木曜日, 8月 5, 2021
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冬場に大気がアンモニア運ぶ 霞ケ浦の富栄養化対策に一石 茨城大

【相澤冬樹】秋から冬にかけて農地に散布された堆肥が高濃度の大気中アンモニアとなり、北寄りの季節風に乗って湖上に流されている―と、霞ケ浦の富栄養化対策に一石を投じる論文が発表された。執筆当時、茨城大学大学院農学研究科大学院生だった久保田智大さん(現・日本原子力研究開発機構所属)が中心となり、茨城大学の堅田元喜さん(現・同大学特命研究員)、国立環境研究所、気象研究所、京都大学、森林総合研究所などによる研究グループの論文としてまとめられ、10日公表された。 アオコの発生など、水質悪化に悩む霞ケ浦では、窒素やリンなどの栄養分が河川を通じて湖沼に流れ込むため、調査や対策は流域に範囲を広げて行われなければならない。湖水だけを調べても効果的な対策は打ち出せないわけで、今回は水の流れにとどまらない大気を介した窒素流入の実態解明に流域規模で取り組んだ。国内ではほとんど調査されていなかったプロセスだ。 大気を通じた窒素の供給源には、畜舎・堆肥舎や肥料散布などによりアンモニアが大気中に排出され、雨水に取り込まれて陸上に落下する「湿性沈着」や、ガスとして湖沼の表面まで運ばれ吸収される「乾性沈着」の例が知られる。アンモニアの沈着は、生物の必須元素である窒素化合物の供給源として本来有益だが、湖沼のような閉鎖水域に過剰に供給されると植物プランクトンが異常に繁殖し、アオコの発生などにつながる場合がある。 研究グループは、霞ケ浦流域の住宅地、森林、農地、湖上など36地点に大気採集のためのサンプラーを設置し、そのうち17地点で最長1年4カ月にわたって大気中アンモニア濃度を観測した。 その結果、観測期間中の土地利用別の月平均アンモニア濃度は、農地、湖、住宅地、森林の順に高かった。特に排出量が大きい霞ケ浦の北部を含む農地や湖では、大気中アンモニア濃度が冬季に最大となることがわかった(図参照)。同じ流域の内部で、湖沼と隣接する畜産地帯との間に大気を介した循環(揮散・移流・沈着)が生じている可能性が示された。 観測期間中の大気中アンモニア濃度の月平均値の季節変動(土地利用別に平均)

気候変動で白濁するコメ 茨城大 回避策まとめ報告書

【相澤冬樹】茨城大学(水戸市文京)に昨年4月設置された県地域気候変動適応センター(横木裕宗センター長)がこのほど、研究成果を初めての報告書「茨城県における気候変動影響と適応策―水稲への影響」にまとめた。気候変動の影響は、稲作においては白濁した白未熟粒の増加など品質低下の形で全国的に顕在化しており、本県も例外ではない。コメの品質低下の回避に向け、中長期的な適応戦略を具体的に示した。 収量減ないが品質低下が顕在化 報告書は水稲への影響と適応策に焦点を絞った。最新の予測データや予想される気候の変化に適応し、持続的に生産を行うための考え方について、「一般向けのわかりやすい言葉で紹介した」という。執筆者には同大学、県と県農業総合センター関係者のほか、農研機構(つくば市)の研究者が名を連ねている。 報告書は気候変動への適応策の考え方と大学や県の動きを概説した上で、茨城県の水稲生産の現状と今後の影響予測について解説。今後極端な降水量が増加することや、気候のシミュレーションモデルとその補正方法によって、本県の気温上昇の予測値が日本全体と比べて高くなる可能性も示された。 実地の研究例として、JAつくば市谷田部「有機稲作研究部会」の取り組みが紹介された。土壌中の窒素量が白未熟粒発生率の低減に関与する傾向がみられ、平均地温が上昇すればするほど白未熟粒の合計割合が上昇する関係が見出されている。 県西・南部から優先対策を シミュレーションでは、近い将来にかけ、温暖化により水稲の収量が大きく減る地域は予測されないものの、白未熟粒の発生率は県西・南部から高くなっていく予測値が得られた。高温耐性品種や発生低減技術の導入といった適応策をこれらの地域から優先的に進めていく必要があるという。白未熟粒の発生を抑えるためには、10年に0.5度のスピードで気温上昇する想定に基づき、高温耐性品種を開発・導入すべきという指標を示している。 たとえば、県内で栽培される水稲は、品種構成が 「コシヒカリ」に大きく偏っていることで、収穫作業が短期間に集中することが問題となっていた。作業の集中により適期の収穫が困難となり、刈り遅れによる品質の低下を招いた。高温下でも品質が安定する早生品種 「ふくまる」など県育成の新品種の導入をはじめ、移植日の変更、スマート農業化などを提案。これら具体的な適応策ごとの時間・コスト・効果を踏まえて、中長期的な適応戦略を立て、生産者・行政・研究者・企業等が連携した取り組みを進めるべきだとまとめた。 センター長を務める同大学大学院理工学研究科の横木裕宗教授は、「大学として気候変動の適応策に関する様々な研究分野の研究の蓄積があったため、全国の地域気候変動適応センターの中でもいち早く報告書を出すことができた。水稲生産への影響予測は、農業県の茨城にあって最も関心が高い情報の一つだ。報告書が、各生産者における持続的な農業の見通しや自治体による支援策の一助となれば」と話している。 同センターは、茨城大学が事業者を務め、気候変動の影響予測の情報提供や自治体の気候変動適応計画の策定支援などを行う。2018年に制定・施行された気候変動適応法に基づき、全国で初めて大学を事業者とする地域気候変動適応センターとして昨年4月1日に設置された。 ▼データ版(PDFファイル)はこちら

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中腹の筑波山観光案内所をリニューアル つくば市

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黄金虫の運命 《くずかごの唄》90

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つくば市は4日、市立学校教員が3日、新型コロナウイルスに感染したことが分かったと発表した。 教員が勤務する学校での濃厚接触者はいないという。 学校は夏休みのため、休校などはないとしている。

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つくば市の五十嵐立青市長は4日開かれた定例記者会見で、失業したひとり親や学生を新たに雇用した市内企業などの雇い主に、市独自の雇用促進交付金を1人の雇用に付き最大15万円上乗せすると発表した。新型コロナの感染拡大により、就職が厳しくなっているひとり親や、アルバイト先が減少している学生の雇用を促進することが目的。4日から受け付けを開始した。 新型コロナ対策として同市は昨年6月から、失業者を雇用した市内の企業や個人などを対象に、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は一時金として1人雇用に付き最大20万円を交付してきた。週20時間以上、3カ月以上の期限付きで雇用した場合は1人最大10万円を交付している。学生アルバイトに対しては、週10時間以上勤務する学生を雇用した場合、1人最大10万円を交付している。 4日から新たに、ひとり親を週30時間以上、期限の定めありで雇用した場合は最大15万円、週20~30時間の場合は最大10万円を、これまでの交付金に上乗せして事業主に支給する。 学生アルバイトについては支給対象を拡大し、週10時間に満たなくても、週5~10時間勤務する学生を雇用した場合、1人最大5万円を事業主に交付する。 ひとり親を雇用する中小企業などへの支援については、国の制度として、ハローワークなどの紹介で、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は60万円、週20~30時間勤務の場合は40万円を企業に助成する特定求職者雇用開発助成金制度がある。 今回つくば市が拡充した制度は、国の助成対象にはならない、期限の定めありでひとり親を雇用する雇い主に交付するという。