月曜日, 4月 12, 2021
タグ 茨城大

Tag: 茨城大

冬場に大気がアンモニア運ぶ 霞ケ浦の富栄養化対策に一石 茨城大

【相澤冬樹】秋から冬にかけて農地に散布された堆肥が高濃度の大気中アンモニアとなり、北寄りの季節風に乗って湖上に流されている―と、霞ケ浦の富栄養化対策に一石を投じる論文が発表された。執筆当時、茨城大学大学院農学研究科大学院生だった久保田智大さん(現・日本原子力研究開発機構所属)が中心となり、茨城大学の堅田元喜さん(現・同大学特命研究員)、国立環境研究所、気象研究所、京都大学、森林総合研究所などによる研究グループの論文としてまとめられ、10日公表された。 アオコの発生など、水質悪化に悩む霞ケ浦では、窒素やリンなどの栄養分が河川を通じて湖沼に流れ込むため、調査や対策は流域に範囲を広げて行われなければならない。湖水だけを調べても効果的な対策は打ち出せないわけで、今回は水の流れにとどまらない大気を介した窒素流入の実態解明に流域規模で取り組んだ。国内ではほとんど調査されていなかったプロセスだ。 大気を通じた窒素の供給源には、畜舎・堆肥舎や肥料散布などによりアンモニアが大気中に排出され、雨水に取り込まれて陸上に落下する「湿性沈着」や、ガスとして湖沼の表面まで運ばれ吸収される「乾性沈着」の例が知られる。アンモニアの沈着は、生物の必須元素である窒素化合物の供給源として本来有益だが、湖沼のような閉鎖水域に過剰に供給されると植物プランクトンが異常に繁殖し、アオコの発生などにつながる場合がある。 研究グループは、霞ケ浦流域の住宅地、森林、農地、湖上など36地点に大気採集のためのサンプラーを設置し、そのうち17地点で最長1年4カ月にわたって大気中アンモニア濃度を観測した。 その結果、観測期間中の土地利用別の月平均アンモニア濃度は、農地、湖、住宅地、森林の順に高かった。特に排出量が大きい霞ケ浦の北部を含む農地や湖では、大気中アンモニア濃度が冬季に最大となることがわかった(図参照)。同じ流域の内部で、湖沼と隣接する畜産地帯との間に大気を介した循環(揮散・移流・沈着)が生じている可能性が示された。 観測期間中の大気中アンモニア濃度の月平均値の季節変動(土地利用別に平均)

気候変動で白濁するコメ 茨城大 回避策まとめ報告書

【相澤冬樹】茨城大学(水戸市文京)に昨年4月設置された県地域気候変動適応センター(横木裕宗センター長)がこのほど、研究成果を初めての報告書「茨城県における気候変動影響と適応策―水稲への影響」にまとめた。気候変動の影響は、稲作においては白濁した白未熟粒の増加など品質低下の形で全国的に顕在化しており、本県も例外ではない。コメの品質低下の回避に向け、中長期的な適応戦略を具体的に示した。 収量減ないが品質低下が顕在化 報告書は水稲への影響と適応策に焦点を絞った。最新の予測データや予想される気候の変化に適応し、持続的に生産を行うための考え方について、「一般向けのわかりやすい言葉で紹介した」という。執筆者には同大学、県と県農業総合センター関係者のほか、農研機構(つくば市)の研究者が名を連ねている。 報告書は気候変動への適応策の考え方と大学や県の動きを概説した上で、茨城県の水稲生産の現状と今後の影響予測について解説。今後極端な降水量が増加することや、気候のシミュレーションモデルとその補正方法によって、本県の気温上昇の予測値が日本全体と比べて高くなる可能性も示された。 実地の研究例として、JAつくば市谷田部「有機稲作研究部会」の取り組みが紹介された。土壌中の窒素量が白未熟粒発生率の低減に関与する傾向がみられ、平均地温が上昇すればするほど白未熟粒の合計割合が上昇する関係が見出されている。 県西・南部から優先対策を シミュレーションでは、近い将来にかけ、温暖化により水稲の収量が大きく減る地域は予測されないものの、白未熟粒の発生率は県西・南部から高くなっていく予測値が得られた。高温耐性品種や発生低減技術の導入といった適応策をこれらの地域から優先的に進めていく必要があるという。白未熟粒の発生を抑えるためには、10年に0.5度のスピードで気温上昇する想定に基づき、高温耐性品種を開発・導入すべきという指標を示している。 たとえば、県内で栽培される水稲は、品種構成が 「コシヒカリ」に大きく偏っていることで、収穫作業が短期間に集中することが問題となっていた。作業の集中により適期の収穫が困難となり、刈り遅れによる品質の低下を招いた。高温下でも品質が安定する早生品種 「ふくまる」など県育成の新品種の導入をはじめ、移植日の変更、スマート農業化などを提案。これら具体的な適応策ごとの時間・コスト・効果を踏まえて、中長期的な適応戦略を立て、生産者・行政・研究者・企業等が連携した取り組みを進めるべきだとまとめた。 センター長を務める同大学大学院理工学研究科の横木裕宗教授は、「大学として気候変動の適応策に関する様々な研究分野の研究の蓄積があったため、全国の地域気候変動適応センターの中でもいち早く報告書を出すことができた。水稲生産への影響予測は、農業県の茨城にあって最も関心が高い情報の一つだ。報告書が、各生産者における持続的な農業の見通しや自治体による支援策の一助となれば」と話している。 同センターは、茨城大学が事業者を務め、気候変動の影響予測の情報提供や自治体の気候変動適応計画の策定支援などを行う。2018年に制定・施行された気候変動適応法に基づき、全国で初めて大学を事業者とする地域気候変動適応センターとして昨年4月1日に設置された。 ▼データ版(PDFファイル)はこちら

