火曜日, 5月 19, 2026
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原発事故を超えて つくばの原木シイタケ生産者 全国サミット開催へ奔走

【相澤冬樹】茨城県の原木シイタケ生産量は2016年に401.6トン、福島第一原発事故後の出荷制限・自粛下にありながら静岡、鹿児島、群馬に次ぐ第4位となったことはあまり知られていない。さらに年間150トンを出荷するという生産者がつくば市にいることはもっと知られていない。「おそらく日本一のはず」と胸を張るのは、なかのきのこ園(つくば市中野、飯泉厚彦社長)の創業者、飯泉孝司さん(71)。事業を子息に任せ、自身は全国の生産者らに参集を呼び掛けて、8月につくばで「原木しいたけサミット」を開催すべく東奔西走の日々を送っている。

県内19市町で続く出荷規制

2011年東日本大震災時の原発事故に伴う放射性物質の影響により、県内産原木シイタケは大打撃を受けた。19市町で出荷制限・自粛の規制がかかり、10市町村で一部解除になったものの、現在も19市町すべてで継続中だ。「規制と風評被害に耐えかねて廃業してしまったものも多く、生産者が再出荷に向け線量検査など申請手続きを行わなければ出荷規制だけが残ることになる」(飯泉さん)。事故当時県内に約500人いた原木シイタケ生産者は150人ほどになった。

被ばく線量の基準値を下回ったつくば市は規制の対象から外れたものの、飯泉さんは原木のホダ木約200万円分を廃棄処分にした。このため丸1年、生産できない時期が続いたが、再開には次のハードルが待ち受けていた。原木の高騰である。

きのこ園では原木にコナラとクヌギを用いているが、つくば周辺の生産者5人で共同購入グループを組んで、調達先を福島・阿武隈山地に確保していた。1本の木からホダ木7本が取れる。グループの年間使用量40万本のためには1ヘクタール約7000本として、60ヘクタール分が必要。植林から伐採まで約20年かかるのを見込み、1200ヘクタールもの広さを手当てしていた。福島県内の、その調達先が消えた。

当座は在庫でしのぎつつ、長野県産に切り替えるなどの措置をとった。7センチ径で長さ70センチの原木1本が事故前は200円だったのが、今は倍の400円以上している。東電の震災復興基金からの助成が入るが、これも19年度までで打ち切りとなる。この先原木調達が生産コストを押し上げるのは必至だ。

「今後の活路見出す」

川上に自前の原木調達先を持たず、川下に安定した流通経路を確保していない産地には苦境が待ち受けている。飯泉さんは、生産、販売に関わる課題と情報を共有し、今後の活路を見出すべく、全国の産地に連携を呼びかけた。

所属団体の東日本原木しいたけ協会(古河市)を社団法人化する過程で知り合った大分県の阿部良秀さん(現日本椎茸農業協同組合連合会長)らと協議を重ね、実行委員会形式で初のサミット開催を打ち出した。行政に協力を求める一方、消費者も巻き込んで、森林や山村の豊かな環境を保全するなかで成長戦略を描く道筋を考えた。「全国規模となると原発問題は扱えないし、第1回とも打ち出せない。しかしSDGs(持続可能な開発目標)に懸ける思いは強くある」という。

「原木しいたけサミット」は8月29、30日、つくば市小野崎のホテルグランド東雲をメーン会場に開催。全国から約150人の参加を見込み、パネルディスカッションや6分科会での討議を予定している。2日目の現地視察はなかのきのこ園が会場、付属のレストランでシイタケ料理の試食会を行う計画でいる。

1年を通じ出荷作業の行われる原木シイタケ=同

菌床栽培全盛の中で

スーパーなどに並ぶシイタケには、生(なま)と干しの2種類あるのはご存知だろうが、生産の仕方でも2通りに分けられる。短く切った樹木に菌を植え付けて林地やハウスに並べて栽培する原木栽培と、粉砕した樹木のオガクズなどから作る菌床を用いてハウス栽培する菌床栽培である。人工的なシイタケ栽培が始まったのは大正年間で、そんなに古いものではないが、昔からの手間ひまかけて作るのが原木栽培で、近代化されたオートメーション促成型が菌床栽培といえる。

シイタケ菌を植え付けた原木をホダ木といい、これを寝かせて生育を待つだけで1年以上を要するのに対し、菌床なら3~4カ月で収穫でき、同じ面積のハウスなら4倍以上生産可能という。だから、今日では両者の生産量に圧倒的な差がついた。林野庁統計によれば、16年の生シイタケ生産量は全国で6万9707トン、うち原木栽培は7322トンに過ぎない。天候や気温の影響を受けやすい原木栽培は生産量が上下しがちだが、概ね全体1割前後にとどまっている。

1975年から一貫して原木シイタケ栽培に取り組んでいる飯泉さんによれば、見た目はもとより、食品成分を調べても両者の間に明確な差は認められないそうだ。それでもなぜ原木栽培を続けるかといえば、「食べれば分かる」という味覚へのこだわりにほかならない。大口出荷先の生協からも、飲食店からも原木シイタケ以外の取引はしないと言われている。

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つくば市ベンチ・プロジェクト《デザインを考える》32

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地元県立高5校が魅力を紹介 24日「高校進学を考える集い」

