木曜日, 10月 6, 2022
タグ 居住支援法人

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路上生活者からの相談 《続・気軽にSOS》90

【コラム・浅井和幸】私が代表理事をしているLANSという一般社団法人があります。「住宅確保要配慮者居住支援法人」というカテゴリーで活動をしています。平たく言うと、アパートを借りにくい人たちに住まいの確保についてアドバイス。地域で孤立していたり、住宅に安定して住み続けられない可能性がある方の見守りなどを行っています。 生活困窮者、高齢者、障害者、1人親世帯、被災者、DVからの避難者、外国人など、様々なカテゴリーの方に対応しています。このところ、新型コロナを原因とする離職なども多く、これらの方々にも対応しています。 ある日、次のようなメールが届きました。「はじめまして。今、路上生活をしております。電話回線がつながっていないので、メールさせていただきました。所持金もない状況ですが、相談に乗っていただけないでしょうか」 電話の契約を解除したけれど、フリーWi-FiがあるところでLANSを見つけ、メールしたとのことでした。路上生活で目を悪くし、一刻も早く医療につなげなくてはいけない急を要するケースでしたが、メールでのやり取りなので会うまでに数日を要しました。 お会いしたらとても聡明(そうめい)な方で、電話を解約したのも、社会復帰するときにスマホ契約ができないブラックの状態ではまずいと考えて、自ら解約したとのことでした。気ままな路上生活を数年されていたのですが、多くあった貯金も底をつき、自分だけの力では社会復帰ができないところまで来てしまい、協力をお願いしたいとのことでした。 仕事を見つけ税金を払う生活へ

《続・気軽にSOS》62 職と住まいを失ったある男性

【コラム・浅井和幸】男性は孤独で生きてきた。家族との連絡も途絶え、友人もいない。アルバイトをして暮らしていたが、真面目に働き、貯金はなくとも、ぜいたくをしない彼にとっては不自由ない暮らしだった。もうすぐ30歳になることを考え、正社員として働きたいと考えるようになった。たまたま、ある職人の下で働ける機会を得た。 真面目に働いて貯金もしていくぞと意気込んだが、2回ほど働いた後、職人の携帯に連絡してもつながらなくなった。下請けのまた下請けのようなところで、新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなったのかもと考えた。訴えて時間を使うより、これからを考えて動こうと思った。 収入がなくなり、仕方なく原付きスクーターとわずかばかりの荷物で、ほぼホームレスの状態になった。少しだけ手元にあったお金で、ネットカフェでシャワーを浴びることもあったが、ほとんどは野外で寝泊まりした。体力に自信があったので、この状況が絶望するほどの苦しみではないが、このままではいけないので何か方法はないか考えた。 ネット検索をして、たまたま居住支援法人という住まいを相談するところを見つけた。人にだまされることが多い人生だったが、その取材記事のようなネットのページを見て大丈夫だと思って電話をかけてみた。 住む場所が決まり 新生活が始まった 穏やかな口調で電話に出た居住支援法人の男は、こちらの状況を聞き、対処法をいろいろと考えているようだった。「今日は金曜日で17時をかなり過ぎている。近くの行政窓口に行けるのは月曜日になってしまうね」と言ったその居住支援法人の男は、「いますぐ動くことは可能ではあるけれど、明日まで今の状況でも生きていられる?」と聞いてきた。

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「おみたまヨーグルト」 《日本一の湖のほとりにある街の話》4

【コラム・若田部哲】夏。小美玉市の畑では「おみたまピラミッド」と呼ばれる、緑色の巨大な堤防のようなものが築かれます。その正体は、酪農家が育てた高さ4メートルにもなるトウモロコシを、刈り取り破砕して、ショベルカーやブルドーザーなどの重機でうず高く積み上げたもの。まるで土木工事のようですが、これを乳酸発酵させることで、乳牛のための良質な飼料となるのだそうです。 茨城県No.1の生乳生産地であり、2018年には「第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉」が開催され、2日間で約4万人を動員した酪農王国・小美玉市。今回は、同市で30年以上にわたり、良質な乳製品を作り続けてきた「小美玉ふるさと食品公社」の木村工場長に、同社のヨーグルトのおいしさの秘密について伺いました。 おいしさの下地として、まず木村さんが挙げたのが、同社の前身である堅倉(かたくら)村畜牛組合が掲げた「土づくり・草づくり・牛づくり・人づくり」というモットー。冒頭で紹介した「おみたまピラミッド」は、まさにその言葉の象徴となる風景なのです。 そして次の秘密が、小美玉市の酪農家の密度の高さ。「酪農」といえば、多くの方はまず北海道を連想するかと思いますが、北海道は広大なため、各酪農家の距離が離れています。それに対し、小美玉は日本一酪農家の密度が高いため、生乳を速やかに酪農家から加工場である公社まで運搬することが可能です。 ヨーグルトは生乳の鮮度が命 ヨーグルトの原料となる生乳は鮮度が命のため、このスピード感は製品の品質向上のための大きなメリット。毎朝新鮮な生乳を酪農家から集め、少しでも鮮度が落ちないうちに加工するという基本に忠実な作り方が、同社のヨーグルトのおいしさの何よりのポイントなのだそうです。