Most Read

なでしこ2部での初戦飾れず つくばFCレディース

プレナスなでしこリーグ2部、つくばFCレディース対バニーズ群馬FCホワイトスターの試合が11日、ひたちなか市新光町の市総合運動公園陸上競技場で開催された。つくばは0-2で敗れ、2部昇格の初陣を飾ることはできなかった。 プレナスなでしこリーグ2部、第1節つくばFCレディース 0-2 バニーズ群馬FCホワイトスター 今季、初のプロリーグ「WEリーグ」が創設されるなどドラスティックな動きを見せている女子サッカー。昨季なでしこチャレンジリーグに属していたつくばFCは、今季から、なでしこ2部に戦いの舞台を移した。 前半9分、左サイドからクロスを上げる高田莉緒(撮影/高橋浩一) 初戦の相手はバニーズ群馬FCホワイトスター。昨季なでしこ2部で活動していたバニーズ京都と、関東女子1部で活動していた群馬FCホワイトスターが一つになって再始動したチームだ。

桜の開花と宇宙天気キャスタ 《食う寝る宇宙》83

【コラム・玉置晋】今年はコロナ禍だったこともあり、お花見は犬の「べんぞうさん」とのお散歩で終わってしまいました。茨城県では3月下旬に満開となり、4月上旬には葉桜になっております。最近の桜の開花は随分早くないですか? 僕が小学校に入学した時(1985年4月)の思い出は、入学式では桜はつぼみ、数日後に教室から見た校庭の満開の桜があまりにきれいで、よく覚えています。 気象庁のデータベースから茨城県水戸市の桜開花日グラフを作成しました。 僕が小学校に入学した1985年、水戸市の桜の開花日は4月7日でした。水戸市の小学校の入学式は4月6~8日となりますので、入学式の桜はつぼみだったという僕の記憶は確からしいことがわかりました。 また、年により開花日にはバラつきがあって、僕の一つ上の学年(1984年入学)は4月20日が開花日で、一つ下の学年(1986年入学)は4月10日が開花日でした。もしかしたら、入学年によって入学式の思い出の風景が異なるのかもしれませんね。

全国初 摂食嚥下障害の「特定認定」看護師を養成 県立医療大

茨城県立医療大学(阿見町阿見)は、これまで開講してきた摂食嚥下(えんげ)障害看護分野の認定看護師教育課程を4月から、厚労省認定による「特定行為を組み込んだ新たな認定看護師教育課程」(通称・B課程)に移行させた。 高度かつ専門的な知識、技能が必要とされる行為(特定行為)について、医師の補助を行ことができる「摂食嚥下障害看護分野における特定認定看護師」の育成に乗り出した。 食べ物などが食道でなく、気管に入ってしまうことを誤嚥という。これらの摂食嚥下障害は、脳卒中や神経難病だけでなく、咽頭部のがんをはじめとする疾患、術後などさまざまな病態でみられ、特に高齢者ではこの障害による誤嚥性肺炎が問題になっている。 猛スピードで到来する超高齢社会を想定するとき、この領域の認定看護師に対する期待は、病院だけではなく、在宅療養、在宅看護を行う家族をはじめ、地域社会で水準の高い看護(実践)が求められるようになる。 同大学の資料によると、今年度の受講生は11人。摂食嚥下障害看護分野におけるB課程開講(特定行為を組み込んだ新たな認定看護師教育課程)は全国初。 摂食嚥下障害看護認定看護師には、摂食・嚥下機能の改善のほか、嚥下性肺炎予防、化学療法、放射線治療中の口腔トラブル予防、改善などの役割が期待されている。(山崎実)

学童疎開の思い出 《くずかごの唄》83

【コラム・奥井登美子】私は土浦市立真鍋小学校の学校薬剤師を何年か勤めた。この学校には、校庭のまん真ん中に、昔寺子屋だったときの名残の桜の古木がある。入学式の日は、6年生が新入1年生をおんぶして満開の桜を一周する。 初めてこの光景をみたとき、私はどういうわけか、涙があふれて、あふれて、止まらなくなってしまった。私にとって小学6年生は生涯で一番忘れられない年なのである。 昭和19年の夏休み、私たち小学生は空襲時に備えて、3年生から6年生まで東京から強制疎開しなければならないことになった。縁故のある人は縁故疎開。ない人は学校ごとの学童集団疎開。成績順にクラス分けしていたので、1番組の男の子は3中(今の両国高校)、女の子は7女(今の小松川高校)を目指していた。 仲良しだったクラスメートとバラバラに別れてしまう。そのとき、皆で「3月12日の都立の受験日には帰ってくる」堅い約束をしてしまった。 父も母も京橋生まれで、田舎に親戚のない私と3年生の妹は、集団疎開を選ぶしかなかった。上野駅に送りに来た父は「困ったことがあったら、すぐ連絡してください。迎えに行くから」と言ってくれた。 山形から長野へ再疎開