金曜日, 3月 14, 2025
ホーム土浦宍塚小跡地活用決まる 土浦市新年度当初予算案

宍塚小跡地活用決まる 土浦市新年度当初予算案

【鈴木宏子】土浦市の中川清市長は22日、新年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3.8%増の約530億2000万円となる。2014年3月に廃校となった宍塚小学校跡地の活用方法が決まり、校舎を耐震改修し、現在、真鍋にある教育相談室を移転するほか、市内3カ所に分散保管されている公文書を移転・集約し公文書書庫とする。

主な事業は合併特例債を活用した市民会館の耐震化・大規模改造、新治庁舎跡地への学校給食センター建設など。いずれも老朽化施設の更新だ。市民会館の工事は合併特例債を使った最後の事業で、発行限度額を使い切るという。

中川市長は「合併特例債をめいっぱい使って投資した。最後が市民会館なので大事業をしっかり仕上げていきたい。返済の時期が今から来るわけで、しっかり財政を立て直していきたい」などと話した。予算編成当初は14億円の不足が見込まれたが、事業の見直しを徹底し不足額を圧縮したという。

一般会計は過去5番目の規模。過去最高だった2015年度以降、近年は3年連続で前年度を下回っていたが、増加に転じる。特別会計などを加えた総額は同1.0%増の約918億6000万円となる。

市民会館は来年5月リニューアルオープン

市民会館の19年度分は20億5000万円。今年1月から工事に着手し来年5月にリニューアルオープンする。給食センターは耐震基準を満たしていない第1、第2給食センターを統合して再整備する。昨年10月に着工、来年9月から使用開始予定。新年度分は約20億円。

ほかに、老朽化している衛生センター(同市佐野子)を建て替え、汚泥再生処理センターを建設する(約4億円)。し尿や浄化槽汚泥に加え、農村集落排水事業の汚泥を併せて処理し、助燃剤をつくる施設とする。完成は20年度末の予定。

ソフト事業では、保育士確保のための処遇改善策として、保育士1人当たりの給与補助額を昨年度の1万円から5000円引き上げて1万5000円(7100万円)とする。隣接のつくば市が1人3万円を助成していることが、周辺市町村の保育士確保に影響を与えているという。

小学校の統廃合では、上大津西小と菅谷小の暫定的な統合に向けた準備として120万円を計上する。

霞ケ浦の土浦港に隣接する川口2丁目の市有地に今年3月、サイクリング拠点「りんりんポート土浦」が完成する。開発計画が頓挫(とんざ)し、2010年に市がデベロッパーから取得した広場の一部で、残り約3.9ヘクタールの市有地の活用についても1000万円を計上し、民間事業者を誘致した観光拠点の整備などを検討する。

歳入は、景気回復などの影響で法人市民税4.7%増を見込む。一方、市民会館や給食センター工事費などの財源不足を補うため、財政調整基金などを総額9億7000万円取り崩す。借金の残高は2019年度末で1030億円になる見込みだ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

