ホーム 暮らし

暮らし

思い出の宝来館を再現 創業100年、無声映画上映会 9月8日つくば山水亭

【橋立多美】サンスイグループ(つくば市小野崎)が創業100年の記念事業として、常総水害復興支援チャリティーイベント「無声映画上映会」を9月8日、つくば山水亭(同)で開催する。 上映作品は、数々の傑作コメディ映画を作り「喜劇王」の異名を持つチャールズ・チャップリン主演の「チャップリンの消防夫」、大河内傅次郎主演の「血煙高田の馬場」、嵐寛寿郎主演の「鞍馬天狗」の3本。活動弁士の第一人者・澤登翠(さわと・みどり)さんによる台本と解説、ギター、三味線、フルートの生演奏が映画に息を吹き込む。 同グループは1919年(大正8年)、現常総市水海道に創業した穀物を扱う「東郷商店」が始まり。娯楽のなかった戦後の46年に映画館を営み始め、水海道の宝来館のほか県内16の映画館を運営した。現在は、3代目社長の東郷治久さんが、つくば市を事業の中心としてホテルやレストラン、教育事業など経営の多角化に取り組んでいる。 この催しを創業100年記念事業と位置づけた東郷さんは「思い出の宝来館を再現したい」と話し、またチャリティーイベントについては「常総市はサンスイグループの出発点だから」と語った。収益を2015年の鬼怒川水害で甚大な浸水被害を受けた常総市に寄付する。 水海道に生まれ、15歳で宝来館で映画看板の修業を始めた、つくば市在住の元映画看板師井桁豊さん(83)は東郷さんと親交が深い。チャリティーイベントに共感して描いた無声映画上映会の看板が、つくば山水亭に華を添えている。 井桁さんは「日本で初めて映画が上映されたのは明治30年頃のことで、無声映画は映画の原点。実際に澤登さんの活弁を聞いたが語り口の見事さに驚いた。黒白写真的な画像と澤登さんの話術が相まった無声映画の世界を楽しんでほしい」と話す。 ▼上映は9月8日(土)午後1時~、12時30分受付。入場料は一人1500円。つくば市小野崎251。問い合わせは電話029-855-8181(山水亭)。 ※メモ 【活動弁士】無声映画の内容を語りで表現して解説する。老若男女に関わらず、登場人物ごとに声のトーンやせりふ回しを演じわける。略して活弁(かつべん)ともいう。

新川堤に菜の花を つくば国際大高で花プロジェクト始動

【谷島英里子】土浦市の中心を流れ桜の名所として知られる新川堤に菜の花を咲かせて、より彩りをもたらそうと、つくば国際大学高校(土浦市真鍋1丁目)の取り組み「つく国新川堤と菜の花満開プロジェクト」が25日、本格始動した。 新川は両岸に約200本のソメイヨシノが植えられている。同校の前を流れていて、春になると満開の桜が生徒や市民を迎える。歴史ある桜がより一層映えればと企画された。同校近くの新川橋から城北橋までの左岸約400㍍に菜の花の種をまいて桜の季節に咲かせる予定。 25日午前7時から、生徒や教職員、市民有志ら約60人が除草作業を開始。桜の根を傷つけないように、鎌や熊手を使って雑草の根や小石を取り除いた。空き缶やペットボトルのごみもあり、ごみ袋50枚がいっぱいになった。 作業に汗を流した2年の塚田大貴さん(17)と光田隼人さん(16)は「雑草の根が強く何回も除草しないといけないと思った。桜と菜の花を楽しみに頑張りたい」と口を合わせていた。 今年6~7月、菜の花の種が保護者などからの寄付で約50㌔分集まった。今後も雑草の刈り取りを行い、9~10月にかけて種をまく。県土浦土木事務所や市などの理解や協力を得ていて、同校は来春、桜と菜の花の開花に合わせてイベントを開催するという。 プロジェクト代表の横島義昭副校長は「地域も盛り上がるだろうし生徒にとっても地元愛や奉仕の精神が高まると思う」と話していた。

