木曜日, 3月 30, 2023
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高校生と被爆者の対話から生まれた一枚の絵 「あの夏の絵」つくば公演を前に

原爆被害の証言を聞き取り、一枚の絵にする-。広島の高校生による、被爆者の記憶を継承する取り組みをもとにした舞台劇「あの夏の絵」(福山啓子作・演出)が12月16日、つくばカピオホール(つくば市竹園)で開かれる。これを前に、同作品を手がけた福山啓子さんによるトークイベントが30日、つくば市内のせせらぎクリニックで行われた。会場では、つくば市出身のギタリスト、稗田隼人さんによる演奏と福山さんとの対談も行われ、市内外から約30人が足を運んだ。 福山さんは2014年、原爆の被害を描いた絵に圧倒された。その絵は、広島市立基町高校創造表現コースの生徒たちによる作品だった。2007年から同校は、広島平和資料館による原爆の記憶を継承するプロジェクトに参加し、毎年、約9カ月にわたり被爆者と生徒が対話を繰り返しながら、被爆の記憶を一枚の絵にすることを続けている。福山さんは、この絵画作品との出会いがきっかけとなり、何度も広島へ足を運び「あの夏の絵」を完成させた。作品は2015年に初演されている。30日は、描かれた絵をスクリーンに投影しながら、生徒と被爆者のやりとりなど、作品の背景を福山さんが解説した。 広島で出会ったある生徒は、それまで蓋をしていた自分の記憶を掘り起こす被爆者の話に耳を傾けながら、亡くなった一人ひとりの人生を想像する過程で「描いていた遺体が人間になっていった」と福山さんに語った。「残酷さが足りない」と言われた生徒は、平和教育ではわからない、想像を絶することが起きていたことを知った。別の生徒は「かわいそうだから」という言葉を聞き、大八車に乗せられた遺体の絵に、当初はなかった布団を描き入れた。こうした行為を福山さんは「それぞれの思いが重なってできた作品。供養の意味もある」と説明する。取材を通じて「(生徒と被爆者が)一緒になって作る絵」だと実感した。 「若い人に見てもらいたい」中高生100人を招待 「あの夏の絵」には、広島で出会った高校生をモチーフとした3人が登場する。異なる立場で被爆者と向き合い絵を描くなかで成長していく若者の姿を描いた。福山さんは「高校生の皆さんにも、色々なことを感じてもらえるんじゃないかと思っている」と呼びかける。 主催するのは、つくば市内で活動する複数の市民団体による「『あの夏の絵』を観る会」。代表の穂積妙子さん(73)は、「亡くなる方も増えている中で、戦争体験の継承は難しくなっている。思いもかけない形で戦争が始まったこういう時期だからこそ、若い人に見てもらいたい。伝わることがあるはず」と話す。

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音楽家たちに発表の場を つくばのカフェで演奏会

カフェやレストランなどを使って音楽家が発表する場をつくりたいと、つくば市内で飲食店を経営する飯泉智弥さん(49)が音頭をとり、同市竹園の商業施設、ヨークベニマルタウン内のエヌズ カフェ(N's Café)で20日、家族連れや関係者を招いたミニコンサートが開かれた。 飯泉さんは2017年に、小学1年生から大学生までの「筑波ジュニアオーケストラ」の立ち上げに尽力した(2017年10月27日)。21年にはつくば駅前の商業施設トナリエつくばスクエア・クレオに地元の音楽愛好家たちのためストリートピアノ「つくぴあ」を設置した。 その後、ストリートピアノの利用者たちの間から、定期的な音楽会をやってみようという声が上がったという。 飯泉さんは、どんな形で開催できるか、まずは試しにやってみようと、自らがオーナーとなっているカフェをプレ・イベントの開催会場とした。 店内のどの場所で演奏するか探りながら、当日はカフェの中央にステージを作った。来店客は、テーブルに座って食事をしながら音楽を聞く形になった。

3回目の桜《短いおはなし》13

【ノベル・伊東葎花】 早春の公園。青空に映える満開の桜。 私は公園のベンチに座って、砂遊びをする息子を見ていた。 「見事に咲きましたなあ」 隣に座る老人が話しかけてきた。 老人は、息子を見ながら言った。

数センチの隆起や沈下を面で可視化 「地殻変動の地図」公開

国土地理院 人工衛星データを解析 国土地理院(つくば市北郷)は28日、日本全国の大地の動きを可視化する「地殻変動の地図」を公開した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の観測データ8年分を用いて作成された変動分布図で、地形のわずかな隆起や沈下を彩色によって分かりやすくとらえられるようにした。 公開された全国地殻変動分布図は「地理院地図/GSI Maps」により一般にも簡単にアクセスし閲覧できる。 地殻変動分布は「だいち2号」の合成開口レーダー、SAR(Synthetic Aperture Radar)技術によって得られた。人工衛星から地表に向けて電波を照射し、戻ってきた電波を受信し、往復にかかる時間により地表までの距離を面的に観測するセンサーの一種。人工衛星では、地球を周回しながら同一地点に異なる方向から電波を2回、照射し観測することで、大きな開口を持ったアンテナと同様な解像度を得る。 微小な地形の変化を正確に読み取るには、統計的処理のために大量のデータが求められた。2014年8月から8年以上の観測データを得て、時系列解析を行った。国土地理院宇宙測地課、佐藤雄大課長によれば、衛星からの撮影は約1500回に及び、画像枚数にして6400枚のデータを得たという。

仕様書不備で落札決定取り消し つくば市

つくば市が3日に開札を実施した同市佐地区と上菅間地区2カ所にある生活排水路浄化施設の維持管理業務の一般競争入札で、同市は28日、業務委託の仕様書の中で、汚泥の処分方法を「産業廃棄物として処分する」など明記すべきところを明記していなかったとして、落札者の決定を取り消し、入札を不調にしたと発表した。 市環境保全課によると業務委託の内容は、2カ所の浄化施設を今年4月から来年3月までの1年間、維持管理点検し、汚泥を清掃し処理するなどの業務で、2月10日に一般競争入札が告示された。予定価格は約276万円で、3者が入札に参加。今月3日に開札が行われ、落札業者が決定していたが、28日までに仕様書の記載内容に不備が確認されたとして、落札者の決定を取り消す。 今後の対応について同課は、入札業者に事情を説明すると共に、4月以降の業務について、数カ月間は随意契約とし、その間に入札の準備を進めて、改めて入札を実施するとしている。 再発防止策として、仕様書を作成する際は複数名により記載内容の確認を徹底し、適正な仕様書を作成することで再発防止に努めますとしている。