spot_img

最新記事

土浦藩の町人・武士13人 それぞれの「まなび」 博物館で特別展

「まなびのかたち―江戸時代のキャリアデザイン」をテーマに掲げた特別展が15日から土浦市中央、同市立博物館で始まる。同館が1988年の開館以来地道に調査、収集してきた史資料から、特に江戸時代の土浦藩で活躍した武士と町人13人の事績を紹介、それぞれの「まなび」の系譜をたどる。 13人は土浦藩土屋家の第2代藩主、政直(まさなお)と第10代寅直(ともなお)をはじめ、町人から5人、武士から6人で構成される。政直を除けばほぼ江戸時代後期に活躍した人物群だ。 町人は幕末期に寺子屋を開いた沼尻墨僊(地理・天文学者)、墨僊に学んだ尾形とみ(商家の女主人)、色川三中(国学者、商人)、内田義制(関東取締出役の道案内)、辻元順(医師)の5人。武士は関知信(砲術指南役)、山村才助(地理学者)、岡部洞水(藩のお抱え絵師)、藤森弘庵(藩校郁文館の教師)、関雪江(書家)、長島尉信(農政学者)の6人だ。 これまでも特別展など何らかの形で紹介された人物だが、内田義制がきちんと取り上げられるのは今回初めて。博物館が収集、あるいは個人から預かって管理している図画や文書のほか、墨僊の傘式地球儀や大店(おおだな)のひな人形などの標本を展示した。   水戸市の県立歴史館から借り受けた国重要文化財「一橋徳川家席順」も展示される。藩士の中でも藩主に会えるのは「席順」の上位者に限られるなど、当時の厳格な身分制度を表す文書となっている。同様の史料が土屋家文書の中にもあったことから、その対比を見せる形での展示となる。 この身分制度は当時の双六(すごろく)遊びの中にも投影され、最初のふりだしで低位の役職を選ぶとなかなか上位には行きつけない。ゴールの「大老」まで63マスで構成される双六は実際に遊ぶこともでき、「学び」の一端になっている。 ◆第46回特別展「まなびのかたち―江戸時代のキャリアデザイン」は15日(土)~5月6日(火)、土浦市立博物館(土浦市中央1)で開催。開館時間は午前9時~午後4時30分(月曜休館)。入館料:一般200円、高校生以下無料。併せて博物館では13人に関連する史跡・遺産をめぐる「土浦城ウオッチング」を20日に開催する(要予約)ほか、永井博県立歴史館歴史資料課特任研究員と千葉真由美茨城大学教育学部教授による記念講演会を4月17日、県県南生涯学習センター(同市大和町)で開く予定だ(参加無料、要予約)。問い合わせは電話029-824-2928(同館)へ。 土浦城「御城印帳」「御城印」を刊行   特別展開催に合わせ同博物館は15日から、新デザインの土浦城「御城印(ごじょういん)」と土浦城「御城印帳」を刊行する。御城印は第3弾、御城印帳は第2弾となる刊行で、前回分はすでに完売となっていた。 御城印帳は全体色調を一新し、表紙には土浦城櫓(やぐら)門と東櫓、歴代の城主たちの家紋と日本の伝統的な和模様を配した。すみれ色と草緑の2種がある。A5判、42ポケット。1冊2500円(税込み)。 御城印は5000部を作成。1枚300円(税込み)で販売。第2弾は完売となっているが第1弾は数百部の残部があるそうだ。博物館のほか土浦市観光協会(同市中央)で販売する。(相澤冬樹)

閉まるシャッターと接触し来庁者が顔面打撲 つくば市役所

つくば市は14日、同市役所本庁舎1階ロビーで13日午後4時45分ごろ、歩行中の来庁者が、受付時間終了の4時30分に合わせて閉鎖作動中だった防犯シャッターに接触し、顔面に打撲を負う事故があったと発表した。 市管財課の発表によると、けがを負った来庁者に対し、市の保健師が応急措置を行い、医療機関への受診を促した。市は引き続き通院状況に応じた適切な対応をしていくとしている。 通常、防犯シャッターが閉まる時は、市が警備を委託している会社の警備員が安全確認を行うところ、事故時、シャッターが完全に閉まる前に警備員が持ち場を離れ、安全確認を行わなかったとしている。 市は、警備を委託しているビルメンテナンス会社のともゑに対し、安全管理を徹底するよう改めて強く指導したほか、市としても庁舎の安全対策に努めていくとしている。