文章を磨き上げる速記者の腕 つくば 竹島由美子さん【ひと】

つくば市松代の竹島由美子さん(74)は51年にわたり、速記者という仕事に一筋に向き合ってきた。現在は都内の速記事務所から委託を受け、自宅に届く講演会やインタビューの録音をパソコンで文字に起こす仕事を続けている。現場に出向く仕事はほとんどなくなり、速記の符号に出番はないが、培った技術を生かし仕事に磨きをかけている。 速記は、簡単な線や点でできた符号などを使って、人が話す言葉をその場ですぐさま書きとり、それを解読して文章に書き直すまでの作業を指す。 竹島さんは「符号の出番がなくなってきたことは寂しいが、技術の進歩に助けられて仕事を続けてこられた」と話す。コロナ禍で仕事がキャンセルになったことがあったが、仕事が物心両面で支えになっているという。時代とともに新たな言葉が生まれたり、流行したりする。これからも毎日2紙の全国紙に目を通して話題や言葉にアンテナを張り、レベルアップを図っていきたいという。 アナログ録音機で独学 東京生まれ。中学生の頃から作文や感想文を書くのが好きで、子ども向けの雑誌に載っていた「速記文字を使えば人の話が書ける」という速記専門学校の宣伝文句にひかれたのが始まり。当時は速記学校の募集広告が多く見られ、「就職したら速記を勉強しよう」と決めたという。 高校卒業後、比較的休みの多い学校の事務職員なら速記を勉強するのに都合が良いと考え、明治大学の採用試験を受けて職員に採用された。

素人になり切れない世界の片隅で 《ことばのおはなし》50

【コラム・山口絹記】ファインダー視野率、ダイナミックレンジ、開放描写、色収差。これらの単語、何の用語かわかるだろうか。 カメラとそのレンズに関するマニアックな専門用語である。あえてマニアックと書いたのは、こんな用語知らなくても写真は撮れるからだ。あえて言い切ってしまおうか。こんな用語知らなくていい。知らなくていい、のだけど、知らないでいる、ただそれだけのことが、私たちの生きるこの世界では、もはや難しくなってしまった。 例えばカメラが欲しいと思った時、まず何をするだろう。身近に写真をやっている知り合いがいなければ、きっとおすすめのカメラを見つけるためにネットで検索をするだろう。 おびただしい数のおすすめカメラが提示され、使用するレンズの大切さを一から教示してくれるはずだ。ついでにプロレベルの撮影技術から、あらゆる専門用語にまみれたレビュー情報を摂取できる。これらの知識を雑誌や専門書で手に入れようとしたら、なかなかの金額がかかるはずだ。しかし、ネットで閲覧している限り、全部無料である。ああ素晴らしい新世界。 とはいえ、ある程度の前提知識があればありがたい情報も、これから何かを始めようとしている者には過度な情報の激流に違いない。無料でいくらでも情報が手に入るこの世界線で手に入らないモノ。それは情報に対する適切なフィルターなのだ。 「いちいちうるせぇな」「これでいいのだ」

孤立し苦境に立つプーチン大統領 《雑記録》40

【コラム・瀧田薫】ウクライナ軍が、9月中旬以降反転攻勢に出て、ロシア軍に占領された北東部の要衝を奪還しつつある。これに対し、プーチン大統領は、9月21日のロシア国内向けテレビ演説で、予備役に対する部分的動員令(30万人の徴兵)を発動すると宣言し、さらにウクライナ東部や南部のロシア軍占領地域において住民投票を実施し、その上でロシア領に併合する意向を示した。 この演説で特に注目されるのは、新しくロシア領(クリミア半島を含む)となった地域をウクライナ軍が奪還しようとすれば、「あらゆる手段でこれに対抗する」としたことである。この「あらゆる手段」とは、具体的には何を指しているのだろうか。ラブロフ外相が国連総会の一般演説で、ロシアに編入される地域を防衛するために核兵器を使用する可能性を示唆していることと重ね合わせれば、狙いの一つは「核兵器の使用」であり、もう一つは「ウクライナに対する宣戦布告」であろう。 プーチン大統領は、これまでロシア国民を報道管制下に置き、ウクライナ侵攻が国民生活とは遠い世界の出来事であるかのように伝えてきた。しかし、今回の演説のなりふり構わぬ内容は、ウクライナ侵攻当初の楽観が根底から崩れ、ロシア軍が苦戦している事実をプーチン大統領自らが告白したに等しい。 当然、国民一般の受けたショックは大きく、ロシア国内の複数の都市で市民による反戦デモが発生し、徴兵を恐れる市民やその家族が飛行機や車を利用してロシア国外に脱出し始めているとの情報も伝わってきている。当面、この混乱が政権の土台を揺さぶるほどに拡大することはないだろう。また、ロシア軍によるクーデターが起きる可能性もさほど大きなものではないだろう。 独裁者の妄想という不条理 しかし、ウクライナ侵攻の大義、すなわちロシアの過去の栄光を取り戻し、大国としてのパワーを維持し続けるための軍事力行使は、はっきり裏目に出たというのが軍事専門家大方の見方である。それでも、プーチン大統領は侵攻をやめないし、やめられない。