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石井康之

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《映画探偵団》33 つくばセンタービル 磯崎新の設計思想

【コラム・冠木新市】東京ディズニーランドのシンボル、シンデレラ城が新型コロナウイルスで休園中に改修された。シンデレラ城は、ドイツのバイエルン国王ルードウィッヒⅡ世によって創られたノイシュバンシュタイン城をモデルにしたものである。東京ディズニーランドと同じく1983年に完成した「つくばセンタービル」も、実はノイシュバンシュタイン城の影響を受けて創られている。 「狂王ルードウィッヒが純粋に快楽のために建設したこの折衷主義のあだ花、キッチュの権化ともいうべきノイシュバンシュタインは、いまでは確実にポピュリズムの核心にある。《つくばセンタービル》の複合体が独自の象徴作用をなすためには、私はキッチュ的な要素の使用も辞すまい、と考えたことも事実である」「私はノイシュバンシュタイン的なものへ接近する道を歩んでいたのかもしれない」(磯崎新編著『建築のパフオーマンス』PARCO出版局) 「こんな面白いところが、入場料もとらずに開放されているなんて、信じられない」と言った人がいた。私も30年ほど前から、毎日のようにセンタービルを眺めてきたが、見飽きないし、少しも古びないのは驚きである。晴れた日には、3棟のビルの表面がきらきら輝き、美しいかぎりだ。さらに、1000人以上入るホールがあるのに、巨大さを感じさせないのはなぜだろうか。 なかでも中央の楕円形の広場、いや、庭は実に刺激的だ。何もない空間だからである。だが、東洋的なこの庭は、西洋的な3棟の建物を際立たせている。しかし、権力、財力、名誉を求める人にとっては、廃墟をイメージするような空間は腹立たしさを覚えるのに違いない。力を暗示するシンボルが存在しないからである。 霞ケ浦を模した階段から流れる水は、つくば市の位置に相応する中央へと流れ落ちる。センタービルの空っぽの庭は、創造性を触発する器であり、水が主役なのである。私などは、崩れかけたような岩山に大魔神が埋め込まれているのではないかと、つい想像してしまう。 大映の『大魔神』ドーム屋根案を踏み壊す?

新品種導入も推奨 イネ縞葉枯病対策で県

【山崎実】つくば市や筑西市など県南、県西の一部地域で発生が多くみられるイネ縞葉枯(しまはがれ)病対策として茨城県は、従来からの薬剤散布などによる防除対策に加え、水稲新品種の「にじのきらめき」や「ふくまるSL」などの抵抗性品種の導入を進めていく。 イネ縞葉枯病は、体長3~4ミリの害虫ヒメトビウンカに媒介されるウイルス病で、発病すると生育不良となり、イネが実らなくなって減収となる。 県は保毒虫率(ウイルスを持った虫の割合)5%以上を薬剤防除の目安にしている。県南、県西地域のつくば市や筑西市などで行った調査では、一部地域でいずれも5%を超え、次作でも多発可能性が高いことから、抜本的な対策が必要とされていた。 この問題は県議会第2回定例会でも議論に上り、県は①育苗期や生育期間中の薬剤散布②収穫後の田起こしや畝(うね)の雑草除去③抵抗性品種への転換ーの具体策を提示した。今後は防除対策が地域全体の取り組みとして行われるよう、薬剤散布や田起こし、雑草除去など複数の対策を組み合わせて行う従来の方法と、抵抗性品種への転換の2つの方法について効果を検証し、多発地域を指導していく考えを明らかにした。 特に抵抗性品種の導入は、栃木県や埼玉県で効果があったとされ、県も有効な被害軽減策と位置付けている。 農研機構が育成した「にじのきらめき」は「コシヒカリ」よりやや遅い収穫期の品種で、倒れにくく、収量も多い。縞葉枯病に抵抗性で、高温でもよく実り、コメの外観品質が良く「コシヒカリ」と同等のおいしさ。ブランド米に並ぶ食味と安定多収性で、外食・中食用途への利用が期待されている。

