土曜日, 1月 17, 2026
ホームつくば【ひと】飲酒量低減外来を開設 筑波大学 吉本尚准教授

【ひと】飲酒量低減外来を開設 筑波大学 吉本尚准教授

【田中めぐみ】筑波大学との連携で1月半ば、北茨城市民病院付属家庭医療センター(同市中郷町)内に飲酒の悩みを抱えている人を対象にした「飲酒量低減外来」が開設された。精神科以外での飲酒専門外来の開設は全国で初めて。毎週木曜日午前中に同大医学医療系の吉本尚准教授ら総合診療医が診察する。反響は大きく、開設して約3週間、予約はほぼいっぱいの状況だという。

北茨城市は筑波大と地域医療で連携しており、同大は総合診療、家庭医療の専門医教育の一環として、同センターで研修や実習を行っている。同外来は飲酒量が多い人や軽度のアルコール依存症の人などが対象。飲酒習慣について質問票で調査した上で、カウンセリングをするほか、場合によっては薬物治療も行い、一人ひとりに合った飲酒量を考えていく。診療で治験を集め、今後つくば・土浦市内、ひいては全国にも取り組みを広めていければとの考えだ。

吉本准教授によると、国内にはアルコール依存症が100万人いるとされているが、医療機関を受診している人は4~5万人。アルコール依存症の診療は従来、精神科や心療内科の領域であるため、受診をためらってしまうことが原因の一つとみられる。「アルコールの問題で悩んでいる人は想像以上に多い。悩んでいる人がもっと気軽に受診できるよう、新しい取り組みにチャレンジできないかと考え、飲酒量低減外来を開設した」と話す。

厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」としている量は、ビールなら男性で500ミリリットル、女性や高齢者はその半分。吉本准教授らが関東の31大学の学生533人を対象に調査したところ、飲み放題のサービスがある店では、飲み放題でない店よりも飲酒量が2倍近く増える傾向があるという。また関東の大学生2177人を調査したところ、男性では2時間で1缶500ミリリットルのビールを2本半、女性では2本飲むと、けがのリスクが25.6倍になったという。海外では飲み放題の規制をしている国もある。

アルコール・うつ・自殺は関連が深く、「死のトライアングル」と呼ばれている。吉本准教授は「最近は芸能界やスポーツ業界などでも、お酒に関係する事件の報道がされて話題になっており、お酒との付き合い方は難しいと感じる」そうだ。「『自分は飲み過ぎではないか』『飲む量を減らしたい』など、飲酒のことで気になること、困りごとがあればなんでも気軽に相談してほしい。本人だけでなく、家族の相談でもかまわない。体、心の害が出ないようにお酒とうまく付き合える支援をしていきたい」と話している。

[吉本尚(よしもと・ひさし)]北海道出身、筑波大卒、医学博士。2014年に母校に戻り、18年から医学医療系地域総合診療医学准教授、総合診療に関わる医師の在り方を提案している。

◆北茨城市民病院付属家庭医療センターは予約制で1日3人まで。電話0293-43-1131

◆飲酒に関する相談は同センターのほか、筑波大学付属病院総合診療グループ。電話029-853-3189

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

初冬の池とカモと色付く水面《鳥撮り三昧》9

【コラム・海老原信一】木々の葉の色付きが割と遅れて始まる洞峰公園(つくば市二の宮)。12月でも紅葉が楽しめるなんて結構ぜいたくです。また、そのころには北からカモたちがやってきます。木々の林や、植え込み、ヨシの中などには小鳥たちが入ります。 シジュウカラ、ウグイス、メジロ、ホオジロ、コゲラ、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメなどの常駐組に交じって、ジョウビタキ、ツグミ、シロハラ、アカハラ、アオジ、シメ、カシラダカなどが越冬のためにやって来るのです。 見かける機会が少なくなったルリビタキにも運がよければ出会えますし、公園に隣接する林や草地にはコジュケイ、カケス、トラツグミ、オオタカなどの姿を見ることもできます。近年、野鳥とは言えないものの、ガビチョウが目立つようになっていて、何ともにぎやかな鳴き声を一度は聞かれているでしょう。 また水辺に目をやれば、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カワウ、カイツブリ、ヒクイナ、クイナ、バン、オオバンなど、多くの野鳥を見ることができます。「探鳥ガイド」のようになってしまいましたが、肝心なのはカモたちです。 洞峰公園の沼には、11月末ごろからカモたちが姿を見せるようになります。コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、マガモ、ホシハジロ、トモエガモ、オカヨシガモ、キンクロハジロ、アメリカヒドリなどの珍客。季節を問わず見られるカルガモと、いろいろなカモたちを楽しめます。 「お、泥パックかい」 時期を同じくして、沼の周囲を囲む木々が赤や黄に色付き、常緑樹は緑を、建物は壁の色を沼の水面(みなも)へと送り込んできます。朝の柔らかい日差し、夕暮れ時の赤みある光がそれらの色と混ざり合い、とても美しい情景をつくり出します。そこに色とりどりのカモたちの姿が重なり、表現のしようがない程の眺めが出現します。 カモたちが泳げば波紋が起き、その波紋が色付く水面を不思議な世界に変えます。カモの中には、水底にくちばしを差し込んだりして食べ物を探すものもいます。洞峰公園の沼は浅いので、多くのカモが逆立ちしますが、潜水ガモと言われるホシハジロは別格です。水底の泥の中に顔まで入れて探すようで、上がってきた時の顔は泥まみれ。 それだけでも面白いのですが、美しい色合いの所へ顔を出した時は、周りとのギャップについ笑顔に。思わず、「お、泥パックかい」と、突っ込みを入れる自分がいます。人も「泥パック」をすると聞いていますから、そんなことを思い出しながら…。ホシハジロの泥パックは生きるためで、美容とは関係なさそうですけどね。 決して広くはない沼ですが、水が生き物にとって大切なものだと教えてくれる、多くの生き物たち。彼らの見せてくれる情景が寒さとともに美しさを増す、11~12月の洞峰公園が一番好きな私です。そのような場が身近にあり、その場に身を委ねることができる幸運を大事にしたいと思います。心と体を解放できる場として、いつまでもあって欲しいと願いながら。(写真家)