TX「こども美術館列車」26日から運行 特別貸切列車がつくば駅当着

【崎山勝功】つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道は、開業から13周年を迎えるのを記念し、8月26日から9月10日まで「こども美術館列車2018」を運転する。イベント前日の25日、沿線の小学生以下の子どもから公募した2064作品のうち、抽選で選ばれた150作品と描いた子どもと家族を乗せた特別貸切列車が、秋葉原~つくば駅間で運行され、午後0時25分につくば駅に到着した。 列車の中吊り広告部分に児童画を掲載し、子どもたちを乗せた特別貸切列車は午前11時22分に秋葉原駅を出発。車内では子どもたちが、同乗した大道芸人の繰り出す手品や風船を使った芸などを見て楽しんだりした。 作品は「TXと夏の思い出」または「同社のマスコットキャラクター・スピーフィを用いた「スピーフィと夏休み」をテーマに募集された。子どもらしいタッチで列車を描いた作品が多く、楽しかった夏の思い出が表現されていた。東京都から参加した小学6年生の男子児童(11)は「みんなよく描けていた。車内では手品を見せてくれたりして楽しかったし面白かった」と話した。 列車内に展示できなかった作品は、9月10日まで同線新御徒町駅(東京都)と同線八潮駅(埼玉県)の駅構内に設ける「こども美術館2018」に展示される。

法的な見方・考え方体験して 弁護士主催の「子ども法律学校」が人気

【田中めぐみ】子どもたちに法的なものの見方や考え方を体験してもらおうと、県弁護士会(星野学会長)に所属する弁護士らが毎年、夏休みと冬休みにボランティアで開催している「子ども法律学校」が人気だ。 今年の夏休みは28日、水戸地方裁判所土浦支部(土浦市中央)などで開催する。対象は小学校高学年、定員は60人で、県南の小学校に参加者を募集したことからすでに定員いっぱいという。 同弁護士会「市民のための法教育委員会」の弁護士らが取り組んでいる。内容は、参加者の半数の30人が水戸地裁土浦支部の法廷を使用して、童話を題材にした模擬裁判を体験する。もう半数は近隣の土浦市亀城プラザ(同市中央)で、事実を客観的に分析するのに役立つ「三角ロジック」=メモ=についての講義を受ける予定だ。 模擬裁判の題材は、過去には、グリム童話「三匹の子豚」を題材とし、侵入してきたオオカミを撃退した子豚には正当防衛が成立するかどうかなどを子どもたちに考えてもらった。子どもたちには、実際にオオカミ、子豚、裁判官などの役割を演じて法廷に立ってもらい、それぞれの立場で主張や反論を行って、相手を説得することや中立的判断を下すことの難しさを感じてもらったという。 法教育委員会委員の一人、「さくらパートナーズ法律事務所」(土浦市文京区)所長の中島隆一弁護士(39歳)は「裁判に参加することは一般市民にも無縁ではない。裁判員裁判では市民も一人の判断者として裁判に参加することになる。子どもたちも将来、裁判員の役割を担えるように、どのように裁判が行われるのかを小さいうちから学んで欲しい。童話を題材にすることで、難しい裁判制度を易しく疑似体験するお手伝いができれば」と話す。 法廷の様子は普段なかなか見ることができないため、子どもたちにとっては貴重な体験になるという。模擬裁判の傍聴は、参加する子どもたちの保護者のみ可能。 ※メモ 【三角ロジック】何らかの主張を行う際、具体的な事実や数値といったデータを示して理由付けし、主張するという方法のこと。例えば「火事が発生した」という主張をする際、「消防車がサイレンを鳴らして走っていった」というデータを示し、「普通は消防車は火事があるとサイレンを鳴らして火事の現場に向かう」という経験則による理由づけによってデータと主張を結び付ける。合理的で、説得性が増すという。

