日曜日, 10月 24, 2021
タグ 国際宇宙ステーション

Tag: 国際宇宙ステーション

国際宇宙ステーションから放出された謎の物体 《食う寝る宇宙》91

【コラム・玉置晋】社会人大学院生として、興味をもって取り組んでいる研究テーマの一つに、人工衛星の「落ちる問題」と「落ちない問題」があります。 「落ちる問題」は、地球の高層大気の温まり具合が大きくて、高度600キロ以下を飛行する人工衛星の周りの大気密度が増え、人工衛星への大気抵抗が増えること。結果として、人工衛星の速度が落ち、高度が落ちます。許容以上に落ちる場合、人工衛星の運用上よろしくないので、これを研究することはとても重要なことです。 「落ちない問題」は、いわゆる宇宙ゴミの問題に直結していて、高度600キロより高い所を飛ぶ人工衛星は、ブレーキをかける大気がほとんどないため、地球に落ちることなく、軌道上にとどまり続けます。実用衛星の多くは高度600キロより高いところに打上げられているので、落ちてくるのに数10年(高度700キロ)、数百年(同800キロ)、数千年(同1000キロ)かかりそうだということが分かりました。 このような研究を行っているので、宇宙空間にどんな物体が放出されているか、アメリカ軍が公開している宇宙物体の軌道データのカタログを定期的にチェックしています。 何らかの秘密ミッション? この軌道データのカタログをみると、2021年6月22日、国際宇宙ステーションから日本の機関が所有する新たな物体が放出されたことがわかりました。本コラムの執筆時点で公式の発表はありませんので、何らかの秘密ミッションが遂行されている可能性があります。

《食う寝る宇宙》63 かっこいい宇宙船の打上げ!

【コラム・玉置晋】2020年5月31日の早朝、僕は宇宙オタクの皆さんによるTweet合戦をニヤつきながら眺めていました。この日は宇宙開発にとって記念すべき日となりました。アメリカの民間宇宙企業「Space X」により、NASAの支援の元で開発された新型宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」が2人の宇宙飛行士を乗せて、国際宇宙ステーションに向けて打上げられました。 この新型宇宙船はデザインが近未来的で、とにかくカッコいい。スペースシャトルのコックピットには多数の機械式スイッチ類がありましたが、Crew Dragonには、ほとんど見当たりません。3つの大きなタッチスクリーンに、リアルタイムの飛行状況や船内環境などが映し出されます。宇宙服もSF映画さながらです。 昨年3月、「Crew Dragon Demo-1」という無人テスト飛行(宇宙服を着たダミー人形を搭載)が行われて、国際宇宙ステーションにドッキング・分離後、無事に地球に帰還しました。 今回は、「Crew Dragon Demo-2」として、有人による最終テストを行っています。基本的に、Crew Dragonは国際宇宙ステーションとのドッキングまで自動運行で、地上のミッションコントロールセンターが飛行状況をモニターしますが、今回は、緊急時のテストとして宇宙飛行士による手動操作も行われました。

《食う寝る宇宙》59 国際宇宙ステーション見えたよ!

【コラム・玉置晋】仲良しの宇宙ファミリー(2019年8月22日コラム参照)からこんな報告が届きました。4月6日と7日の夕方、茨城から国際宇宙ステーションが見えました。しかも、満月お月様との絶好のコラボレーションです。おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、3人の子供たちで観測したそうです。お父さんは残念ながらお仕事で不在だったとのこと。 おばあちゃん「中はどんな感じかな?」 子供「ししむん(僕の愛称)がいるんじゃないかな?」 お母さん(関西人)「あの人はコレステロールが高いから、宇宙に行けないんやで」 国際宇宙ステーションは、地上から約400キロの上空を、時速2万7700キロ!で飛行しています。とんでもない速さですね。地球1周たったの90分。 こんなに速いのですが、観測に適した軌道だと、地平線を登り始めてから、天頂を経て、再び地平線に沈むまで、10分~15分間の飛行軌跡を追うことができます。地上は夜でも、国際宇宙ステーションには太陽の光が当たって、反射する時が観測のチャンスとなります。

Most Read

成果高い施策に重点化 最終年度の森林湖沼環境税

茨城県独自の県民税として2008年度から徴収し、県内の森林保全・整備や霞ケ浦など湖沼・河川の水質保全事業に活用しててきた森林湖沼環境税が今年度で最終年度を迎え、開会中の県議会で与野党の論戦を呼んでいる。 すでに県内の林業や浄化槽など水質保全関係業界などから「継続」を求める陳情書が提出され、県議で構成する県森林・林業・林産業活性化促進議員連盟も歩調を合わせている。 同税は県民均等割超過課税方式により、県民1人当たり年間1000円を徴収(県民税均等割が非課税者は除く)している。08年度から今年度当初予算までの税収は約235億円となり、基金により他の税収と区分して管理している。 県議会の質疑応答の中で大井川和彦知事は、同税は当初、間伐など森林整備・管理の推進などに重点を置いていたが、知事就任後の18年度から方針を転換し、経営規模の拡大に意欲的な林業経営体への支援等を通じ、森林経営の集約化を推進してきた、結果、集約森林は17年度末の約2300ヘクタールから20年度末には約1万ヘクタールまで拡大した、自立に向けた規模拡大が進む成果がいわれてきていると、成果を強調している。 一方、湖沼、河川の水質保全では、特に霞ケ浦の水質浄化に関連し、高度処理型浄化槽の設置、下水道・農業集落排水施設への接続などに、重点的に活用したと強調。さらに小規模事業所の排水対策として、基準超過に対し罰則や改善命令ができる水質保全条例を改正、今年4月1日の条例施行前に、霞ケ浦沿岸の小規模事業所を立ち入り検査による指導で強化し、霞ケ浦のCOD(化学的酸素要求量)値は税導入前の1リットル当たり約9ミリグラムから約7ミリグラムに低下したとしている。 しかし近年は横ばい状態にあり、知事自ら「従来の枠組みにとらわれず、成果の高い施策にさらに重点化が必要なのではないか」と問題提起している。