貴重な野生種、最新の園芸品種など500点を展示 16日から「つくば蘭展」

筑波実験植物園 世界有数の野生ラン保全施設である国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)で16日から、企画展「つくば蘭展」が開催される。同園が保有する「つくばコレクション」のうち開花中の貴重な野生種約200 点と、協力団体が丹精込めて育てた普段見ることのできない最新の園芸品種や失われつつある貴重な古典品種など300点の計500点を公開する。 今回は、学習帳の表紙を撮り続けたことで知られる写真家で自然ジャーナリストの山口進さん(2022年逝去)の渾身の力作「ランと昆虫の共生をとらえた」の追悼展示や、オーストラリアやヨーロッパの野生ランの実物も展示する。 同館植物研究部 多様性解析・3保全グループ長の遊川知久さんによると、ラン科植物はキク科と並んで種類が多く、2万8000種の野生種がある。その姿は多様性に富み、一目ではラン科とはわからない種もある。見分ける方法は、特殊化した花弁と花粉、小さくて軽い種子、クッションのような根などの特徴だ。7割は着生植物で木の上で生活している。身近にもラン科の植物がいて、ネジバナなど普段雑草とし扱っている繁殖力の高い種類もいるという。 研修展示館入口付近に展示するのが、バニラの木。バニラもラン科だという。メキシコ産のバニラ・プラキフォリア、バニラアイスなどでおなじみの香りを持つ。遊川さんはボルネオ産のバニラ・ボルエンシスを比べて、おびき寄せる動物の違いでも匂いが変わってくると説明する。 教育棟では、山口進さんによるランと昆虫の共生をとらえた貴重な写真のほか、虫をだまして命をつなぐオーストラリアやヨーロッパの野生ランの実物を展示する。熱帯資源植物温室では、つくば洋蘭会など愛好団体が育てた園芸品種など、研修展示館では筑波実験植物園のコレクションから世界の美しく、珍しい花を200点展示する。 遊川さんは「故山口進さんの写真は、何週間もかけて撮られたとても貴重なもので、ランと昆虫の不思議な共生のストリーを味わって欲しい」と来場を呼び掛ける。(榎田智司) ◆企画展「世界のランが大集合!つくば蘭展」は16日(日)~23日(日)、つくば市天久保4-1-1、筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時~午後4時30分(入場は4時まで)。関連イベントとして、植物園研究最前線と題した講座や、展示ガイド、オンライン講演会、栽培講座、持ち込み相談コーナー、鉢植え販売などのイベントも開催される。会期中無休。入場料は一般320円、高校生以下と65歳以上は無料。障害者手帳所持者とその介護者1人無料。つくば蘭展のホームページはこちら。詳しくは電話029-851-5159(同園)へ。

天才たちの老後(2)天賦の才《看取り医者は見た!》38

【コラム・平野国美】今回は私が看た患者さんの話です。優秀な元物理学研究者でしたが、人付き合いが極度に苦手でした。引退後は引きこもるようになり、妻の作る食事にほとんど手を付けず、風呂を嫌がり、髪やひげも伸び放題でした。認知症を疑った妻は、認知症外来に連れて行きましたが、検査で簡単な引き算問題が出たところで診察室を飛び出し、外出を拒否するようになったというのです。 引きこもる部屋をのぞくと、椅子に座って寝ていた彼が「かっ」と目を開いて一心不乱に数式を書き始めたのです。その姿は不気味でしたが、どこか神々しくもありました。本人とはなかなか話せず、妻からこれまでのことを聞き出すと、若いころから奇行があったそうです。部屋にこもって数式を解いていて、食事を受け付けないこともたびたびあったそうです。 この日は、部屋にあったノートやメモ書きを少しもらって帰りました。この方は認知症なのだろうか? 紙に書かれた数式は落書きなのか? 何かを意味するものなのか? 高校の数学が赤点だった私にはまったくわかりません。 ところが、パソコンを使って、今はやりの人工知能に、ノートに書かれた数式を読み込ませると、「ロジスティック成長モデル」「ロンドン」「マクスウェル方程式」といったキーワードが出てきます。数式が合っているのか間違っているのか分かりませんが、何か意味のあるものが書かれていることは間違いなさそうです。 ある日の昼過ぎに診療に出向くと、やはり何かを解こうとしています。私と目さえ合わそうとしないので、その日のラスト診察に順番を変更して、夕方に再度出向くと、まだ計算をしておられました。1時間後、鉛筆を置いたところで、「解答は出ましたか?」と話し掛けました。 すると「解答は初めから分かっている。問題は、この数式が何を表現しているか? 美しいか? 醜いものか? そこなんだよ」と、神々しい答えです。「先生は頭が衰えているわけではないですね?」と話しかけると、「いや、大分衰えてきたよ。昔は紙と鉛筆を持たずに頭の中だけで完結できたからね」。おそらくこれが真実なのでしょう。 幼いころから難聴があり、ご両親は心配されたようです。しかし、独特の感性を認められて研究所に入ったようです。奥様の話では結婚し一緒に生活して、あまりに社会性や常識がないので驚いたそうです。金銭欲も出世欲もなかったそうです。 この方を認知症と呼ぶわけにはいかないと思います。この方とお会いしたあと、分野は違いますが同じタイプの方とお会いしました。そして私は、Gifted(ギフテッド、天賦の才)という言葉にたどり着きました。(訪問診療医師)