新たに8点認定 土浦ブランド第2弾

【谷島英里子】土浦市の知名度や魅力を高めようと、市が認定する「土浦ブランド」に、新たにコーヒーやアイスクリームなど8点が選ばれた。第2期の認定で、17日、市役所で認定式が開かれた。第1期分も含め土浦ブランドは計26点になった。 地域の特産品や特性を生かした商品などを認定している。第2期として6月15~30日に土浦ならではのこだわりのある農水産物や加工品、料理などを募集した。10点の応募があり、有識者らでつくる「土浦ブランドアッププロジェクト推進協議会」が独自性や品質などを選考基準に審査した結果、8点が選ばれた。 認定式で中川清市長は企業や団体の代表者に認定証を手渡し、「土浦の顔として自慢できる品ばかり。地域活性化の一助となり交流人口の増加につながると期待している」と話した。 認定品の包装には「土浦ブランド」のマークが使用でき、自社商品の宣伝などに活用できるほか、市のふるさと納税の返礼品やシティプロモーションなどでも優先的に活用される。 オリジナルコーヒー「つちうらブレンド」と布フィルター「つちうらネル」が選ばれた同市下高津のコーヒー店「ニコニコ珈琲」オーナーの松本正さん(53)は「ふるさと納税の返礼品になるので、全国の人たちに飲んでもらい、土浦に興味を持ってほしい」と話していた。コーヒーは、霞ケ浦を吹く風のような滑らかな味わいと、土浦の歴史を感じるコクや深み、香りに仕上げたという。 認定品8点は次の通り。 ▽土浦農業協同組合「グラジオラス」 ▽果樹生産者組合 いきいきフレッシュ組合「果樹アイスクリーム」 ▽レストラン中台「レストラン中台の土浦レンコン福神漬」 ▽和洋菓子製造販売 久月総本舗「れんこんどら焼き」 ▽中華料理 福来軒「福来軒のツェッペリンカレーコロッケ」 ▽創作和菓子すぎやま「れんこん最中」 ▽ニコニコ珈琲「つちうらブレンド×つちうらネル」

店内に交流スペース ウエルシア 19日、子ども記者体験イベント

【谷島英里子】ドラッグストアチェーン、ウエルシア薬局(本社東京都千代田区)は、地域貢献事業の一環として、地域住民に休憩の場や井戸端会議の場を提供するため店舗内に交流スペース「ウエルカフェ」を設置している。NEWSつくばは19日、ウエルシアつくば豊里店(つくば市豊里の杜)で、子ども記者体験イベントを開催する。 豊里店と桜店の2カ所 ウエルカフェは全国に173店舗あり、県内は18店舗。つくば市にはつくば豊里店とつくば桜店の2店舗にある。 単なる休憩場所ではなく、地域社会の課題を解決していくための場所として、地域貢献活動を行う団体やNPO法人に無料で開放しているのが大きな特徴だ。テーブルといす、市民向けの情報専用ラックが完備され、落ち着いた時間を過ごせる。 これまで、自治会やボランティア団体の会議、健康サロン、ウエルシア薬局主催の健康栄養相談会やメイクアップサロンなどが開かれた。同社在宅本部地域包括推進部の鈴木美香さんは「地域の活動をサポートしていきたいので、まずはお近くのウエルカフェに足を運んでみてください」と利用を呼び掛けている。 利用時間は午前10時から午後6時。詳しい利用方法は同社ホームページ、または地域包括推進部(電話03-5209-5677)まで。 取材体験し「はがき新聞」作ろう NEWSつくばは、同豊里店で19日開催する子ども記者体験イベントで、店内を取材する「子ども記者」を募集している。 同イベントは、参加した子どもたちが、日頃ウエルシア薬局で買い物をしたときに感じている疑問や興味を薬剤師や店員に直接聞いて、分かったことを文章にし、はがきの大きさの「はがき新聞」を作成する。夏休み中の子供たちに聞く力や表現する力を学んでもらうことが狙い。人気商品は何か、チラシは何曜日に発行しているか、薬剤師は何をしているかなど、働く大人たちの仕事現場を取材する。 子ども記者体験イベントは19日午前10時~午後3時まで開催。対象は小・中学生。取材・制作時間は1時間程度で、NEWSつくばのライターが指導する。はがきの裏面には子どもが熱心に取材する様子を写真で載せる。完成品は持ち帰ることができる。参加費無料。事前申し込みは不要で、当日同豊里店ウエルカフェで参加を受け付ける。問い合わせはNEWSつくばメール info@newstsukuba.jp

