴等】石岡市出身、拓殖大学商学部貿易学科卒。ホテル勤務。婚礼プロデュース会社役員、ウェブ専門スクール・IT研修事業実施▽尊敬する人は桂太郎、新渡戸稲造、好きな本は新渡戸稲造の「武士道」、座右の銘は凡事徹底、趣味はギター、石岡市在住

王様のケーキ「ガレット・デ・ロワ」《続・平熱日記》189

【コラム・斉藤裕之】暮れにちょっと体調の不安を覚えたのが、正月にはとうとう喉が腫れだした。病院も閉まっているし、市販の薬を飲んでだましだまし過ごすしかない。朝、ふと昨年末に友人と長女から立て続けにギンナンをもらったのを思い出して、ストーブの上でいくつか焼いて食べてみたものの一向に数が減らないので、そうだ! ギンナンご飯を炊こう! 台所の二番目の引き出しに確かギンナン割りが…。 例年通り、元旦の朝には新しい牛乳パックのパレットに絵具を出して、イリコを描いた。2日目もこれといって描くものがなかったので、違うイリコを描いた。3日目も4日目もイリコを描いた。結局、6日の朝まで都合6匹のイリコが描けた。 やっと喉の腫れも取れて、鼻水は垂れるが(寒いと鼻水が垂れるのが動物の生理現象として当たり前だと思う)、久しぶりに益子の古物屋に向かった。道中、雪を頂いた日光の山々が見えるのがいい。特に欲しいものがあるわけでもないが、ここの御主人の集めてきたものにはエスプリがある。その日は小さな陶製の人形たちが目に留まった。 どれか一つお選びになって! フランスに留学した時に最初に住んだのは、国際学生都市の中にある日本館。そこにはいろんな国の学生寮があって、入居者の何割かを他の国の学生と交換する制度があるらしく、私と同じフロアにチュニジアの女性が住んでいた。 その女性の部屋でフランス語を教えてくれることになった女性を紹介されたときに、「どれか一つお選びになって!」といただいたのがガレット・デ・ロワ、王様のケーキだ。焼かれたパイがいくつかに切り分けられていて、その中の一切れにフェーブと呼ばれる小さな人形が入っている。それを引き当てた人は王様、すなわち大吉というわけだ。そうか、あれは1月だったか。 おいしく炊けたギンナンご飯 あのときは、確か金属製のものが入っていたような気がしたが、目の前には彩色された陶製のフェーブが何十種類と並んでいる。聖人や修道女、壺(つぼ)を持っている女性や羊、豚の動物もいて、恐らくキリスト教の寓話の登場人物だということは推察できるが、どなた?というキャラクターも多い。確かに作りの甘い、いわゆるゆるキャラなのだが、目やひげなどは極細の筆で描かれ、色も塗り分けられていて、なかなか凝っている。あれこれと迷って、その日はその中の二つを持ち帰って描くことにした。 数日後、私の姿は再び古物屋にあった。そう、私はこの小さな人形にヌマったのだ。そして今度は、10体のフェーブを選んで描くことにした。(カッパとか、ロケットとか、花火とか、ご当地フェーブ入りのガレットなんてどうだろう?) ところで、ギンナンご飯は我ながらおいしく炊けた。富山産のギンナンは小さめで、静岡産は大粒。「ギンナンは人間と同じ一科一属一種で世界中のギンナンは全部いっしょ…」。高校の生物の先生の言葉を思い出した。(画家)

デフサッカー銀メダルの社員 伊東美和さんを特別表彰 関彰商事

創業118周年式典 関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)は6日、つくば国際会議場(つくば市竹園)のLeo Esakiメインホールで創業118周年記念式典を開催した。式典終了後には特別企画として座談会「セキショウの挑戦者たち」を実施、ラジオのトーク番組のスタイルで、各支社で活躍する社員による地域の魅力や取り組みなども紹介された。 式典では永年勤続社員および優良社員の表彰と、昨年退職した社員への記念品贈呈が行われた。特別表彰にはセキショウグループのアドバンス・カーライフサービスに勤務する伊東美和さんが選出された。これは昨年11月に開催された東京デフリンピック2025にて、デフサッカー女子日本代表チームのキャプテンを務め、チームとして初の銀メダル獲得に貢献したことなどが評価された。 社長式辞では、関社長が同社の目指す姿や組織のあり方について「私たちの使命はお客様の課題を解決し、その先にある理想の将来を実現し、よりよい明日を共に創ること」だと述べた。さらに「それはまず、お客様の悩みを把握するところから始まる。その悩みや課題も今は複雑化しており、一人の社員や一つの部門で解決しきれるものではない。オールセクションで解決していく。お客様の持つ理想の将来を共有し、その目指すところを築き上げていく、それをグループ全体、オールセキショウで進めていこう」などと話した。その上で「私たちの強みは仲間同士の信頼。全員の顔と名前が分かり、同じ地域で仕事をしてきた。これが118年間磨き上げてきた強み。この強みを生かせるよう、2000人以上の社員がそれぞれ、その人の持つ力を100%引き出せるような働きやすい環境を作っていくことが社長としての役割だ」とした。 ラジオ形式で座談会 座談会「セキショウの挑戦者たち」は、1月からLucky FM茨城放送で同社提供のラジオ番組「茨城の挑戦者たち」の放送が始まったことを記念して実施された。第1部では関社長のほか、同番組で司会を務める常陸太田市出身の作曲家マシコタツロウさんと元Lucky FM社長でフリーアナウンサーの阿部重典さんが登壇、「社員からの質問にお答えします」と題し、人生の転機になった出来事や仕事とプライベートのバランスなどについて忌憚(きたん)なく話し合った。 第2部では水戸、いわき、古河、須賀川、つくばで活躍する5人の社員が、それぞれの地域の魅力や人とのつながり、仕事上の挑戦などについて話した。「今後の可能性、将来性」というテーマでは、第3地域支店の郡司剛宏支店長が、水戸ホーリーホックや茨城ロボッツの躍進など、水戸がいまスポーツで盛り上がっていることを挙げ、「茨城を元気づけるとともに、関彰のブランド力と存在価値を高める契機としたい」と話した。いわき地域支店の古和口佳幸支店長は、昨年8月の小名浜道路開通について、常磐道を通じた物流やビジネスの活性化のほか、海岸エリアの復興などまちづくりにも寄与していることをPRした。(池田充雄)