つくばの市民団体が開催 つくば市と近隣の県立高校5校の校長が一堂に会し、学校の魅力を紹介する「第7回つくばの高校進学を考える市民の集い」が24日、つくば市役所コミュニティ棟で開催される。人口増加が続くつくば市で、県立高校が不足している問題を県などに訴えてきた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が主催する。 5校合同のいわゆる学校説明会で、昨年に続いて2回目の開催となる(25年5月15日付、同6月6日付)。昨年は市内の4校が登壇したが、今年は牛久栄進高校が新たに加わる。登壇するのは▽筑波高、永井信一校長▽つくばサイエンス高、石塚照美校長▽茎崎高、吉田真弘校長▽牛久栄進高、奈良由紀子校長▽竹園高、桜井良種校長。各校の説明後、質問も受け付ける。 昨年は約120人が参加した。一般市民や県議、市議、市職員などのほか、親子連れで熱心に聞き入る中学生や小学生などの姿が目立った。考える会によると、昨年は「説明を聞いて、勉強のスタートとなった」との感想を寄せられた母親もあったという。 集いは2部構成で、第1部は5校の校長がそれぞれの魅力を紹介する。第2部は、今年4月から私立高校生に月3万8100円の授業料が支援される私学の授業料無償化がスタートしたことや、県立高校志願者がさらに減少した問題など、今後の動きや課題を考える(26年3月8日付)。ほかに、元高校教員の片岡代表が、近年の県立高校入試の傾向を分析し、学習方法などを考える(同4月10日付)。 片岡代表は「つくばの生徒数が増加する中で県立高校の定員が不足しているという問題が構造的にある中で、私学の授業料無償化に伴って、地元の県立高校の魅力を十分に伝える必要性が高まっている。つくばエリアの県立高の定員不足問題だけではなく、中学・高校受験の問題を地域の問題として、また受験生への豊かな学びの応援として共に学び、語り合う機会になれば」と話し、参加を呼び掛けている。(鈴木宏子) ◆第7回つくばの高校進学を考える市民の集いは、24日(日)午前10時~午後0時30分、つくば市研究学園1-1-1、市役所コミュニティ棟1階会議室で開催。資料代300円、小中高校生は無料。詳しくは電話090-4591-8437(片岡代表)または電話029-852-4118(新日本婦人の会つくば支部)へ。

ロータリークラブ活動 水戸とつくばが競争《吾妻カガミ》219

【コラム・坂本栄】つくば学園ロータリークラブ(RC)のメンバーに加えてもらうことになりました。記事「創立40周年を祝う…」(3月2日掲載)を取材した際、その活発な社会奉仕活動を見聞きし、自分もそこからエネルギーをもらいたいと思ったからです。学園RCの会員数は水戸RCに次いで県内2番目ですが、早晩、歴史ある水戸RCを追い抜くような気がします。 対抗意識が両クラブを活生化 RCの年度は7月~翌年6月と、役所などとは違った期間になっています。今年度初(昨年7月)の会員は、水戸RC123人、学園RC105人でした。今年度末(6月)の目標として、水戸RCは133人、学園RCは110人(すでにこの目標を突破)を掲げています。この目標人数を見ると、両クラブのライバル意識の強さが分かります。ちなみに、県内55のRCのうち、会員数が100人を超えるのは水戸RCと学園RCだけです。 数字を並べましたが、両クラブの張り合いが面白いと思ったからです。ベテラン会員に「この調子だと水戸を抜くのは時間の問題ですね」と聞いたところ、「いや簡単ではない。こちらが頑張ると相手も頑張るから」とのことでした。よい意味で競争意識が両RCの活生化につながっているようです。 水戸にはRCが6つ(水戸RC以外は会員数約90~約20人)あるそうです。つくばの数は3つ(学園RC以外は同約60人と約20人)ですから、つくばは水戸にクラブ数では負けています。その背景は「会員数が増えると自分が目立たなくなるので自立心が高い人たちが別のクラブを立ち上げ独立する」(ベテラン会員)ことにあるそうです。こういった「分派活動」には水戸人のエネルギーを感じます。 予算と人口はもうすぐ逆転? なんとなく沼田誠さんのコラム「水戸っぽの眼」風になってきました。彼は水戸市の「みとの魅力発信課長(いわゆる広報広聴課長)」として活躍、現在は転職してつくば市に住み、東京圏で仕事をしています。独自の視点で両市を比較するストーリーは面白く、行政の地域性を知る上で勉強になります。 前回12「…今年度予算を比較」(4月29日掲載)では、古いまち・水戸市と新しいまち・つくば市の施策の違いを分析していました。添付された予算額推移表を見ると、つくば市が水戸市に急接近していることが分かります。今年度は1308億円対1227億円ですが、昨年度は1275億円対1273億円でした。ちょっとした新規事業の有無で来年度は逆転するかも知れません。 人口は間もなく逆転するでしょう。5月1日現在の常住人口は、水戸市が26万5243人、つくば市は26万4558人ですから、その差はわずか685人です。東京では住宅価格が高騰、首都通勤が可能なTX沿線への移住増を想定すると、つくばが水戸を上回るのは時間の問題です。数カ月前、記者会見で人口逆転について聞かれた五十嵐市長はコメントを避けていました。県都のプライドを刺激するのを避けたかったようです。 永田筑波大学長の共創体構想 歴史ある県庁所在地水戸。国と県が造った研究学園つくば。性格が違う両市の都市間競争は県全体の活性化につながります。「…学園都市を一つの研究教育共創体に…」(3月23日掲載記事)をぶち上げた永田恭介筑波大学長も学園RCの会員ですが、私がゲスト出席した4月末例会の卓話(ミニ講演)では、ロンドン-ケンブリッジと東京-つくばの関係性・距離感が似ていると指摘し、研究学園の機能強化の必要性を訴えました。(経済ジャーナリスト)