亀城公園で灯籠流し

【谷島英里子】送り盆の16日夜、土浦市中央1丁目、亀城公園のお堀で灯籠流しがあり、水面はオレンジ色の明かりで幻想的に照らされた。 日が沈み始めた午後6時ごろ、市内の住職らがお経を上げて初盆を迎えた故人の霊を供養し、灯籠をそっと水面に浮かべて流した。訪れた人たちは、手を合わせて故人をしのび、灯籠の明かりを静かに見守っていた。 亀城公園の灯籠流しは、60年以上前から毎年、市内8の寺が宗派を越えて開催している。今年は300個の灯籠が用意された。住職らは「伝統なので今後も続けていきたい」と話していた。灯籠は翌日、回収されるという。

【ひと】被爆体験つづった手記がつくばの朗読劇に 長崎生まれの田栗静行さん(78)

【崎山勝功】「思い出したくないし話したくない」。生涯封印するつもりだった原爆体験を7年前、『あの時、一緒に死んでしまえばよかった… 5歳のナガサキ被爆体験』にまとめた。その手記が、1995年からつくばで朗読劇を上演している「サラダの会」の今夏の朗読に登場した。 封印を解いたのは原爆の影響による胃がんの告知を受けたことだ。「残りの時間で何かできることはないか」と考えた末での決断だった。 手記では、原爆投下で長崎市内の工場に勤務していた父親を亡くし、4日後に当時3歳の妹を亡くしたときの様子をはじめ、自身の体調の変化などを克明に著している。 長崎県から上京し、会社員として勤務していた当時、都内の病院の受付で被爆者手帳を出すと「何ですかこれは?」と聞かれることがたびたびあったという。会社での健康診断の際のレントゲン撮影も「子どもの頃にたくさん放射線を浴びていますから」と断っていた。 胃がん発覚後、原爆症認定の申請を行った。当初は「放射能で体が侵されている、と烙印(らくいん)を押されることになる」と認定書申請に消極的だった。支援者団体から「核兵器はこんなに恐ろしいんだ、という一つの証拠になるから。後世のためのデータして残すべき」との説得を受けて申請に踏み切った。 約10カ月後、原爆症の認定を受けた際に、支援者団体の一部から「おめでとう」と言葉をかけられた。原爆症認定のための裁判をしなくてもいい、との趣旨だったようだが、田栗さんにとっては配慮に欠けた腹立たしい言葉だった。「原爆症に認定されても、うれしいこと、おめでたいことなど何もない」と話す。 手記では「原爆症認定書が届いた日、私は父母と妹の仏壇の前で一晩泣きました。一人だけ生きていて良かったのか、今でも生きていて良いのか」と、当時の複雑な心境をつづっている。 5日、つくば市吾妻のアルスホールで開催された上演会に東京・八王子から訪れた田栗さんは、「2度と私のような体験をしてほしくない、あるいはさせるべきではない」と力を込めた。そして「これからは自分たちの子ども、孫が平和を享受できるように、日本、世界、宇宙が平和になるように努力してもらいたい」と、次世代への希望を託す。

