つくば市研究学園の市道交差点で、ひき逃げ事故に遭い死亡した和田天馬ちゃん(3)が通ったラ・フェリーチェ保育園(同市研究学園、高橋晃雄園長)で25日、交通安全教室が開かれた。事故を受け同園が市に依頼した。高橋園長は「ここ2,3年、研究学園地区は交通量が急増している」として周辺環境の悪化に目を向ける。
同市防犯交通安全課、交通安全教室指導員の大川初江さんと佐々木信恵さんが同園を訪れ、絵本や手品、腹話術などを繰り出しながら、園児約30人に道路の歩き方や信号の渡り方を指導した。園児たちは童謡の替え歌を歌ったり、指導員の質問に答えたりしながら、横断歩道の渡り方などを学んだ。
同園には天馬ちゃんの今年6月の誕生日に撮った遺影が飾られ、仲良しの友だちや父母から贈られたおもちゃ、供花(くげ)が供えられている。事故後、夜になると泣き出したり、朝登園してきてお母さんから離れようとしないなど不安を抱える子が出ているという。
天馬ちゃんは20日午後6時30分過ぎ、保育園に迎えに来た母親のまりさんと歩いて自宅に帰る途中、横断歩道を渡っていたところ、直進してきた車にはねられた。まりさんも重傷を負った。当時雨が降っていたことから、天馬ちゃんは蛍光反射材が付いた青いかっぱを着て、青い長靴をはき、母親と手をつないで横断歩道を渡っていたという。犯人はまだつかまっていない。
天馬ちゃんは生後10カ月のとき保育園に入園した。高橋園長は、かけっこが速く、ご飯も残さず食べて、何でもきちんとできる子だったと話し「天馬君とお母さんには何の落ち度もない。無謀な運転によって大切な命が奪われたことに強い憤りを感じる」と語る。一方「周辺には新しい店が次々に出来、渋滞も発生している。事故が起こる要因が積み重なっている」と危惧を口にする。(鈴木宏子)