宇宙天気防災戦略 《食う寝る宇宙》96

【コラム・玉置晋】災害は忘れたころにやってくる。地球物理学者の寺田寅彦先生の言葉と言われておりますが、宇宙天気による災害は忘れるどころか、経験したことがある方はほとんどおりません。 ただ、2003年のハロウィンの時期に宇宙業界で働いていた方は、痛い目に遭われたと思います。同年10~11月の地球周辺のプラズマ環境の悪化は、日本の人工衛星1基の息の根を止めるとともに、動いていたミッションの総点検が入ることになり、日本の宇宙開発が止まる事態となりました。 ただでさえ就職氷河期であった上に、宇宙業界の採用がほぼなくなり、当時、就職活動を控えていた僕は翻弄(ほんろう)されたものです。だから、僕はハロウィンが嫌いだし、宇宙天気を甘く見るのも嫌いです。宇宙天気は因縁の相手だと思っています。 英国の宇宙天気準備戦略 9月に英国で「UK Severe Space Weather Preparedness Strategy(英激甚宇宙天気準備戦略)」というドキュメントが出版されました。出版したのは英ビジネス・エネルギー・産業戦略省です。

自国の文化、価値観など語る 筑波学院大オンライン学園祭で海外出身教員

筑波学院大学(つくば市吾妻、望月義人学長)の学園祭、第30回KVA祭が23日、「No Rain, No Rainbow」(ノーレイン、ノーレインボー=雨が降らなければ虹は出ない)をテーマにオンラインで催された。学院大の池口セシリア教授らによる国際交流委員会主催のクロスカルチャーフォーラムでは「グローバル世界に必要な新常識の発見」をテーマに、海外出身の大学教員がそれぞれの国の文化や価値観について英語と日本語で話した。 ベルギー出身で筑波大学教員のヴァンバーレン・ルートさん、カナダ出身で茨城キリスト教大学教員の沼館ジェニーさん、ネパール出身で筑波学院大教員のパンダ・ボーラさんの3人がそれぞれ話した。 ヴァンバーレンさんはベルギーについて、公用語がフランス語、オランダ語、ドイツ語と3つあり、それぞれの地方の方言もあって、ポスターや道路標識も複数の公用語と方言で表記されているなどと紹介。その上で、常識とは何かについて話し「日本人はかぜをひくとマスクをするが、ベルギーではかぜをひいてもマスクをしない。しかし新型コロナでベルギーの人もマスクを着けるようになったり、日本ではコロナ禍でハンコを押す押印文化が変わりつつあるなど、常識は変わる」などと話した。 沼館さんはカナダについて「平等主義で、多文化、多様性をすごく大事にしている国。同性婚を2005年から認めている。多文化主義を法律で定め、守っている」などと紹介し、カナダ人について「カジュアルだが、日本と似ていて礼儀正しい」と話した。「毎年30万人近くの移民があり、いろいろな人、いろいろな文化があるので互いに尊重、尊敬しないとうまくいかない」「消費税は13%と高いが、学校や医療は無料」などと紹介した。 視聴した学生からは「ベルギー、カナダ、ネパールに将来行きたい。お薦めの場所を教えて」「ベルギーはサッカーが強い印象があるがサッカー以外で人気のスポーツは何か」などの質問が出た。

動き出す次世代がん治療法「BNCT」 10年目のつくば国際戦略特区

つくば国際戦略総合特区事業の1つ、次世代がん治療法「BNCT」(ホウ素中性子捕捉療法)の開発実用化プロジェクトで、筑波大学と高エネルギー加速器研究機構は11月から、いばらき中性子医療研究センター(東海村白方)に設置した照射装置・実証機で非臨床試験を開始する。 同特区事業は2011年12月にスタートしており、プロジェクトは10年目にして、ようやく装置の薬事承認申請を行うために必要となる「治験」の前段階にたどりついた。iAc、ステラファーマ、日立製作所、千代田テクノル、NAT、新日本科学の関連各社が協力する。 コンパクトな加速器、安全性確保に腐心 BNCTは、がん細胞に選択的に集まる特性を有するホウ素薬剤をあらかじめ患者に投与し、中性子線を照射して、がん病巣を選択的に破壊する放射線治療。がん細胞内のホウ素は中性子と核反応を起こして、アルファ線などを発生する。発生した粒子は人間の体の中では10マイクロメートル(細胞1個分の大きさ)以下しか飛ばないため、ホウ素を取り込んだがん細胞だけが破壊され、正常細胞は温存されるという原理による。 難治性の頭頸部(とうけいぶ)がんや悪性脳腫瘍などの治療法として有力視され、長年研究されてきた。2011年3月以前は中性子の発生源に、東海村にあった実験用原子炉などが用いられたが、実用化に向けては病院にも設置できるよう、小型化と安全性が求められた。特区事業では加速器ベースの中性子源の導入が図られた。 リニアック(線形加速器)で陽子を加速し、標的にぶつけて中性子ビームを発生させる。設計の段階から開発に携わったのが、筑波大学陽子線医学利用研究センター、熊田博明准教授(医学医療系生命医科学域)だ。加速器を一式組み立ててから、非臨床試験に使える状態まで改良した装置は、つくば型BNCT用照射装置・実証機(iBNCT001)と名付けられた。