大傘から花火降り注ぐ 鷲神社で伝統のからかさ万灯

【谷島英里子】土浦市大畑の鷲(わし)神社で15日夜、国選択・県指定無形民俗文化財の「からかさ万灯」が行われ、大勢の見物人でにぎわった。 からかさ万灯は、江戸時代中期ごろから続く雨乞いの神事。五穀豊穣や天下泰平、家内安全を祈願し、直径5㍍、高さ6㍍の大傘に花火を仕掛けて点火する。 午後9時ごろ、ステージや山車の上で雨乞い囃子(ばやし)が鳴り響くなか、導火線となる綱火に着火すると、傘の上部から四方八方に火が噴き出し、滝のように降り注いだ。会場からは「迫力がある」「きれい」と歓声や拍手が沸き起こっていた。火が消えると、見物人らは、縁起物とされる傘の下のツバキの花を取り合っていた。 からかさ万灯保存会会長の井坂次男さん(80)は「大昔の人が雨が降ってほしいと神に願った強い思いを感じていただけたらうれしい。からかさ万灯は集落の宝なので、また来年も見ていただきたい」と話していた。

子どもの養育状況を別人に郵送 つくば市 児童手当現況届25件流出か

【鈴木宏子】つくば市は15日、子どもの養育状況などが書かれた児童手当現況届を、市が誤って別人に発送し、25件の個人情報が流出した可能性があると発表した。 児童手当を受給する要件を満たしているかどうかを確認するための書類で、受給者の氏名、住所、生年月日、加入年金の種類と、子どもの名前、生年月日、同居や別居の有無、子どもの面倒を見ているか否かの監護の有無などが記されている。 市こども政策課によると同市の児童手当受給者は約2万1000人。今年度の現況届は7月2日が提出締め切りとなっている。一方、未提出者が1206件分あったことから、提出を促すため、あらかじめ市が把握している情報をもとに子供の養育状況などを印刷した現況届を13日、1206件に発送した。 発送の際、現況届を入れた封筒が25件分足りなかったが、担当者が、25件分を印刷していなかったと思い込み、印刷し直して発送した。 翌14日午後、市民から、自分の分のほかに別人の現況届が入っているとの指摘があり、誤発送が分かった。15日午後4時半時点で計5人から、他の人の分が混入しているとの連絡が市にあるという。市は25件について、誤って他の受給者の封筒に現況届を混入して発送してしまった可能性があるとみている。 今後、25件全員の自宅を訪問し謝罪するほか、誤発送した現況届の回収を行うとしている。再発防止策として、通知発送の際は封筒に書類を入れる前と後に書類のチェックを徹底したいとしている。 五十嵐立青市長は「市の信頼を損なう行為で、大変申し訳なくお詫び申し上げます。再発防止に努め、特に個人情報保護については研修を行うなど流出防止の徹底を図っていきます」とのコメントを発表した。

【戦後73年の記憶】6 顔知らぬ文通相手 突然帰らぬ人に 横田晴子さん(91)

