月曜日, 11月 24, 2025
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宍塚小跡地活用決まる 土浦市新年度当初予算案

【鈴木宏子】土浦市の中川清市長は22日、新年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3.8%増の約530億2000万円となる。2014年3月に廃校となった宍塚小学校跡地の活用方法が決まり、校舎を耐震改修し、現在、真鍋にある教育相談室を移転するほか、市内3カ所に分散保管されている公文書を移転・集約し公文書書庫とする。

主な事業は合併特例債を活用した市民会館の耐震化・大規模改造、新治庁舎跡地への学校給食センター建設など。いずれも老朽化施設の更新だ。市民会館の工事は合併特例債を使った最後の事業で、発行限度額を使い切るという。

中川市長は「合併特例債をめいっぱい使って投資した。最後が市民会館なので大事業をしっかり仕上げていきたい。返済の時期が今から来るわけで、しっかり財政を立て直していきたい」などと話した。予算編成当初は14億円の不足が見込まれたが、事業の見直しを徹底し不足額を圧縮したという。

一般会計は過去5番目の規模。過去最高だった2015年度以降、近年は3年連続で前年度を下回っていたが、増加に転じる。特別会計などを加えた総額は同1.0%増の約918億6000万円となる。

市民会館は来年5月リニューアルオープン

市民会館の19年度分は20億5000万円。今年1月から工事に着手し来年5月にリニューアルオープンする。給食センターは耐震基準を満たしていない第1、第2給食センターを統合して再整備する。昨年10月に着工、来年9月から使用開始予定。新年度分は約20億円。

ほかに、老朽化している衛生センター(同市佐野子)を建て替え、汚泥再生処理センターを建設する(約4億円)。し尿や浄化槽汚泥に加え、農村集落排水事業の汚泥を併せて処理し、助燃剤をつくる施設とする。完成は20年度末の予定。

ソフト事業では、保育士確保のための処遇改善策として、保育士1人当たりの給与補助額を昨年度の1万円から5000円引き上げて1万5000円(7100万円)とする。隣接のつくば市が1人3万円を助成していることが、周辺市町村の保育士確保に影響を与えているという。

小学校の統廃合では、上大津西小と菅谷小の暫定的な統合に向けた準備として120万円を計上する。

霞ケ浦の土浦港に隣接する川口2丁目の市有地に今年3月、サイクリング拠点「りんりんポート土浦」が完成する。開発計画が頓挫(とんざ)し、2010年に市がデベロッパーから取得した広場の一部で、残り約3.9ヘクタールの市有地の活用についても1000万円を計上し、民間事業者を誘致した観光拠点の整備などを検討する。

歳入は、景気回復などの影響で法人市民税4.7%増を見込む。一方、市民会館や給食センター工事費などの財源不足を補うため、財政調整基金などを総額9億7000万円取り崩す。借金の残高は2019年度末で1030億円になる見込みだ。

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自動運転バス「レベル4」27年度実現へ つくば市で3回目の実証実験開始