筑波山・霞ケ浦を稼げる観光地へ 遊べる旅行企画など募集

【山崎実】茨城県は、筑波山・霞ケ浦広域エリア観光連携促進事業を2018年度から3カ年計画で進めている。現在、両地域の観光資源を生かした「土産品・グルメ」「アクティビティーコンテンツ」の新商品開発プランを募集している。 観光連携の新たな魅力創出と、稼げる観光地域づくり促進が狙いで、選定されたプランには補助金の交付、販売支援などが行われる。 募集は▽新たな定番商品の開発▽アクティビティー(遊べる)ツアープログラム企画の開発ーの2部門。定番商品の開発では、観光目的の大きな要因である「食(グルメ)」、地域を代表する新たな「土産品」を募集する。既存商品の味やデザイン、パッケージなどに工夫・改良を加えたものも応募可能とする。採択は4件程度を予定し最大補助額は75万円。 アクティビティー・ツアープログラム企画開発部門は、アウトドア層を対象に、地域の観光資源を活用した新たな「ツアープログラム」を募集する。採択は2件程度で最大補助額は50万円。 応募資格は新商品の企画・開発をめざす個人、法人、グループなど。「土産品・グルメ」提案部門は県内に事業所をもっていることが条件だが、アウトドア層向けの企画開発の提案は、事業所の所在地は問わない。 応募締め切りは8月21日。同月下旬に書類審査、9月にプレゼンテーション審査を行い、商品開発を実施。来年2月に成果報告会を予定している。

《雑記録》13 アメリカ大統領選挙・雑感

【コラム・瀧田薫】2013年1月、再選されたオバマ大統領は2度目の就任式に臨み、リンカーン大統領と公民権運動の指導者キング牧師が愛用した聖書に手を置いて就任の宣誓をした。このパフォーマンスにこめられた政治的意図は、アメリカ建国以来の宿痾(しゅくあ)である人種差別を解消し、分断された社会に調和と協調をもたらすことにあった。しかし、不幸なことに、アメリカ初の黒人大統領の願いは実らず、トランプ大統領の登場以降、アメリカ社会の分断はむしろ拡大の一途を辿(たど)っている。 今年11月、トランプ大統領は再選をめざして民主党候補バイデン氏とたたかう。現時点(7月2日)で、大方の専門家の予想はバイデン氏有利としているが、前回選挙同様、予断を許さない。それはさておき、ここまでの選挙運動を通じて目立った動きは、オバマ氏が前職大統領としては異例なほどにバイデン氏に肩入れし、支援する姿勢を見せていることだ。トランプ氏が再選されれば、アメリカ建国以来の理想(自由、民主主義、人権など)の崩壊につながるとの危機感が彼の背中を押しているに違いない。 2020年5月25日、米中西部ミネソタ州ミネアポリスで、白人警官が黒人男性の首を膝で押さえ続けて死亡させる事件が起きた。この映像がネットを通じて拡散されると、全米各地で人種差別に抗議するデモが発生し、時間の経過とともに、デモは人種差別に対する抗議の域を超えて、米国社会に残る「構造的な差別」の根絶を訴える運動へと展開しつつある。黒人奴隷制度と先住民からの収奪のうえに繁栄を遂げた米国の歴史そのものを見つめ直す議論も始まっている。 南北戦争のトラウマが大統領選に影響 一例をあげれば、南部ミシシッピ州議会(上下院ともに共和党が多数を占める)は、南北戦争(1861年)で南軍が使用した旗をあしらった州旗を廃止する法案を圧倒的な多数で可決した。アメリカの全州の旗から南軍旗のデザインは消え去ることになる。アメリカで、何かが動き始めたようだ。 筆者は、過去何回かの米国大統領選挙について、毎回同じ仮説上に立って分析を試みてきた。すなわち、「南北戦争」(同じ国民同士が殺し合った記憶)のトラウマが大統領選挙の結果に影響を及ぼすのだが、その影響の出方(強弱)は選挙ごとに異なるという仮説である。例えば、オバマ氏の選挙の時よりもトランプ氏の選挙の時に「分断国家」のトラウマはより強く出た。分析の手法としては実に単純で、南軍に参加した州と北軍に参加した州それぞれにおける投票行動(誰に投票したか)を比較する。