【鈴木宏子】つくば市の横田晴子さん(91)は、太平洋戦争が始まった1941(昭和16)年、旧水海道高等女学校に入学した。4年生のとき、水戸陸軍病院に入院していた友達のお兄さんに俳句を添えて慰問の手紙を書いた。女学生からの手紙だと評判になり、病室で皆が回し読みしたという。 しばらくして手紙を読んだ一人の男性から返事が届いた。埼玉県杉戸町出身の古河地方航空機乗員養成所の教官で、盲腸のため入院していた。すぐに退院したが、その後も文通は続き、横田さんはその都度、俳句を添えた返事を送った。 学校の全校作業の日だった。生徒全員が校庭に出て草取りやごみ拾いなどの作業をしていたとき、下妻の方から飛行機が飛んできた。校庭の上空を何度か旋回し、だんだんと低空飛行になって斜めになり、窓から白いハンカチを振り飛び去った。校庭にいた女学生たちはわあわあと大騒ぎになった。 後日、文通相手から手紙が届いた。「計器測量のため下妻まで行きました。皆さんの姿が豆粒みたいに見えたので、水海道に行きました」と記してあった。学校の上空を旋回しハンカチを振ったのは文通相手だったのだ。「この手紙が最後になるかもしれません」とも書かれていた。 しばらくたって文通相手の妹から手紙がきた。「兄によく手紙がきていた方なのでお知らせします。兄は九州から飛び立ち、帰らぬ人となりました」という内容だった。特攻隊に志願したのだという。顔も知らず会ったこともない相手だった。特攻隊に志願した話は妹からの手紙を見るまで知らなかった。 1944(昭和19)年に女学校を卒業。先生から代用教員になることを勧められたが、子供たちに教えるより工場で働いた方が役に立てると、挺身隊に入り、守谷町(当時)の海老原軍需工場で働いた。飛行機の補助翼などをつくる職場で、部品に打ち込む、焼いて熱くしたくぎを運ぶ係だった。 工場から徒歩10分くらいの距離にある長龍寺が挺身隊の寮となった。杉山に囲まれた寺で、寺は寝るだけ。朝昼晩の食事は工場の食堂でとった。 3食すいとん汁だった。2、3㌢くらいの大きさのうどん粉を丸めた団子が三つか四つ入っているだけ。若かったので辛かった。自宅通勤の友達が「毎日すいとん汁では辛かろう」とふかしたサツマイモを新聞紙にくるんで持ってきてくれたことがあった。昼にごちそうになり、その時食べたイモは最高においしかった。 終戦で挺身隊は解散。戦後は土浦の奥井裁縫所に1年間住み込み裁縫などを習った。姉4人、兄1人の6人きょうだいの末っ子。習い事のため東京に出ていた姉は食糧難で満足に食べられなかったが、土浦の横田さんの住み込み先には、兄が月1回、自転車でコメを運んでくれた。 「大変な時代だった」と話す。=終わり

【戦後73年の記憶】5 谷底に消えた戦友、凍死、餓死の光景まぶたから離れない 大澤彌太郎さん(99)

【谷島英里子】「ジャワは極楽、ビルマは地獄、死んでも帰れぬニューギニア」と言われた東部ニューギニア戦線。「あと1週間遅かったら、第2玉砕命令が出て生きては帰れなかっただろう」と遠くを見つめる。 1919(大正8)年、土浦に生まれた大澤弥太郎さん(99)。旧制県立水戸商業高校を卒業後、家業の文具店を継いだ。39年、徴兵検査に合格し宇都宮の師団に入営、下士官となる。やがて満州へ出征し、その後東部ニューギニアへ渡った。「軍からの命令だけで、この地では地図もない、大砲も弾薬もなく、食糧さえも敵地から調達しろというもので、どうやって戦ったらいいのかわからない状態だった」。 43年8月、第51師団長中野英光中将から玉砕命令が出た。全員自滅するということだ。もはや生きては帰れないと考えた。しかし、これが転進命令に変わった。周りを敵地に囲まれているため、敵のいない方へ退却する。この退却がまた試練の始まりだった。 それは現地の住民でも登らない標高4000㍍を超えるサラワケット山を越えるもの。ジャングルを越えると長野県の日本アルプスのように険しい山が立ちふさがる。濁流が流れる川では工兵が木を切り倒し川に橋をかけ、岩肌の道なき道では工兵が先に垂らしたロープを頼りに進んでゆく。一歩間違えば深い谷底に落ちてしまう。大澤さんは目頭を押さえながら「山頂寸前の絶壁で力尽き谷底へ消えていった戦友、凍死、餓死、その光景はまぶたから離れない。そこはまさに地獄でした」と声を震わせた。 野宿を繰り返すうちに悪性のマラリアを患い毎日40度を超える熱にうなされた。このままでは生きては帰れないと考えた。軍医に責任を取れないと断られたが、無理に頼み静脈注射をすることで幸運にも生き延びた。1カ月の山越えで1000人以上の兵隊が息途絶えたという。険しい山で、軍支給の地下足袋はたった2日で底が抜けた。亡くなった戦友に手を合わせ靴を履き替えたこともあった。生きていくために必死で、食べ物はサゴヤシの根本を鉄板で焼いたりして餓えをしのいだ。口に入るものなら何でも食べた。 45年8月15日、2回目の玉砕命令が出たこの日、米軍飛行機がまいたビラで終戦を知り、思わず「万歳」とかみしめたという。 大澤さんは靖国神社で毎年7月に開催される戦没者慰霊行事「みたままつり」に参加し、30年間お参りを続けている。戦後70年余りを過ぎて戦争を知らない子どもや、大人が増えてゆくなか、2017年に戦争体験やその後の人生を記した本『東部ニューギニア戦の我が半生』を自費出版した。「私は幸いにも日本に帰還できたのだから、戦争の過酷さと愚かさ、そして、戦友たちの無念さを後世に伝えていかなければ」と語気を強める。