つくば市で21日、公道を使った自動運転バスの走行テストを行う実証実験が始まった。ルートは、つくば駅から筑波大学構内を循環する約10キロの既存のバス路線で、所要時間は約40分。一般の乗客を乗せて1日4便の運行を来年1月23日まで続ける予定だ。同市は2027年度に、運転手不在の状態で、特定の条件下で完全な自動運転が可能となる「レベル4」の実現を目指している。 この実験は、昨年と今年1月に続いて3回目となる。今回はこれまでと同様、状況に応じて運転手が操作を行う「レベル2」での実施となる。 今回は、国の補助金を活用して関東鉄道が自動運転バス車両を新たに購入し、同社のバス路線「筑波大学循環」内のすべてのバス停に停車するなど、新たな取り組みも加わった。また、今年8月にはつくば市を代表として、筑波大学、関東鉄道、KDDIが「つくば自動運転社会実装推進事業コンソーシアム」を設立。民間5社の協力も得て実施されている。 今回使用されている車両は、名古屋市のベンチャー企業ティアフォーによる自動運転EVバス「ミニバス 2.0」。最高時速は70キロ、定員は28人だが、自動運転時は時速35キロ、定員16人で走行する。走行時には8台のカメラと13台のレーザーセンサーが周囲の状況を分析し、事前に設定した走行ルートに従って自動安全システムが交差点やカーブでの停止・発進、加減速などを行う。緊急時には乗車する運転士が手動運転で対応する。この日は通信トラブルが発生し、バス停での停車・発車時などで手動操作に切り替え運行した。 つくば市科学技術戦略課の中島央樹さんは、今回の実証実験について「国は、全国で自動運転サービスの実装を2025年度に50カ所、27年度に100カ所以上とする目標を掲げている。つくば市もこれに合わせ、27年10月に完全に運転手がいないレベル4の実装を目指している」とし、「昨年は6カ所のバス停のみ停車したが、今回は、路線バスと同じ動きをすることを目指し、29カ所すべてに停まるようにした。以前はつくばセンターのロータリー外側から発車していたものを、内側からの出発に変更した」と説明し、「つくば市に限らず、中心部と周辺地域の移動格差が課題となっている。つくばは車が主な移動手段で、交通渋滞や事故が問題になっているほか、交通事業者では運転手不足による減便などの課題もある。自動運転バスの運行を通じて公共交通を地域に根付かせ、こうした課題の解決につなげていきたい」と目標を語った。 同市は今年度当初予算で、国の国庫支出金を財源に、自動運転バスの購入費、自動運転地図作製費、レベル4通信費など約1億3400万円と、自動運転バス年間維持費約1370万円の計1億4770万円を計上した。今年度は実証実験とレベル4許認可申請、26年度は実証実験、27年は定常運行を目指している。(柴田大輔) https://youtu.be/FfSoeYhtxLI ◆乗車料金は無料。QRコードで希望の時間を事前予約する。事前予約がない場合は先着順となり、定員に達した場合は乗車できないことがある。詳しくはつくば市ホームページへ。

ナショナルトラストと自然共生サイトが同時実現《宍塚の里山》130

【コラム・森本信生】市民の意思で土地を守る「ナショナルトラスト」と、国が認定する新制度「自然共生サイト」。歴史のある活動と新しい仕組みが、宍塚の里山で本格的に重なり合った。 ナショナルトラストの特徴は、市民が資金を出し合い、自然や歴史的環境を「自分たちの手で」次世代に引き継ぐ点にある。発祥は1895年のイギリス。急速な都市開発が進むなか、「失われゆく景観を市民の力で守る」ことが出発点だった。 日本でも1964年、鎌倉・鶴岡八幡宮裏山の開発を防ぐため、市民と市が協力して土地を買い取った例が最初とされる。現在、日本ナショナルトラスト協会に関わる団体の会員は計17万人、保全地は約1万5000ヘクタールに及び、市民による継続的な取り組みとして根付いてきた。 一方、自然共生サイトは、生物多様性の国際目標「30by30」達成のために創設された制度である。国立公園のような法的保護区だけでなく、民有地や市民団体が管理する森も、一定の管理水準を満たせば保全エリアとして国の認定を受けられる。科学的根拠に基づく評価と行政の審査が特徴で、信頼性の高い新しい仕組みといえる。 この二つが交わったのが、宍塚の里山だ。9月16日に自然共生サイトに正式認定されたのは、前回のコラム129で紹介したが、それに続き、9月25日には日本ナショナルトラスト協会から助成金の交付が決定。「キャンエコの森」と呼ばれる447平方メートルの雑木林を対象に、宍塚でナショナルトラストが実現した。 自然共生サイトに認定されたのは三つの森であるが、残る二つの森は、すでに会の基金や寄付によって取得済みなので、今回登録された自然共生サイトすべてが「自ら土地を持つ」形で保全される体制が整ったことになる。 市民と行政が自然を守る新モデル 宍塚における常磐自動車道路のスマートインターチェンジの設置決定や、つくばエクスプレス(TX)のつくば駅から土浦駅への延伸構想のなかで、宍塚の里山の保全をいかに図るかが課題となっている。このような情勢のなかで、宍塚で実現したナショナルトラストと自然共生サイトの両者の組み合わせには、意義があり、大きな相乗効果が期待できる。 市民参加と土地所有というトラストの強み、国の認定による制度的裏付けを提供する自然共生サイトの強み。これらが重なることで、価値のさらなる明確化、資金調達の安定性、企業・行政との協働の広がり、科学データの蓄積、地域ネットワークの強化など、多角的な効果が見込まれる。 宍塚の里山は、市民と行政が連携して自然を守る新しいモデルとして、その持続可能な保全がより力強いものとなっていくだろう。そして、その成果が、土浦の誇りとなり、日本全体、さらには世界に波及してくことを強く願っている。(宍塚の自然と歴史の会 理事長)