高校生のときから絵筆を握ってきた金子安伸さん(75)=つくば市真瀬=の「絵が謳(うた)う」作品38点が、同市二の宮、洞峰公園の新都市記念館で展示されている。
金子さんは東京生まれ。日本画を描いた義兄の影響で絵画に興味を持ち、15歳から油彩の勉強を始めた。以来、仕事に従事し家庭を持っても絵画サークルなどで研鑽(けんさん)を積み、絵筆を離すことはなかった。
仲間や先輩たちの作品に学び、当初は柔らかな色彩で仕上げていたが、抑えた色では「絵が謳わない」と気づいた。それからは鮮明な色調にこだわり、各々が存在を主張する作品になったという。そんな金子さんが尊敬するのは「色彩の魔術師」と称されるフランスの画家アンリ・マティスだ。
「美しいものは光によって一瞬で変わる。それをすくい取って描きたい」という思いで仕上げた作品は油彩や水彩、デッサンまである。中でも、岩肌が際立つ妙義連山を題材にした油彩画は20年かけて描いてきた作品で、今展直前に最後の筆を入れた会心の作。
「人生100年の時代。次の個展を目指してまっすぐ描き続けたい」と話す。入場無料。会期は31日(火)まで。(橋立多美)