Most Read

笑顔になるカヌー体験 土浦ラクスマリーナ、土日限定の予約プラン

【田中めぐみ】緊急事態宣言の全面解除を受け、子どもたちに少しでも笑顔になってほしい―と土浦港にあるラクスマリーナ(土浦市川口)がカヌー体験プランの提供を始めた。受付の換気やパーテーション、手指の消毒など感染対策を徹底し、5月から11月までの毎週土曜日と日曜日に実施する。 体験時間は漕ぎ方の練習を含めて1回45分。密集を避けるために1回につき3家族までの完全予約制となる。料金は子ども500円、大人800円(保険料、税込み)。足湯やシャワーもあり無料で利用できる。 ラクスマリーナでは2005年から年に4回「誰でも楽しもう霞ケ浦」(セイラビリティー土浦主催)という乗船体験イベントを開催してきた。障害の有無や年齢にかかわらず霞ケ浦に親しんでもらうことを目的としており、参加者はカヌーやカッターボートなどさまざまな種類の船に試乗できる。親子連れを中心に人気を集め、昨年5月の同イベントには約270人が参加。今年5月にも61回目の開催が予定されていたが、新型コロナの影響で中止せざるを得なくなった。7月、10月に予定されている同イベントも開催できるか見通しがたたないため、代わりとして少人数制のカヌー体験プランを企画したという。 「誰でも楽しもう霞ヶ浦」でカヌーの講習を受ける子どもたち=同 同社の秋元昭臣専務は「子どもたちに少しでも元気になってほしい。カヌーに乗ることで霞ケ浦に興味を持つきっかけになれば。自分たちが飲んでいる水の水源でもあるのだから」と話す。 カヌー体験だけでは物足りない人に、追加料金500円でエンジン付きゴムボートに試乗できるオプションも準備。また、お弁当を持参すれば、体験の前後に施設内の芝生やテーブルを利用してピクニック気分も味わえるという。施設利用料が別途必要となるが、バーベキューやキャンプをしたり、レンタサイクルでりんりんロードを巡ったりするのもお勧めだという。

保育ボランティア89人の個人情報 つくば市が誤送信

つくば市は27日、幼児を対象にした家庭教育学級の保育ボランティア89人の氏名、性別などの個人情報を、誤って国等の18研究機関に電子メールで送信し、個人情報を漏えいしてしまったと発表した。 同市教育局生涯学習推進課によると、研究者が小中学校などで出前授業をする「科学出前レクチャー」について、市内18の研究機関に対し4月10日午後3時ごろ、講師となる研究者がボランティア保険などに加入するための書式を、電子メールで送信したところ、過去に使用した別の事業である家庭教育学級保育ボランティアの情報が、非表示状態で残っていた。 5月26日午前10時ごろ、1研究機関の担当者から「個人情報のデータが入っていた」と電話連絡があり、漏えいが分かった。発覚後、18機関に連絡し削除を依頼した。17機関は個人情報が含まれていたことに気付かなかったという。 漏洩したのは、保育ボランティアを2019年度に実施したうちの89人の氏名と性別。一部についてはメールアドレス、生年月日、郵便番号も記載されていた。同市は27日までに89人に電話連絡し謝罪した。 再発防止対策として市は、今後は、データを送付する際は新規に作成した書式を使用し余分なデータが含まれないようにする、データを送信する際は職員2人以上がチェックするとしている。