道路工事中に給水管を破損 1軒が断水 つくば市

つくば市は16日、市が発注した同市小野崎の道路改良舗装工事で、同日午前10時50分ごろ、市内の工事受注業者が既存の側溝(U字溝)を撤去する作業をしていたところ、埋設されていた上水道の給水管を誤って破損させ、1軒に断水被害が発生したと発表した。断水は同日夕方5時ごろに復旧した。 市道路管理課によると、工事業者が老朽化した古いタイプのU字溝を新しいタイプのU字溝に入れ替える作業をするため道路を掘削していたところ、道路下に埋設されていた近くの店舗1軒の給水管の一部を破損させた。工事業者はあらかじめ図面で、道路下に給水管が埋まっていることを把握していたという。 工事業者は断水被害を受けた店舗に謝罪し状況を説明。被害店舗はこの日、店を休みにした。 再発防止策として市は、受注業者に是正措置を求めたほか、現在、市の工事を受注している全工事業者に注意喚起を徹底し、再発防止に努めるとしている。

ロウバイが満開 筑波山梅林 早春の訪れ告げる

つくば市沼田、筑波山中腹の梅林でロウバイが満開となり見頃を迎えている。1月中旬は暦の上では小寒から大寒に向かう冬のさなかだが、標高約250メートルにある筑波山梅林では、ろう細工のような、ロウバイの光沢のある黄色い花が甘い香りとともに早春の訪れを告げている。 ロウバイは梅林の筑波山おもてなし館付近の斜面に数十本が植えられている。つくば市観光コンベンション協会によると、正月過ぎから見頃となっている。開花状況は平年並み、見頃は2月初旬ごろまでという。 3連休初日の10日は筑波山神社の参拝客や登山客などで梅林の駐車場は満杯。ロウバイが咲く梅林では、家族連れや写真愛好家などが、青空と黄色のコントラストをカメラやスマートフォンなどで写真に納める姿が見られた。 石岡市から来た藤井浩一さん(63)は「毎年ロウバイを見るために梅林に来ている。これだけたくさんのロウバイが咲くところは貴重だ。今日は珍しいヤマホウジロの写真も撮れたのでうれしい。ロウバイの写真ももっと撮っていきたい」と話していた。 ロウバイは中国原産で、梅に似ているが、梅がバラ科なのに対し、ロウバイはロウバイ科に属する。 筑波山梅林は約4.5ヘクタールの広さがあり、中腹の斜面に約1000本の白梅や紅梅が植えられている。10日時点で、早咲きの紅梅はまだ開花していない。第53回目になる今年の筑波山梅まつりは2月7日から3月15日まで開催される。(榎田智司)

つくば文化会館アルス《ご近所スケッチ》21

【コラム・川浪せつ子】つくば駅近くの図書館と美術館から成る「つくば文化会館アルス」(つくば市吾妻)は、ステキな建物です。この分野では老舗の石本設計事務所(1927年創立)が設計しました。つくば市周辺には、同社のような日本を代表する事務所がいろいろな建物を設計しています。 近くにあるつくばセンタービルは、建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞した磯崎新さんが設計した作品。つくば市には後世に残したい素晴らしい建造物が多いですが、そのような歴史に残るような建物を「描く」のって、至難の業なのです。 私は若いころから、建築の完成予想図を作成する仕事をしてきましたが、今回はそれがアダになりました。上の絵は何度も描き直して、なんと4枚目です。悩みに悩んで、お正月明けにスケッチしました。どうも、面白くない絵になってしまうのですよね…。 ステキな建物とそこに憩う市民 創作活動は何でもそうだと思いますが、自分の表現したいもの、表現したいこと、表現したいテーマは何か―それが重要だと思うのです。創作活動とは、誰かに認めてもらいたいということでなく、自分の「思い」が込められたものを創ることではないでしょうか。そして、たどり着いたテーマは「ステキな建物とそこに憩う市民」です。 緑の季節には葉っぱが多くて建物が見えません。冬は落葉して見えますが、もうひとつインパクトが出ません。そんなジレンマの中、そこに憩う方々をたくさん配置したところ、どうにか納得するものに。「まだまだ」の自分ですが、悩みながら、さまよいながら、つくば市周辺の良さを表現できたらと思っています。(イラストレーター)