《ひょうたんの眼》27 三密を避ける新しい生活とは

【コラム・高橋恵一】新型コロナウイルス感染症の拡大対策のため、小池都知事が隣接県の知事に呼び掛けた。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県による首都圏知事の対策会議である。このニュースに違和感を覚えた。茨城、栃木、群馬が入らないで、山梨が首都圏か? 問題の本質から外れるが、茨城県人としては心穏やかではない。ちなみに、東京駅あるいは皇居を中心に同心円を描くと、一番遠いのが山梨県である。 話を感染対策に戻すと、大都市の隣接県で危険なのは、通勤電車の混雑である。東京一極集中の象徴で、三密の極みであろう。大体、ウイルス感染以前に、ラッシュ時の密着度はもともと異常なのだ。座ることも出来ず、下手すると痴漢のえん罪も受けかねない。輸送態勢の強化・改善、時差出勤の徹底、職場の郊外移転、勤務時間の短縮―。日本人の年間労働時間をヨーロッパ並みにすることだ。 次は、学校だ。1学級の定数を減らす。小学校だと、15人ぐらいが最良だと聞いた。さらに、児童生徒を、過重な受験勉強から解放してあげられないか。小学生がなぜ満員電車やバスで通学しなくてはならないのか。義務教育期間に、児童生徒が身につけなくてはならない学力はどれだけなのか。 受験のためだけの知識・技術は、その後の社会人として必要な知識なのか。絵画や音楽を楽しむことが主体の部活ではいけないのか。スポーツも楽しむ程度ではいけないのか。日本語の豊かさは、スポーツで「勝負」と言わずに「試合」という。金メダルだけが価値があるような風潮は疑問だ。 医療介護体制整備が喫緊の課題 それにしても、三密を避けるのが感染症対策の基本なのだろうか。親子・家族の関係は、会話と接触抜きに成り立たないだろう。友人関係だってある意味三密が無ければ、空々しいものになる。

使いこなしへ踏み出そう 孤立する在宅高齢者の情報化支援 つくば

【池田充雄】新型コロナウイルスの感染拡大で、社会全体がリモートワークに移行する中、取り残されつつあるのが情報弱者である高齢者たちだ。高齢者の社会活動を支援する市民活動団体「UDワーク」(つくば市大角豆)は、シニア支援型オンラインサロンの開設プロジェクトにクラウドファンディングを立ち上げ、26日までに第一目標金額の100万円を達成した。 オンラインサロン体験会を開催 外出自粛が求められ、地域活動などが軒並み中止に追い込まれるなか、特に独居高齢者を取り巻く環境は厳しさを増した。感染リスクを恐れて介護保険サービスなどの利用を控え、家族との行き来も極力減らし、孤立した生活が続いている。このままでは体力や認知機能の低下など、健康を損ねる懸念が大きい。UDワーク代表の前田亮一さん(43)は、スマートォンやタブレットなどの情報端末こそが、孤立しがちな独居高齢者の新しい命綱になると訴える。 「操作が難しい」「費用が高額では」という思い込みから、高齢者はこれらの機器を遠ざけがちだが、はじめの一歩を踏み出さない限り、情報弱者の状況は改善されないと考えている。 一番の難点が初期設定の大変さだ。販売店によるサービスもあるが、見ず知らずの人に教えてもらうのは高齢者にはストレスが大きく、やはり家族や身近な人の手助けが必要になる。家族が遠方にいるとか感染防止のため来られない場合は、普段から交流のあるデイサービス、ホームヘルパー、訪問リハビリ等のスタッフがサポートしたい。「今は災害時と同じ。制限ある中でやれることを考え、動ける人が動くことが重要」と前田さんは提言する。 アプリの設定まで済ませて高齢者に渡し、利用する手軽さや楽しさを味わってもらえれば、後は自然に操作にも親しめるようになるという。