【コラム・霞ヶ浦市民協会】現在、10月17日午前2時過ぎ。だるい足を持て余しながら睡魔と闘っている。14日の学生会議をプレに、15~19日を会期とする第17回世界湖沼会議が、つくば国際会議場にて進行中。1995年の第6回に続き、再びこの会議を茨城県に招致しようと県に要望した「言い出しっぺ」の当協会メンバーは、発表と視聴で日参中だ。
会場付近の駐車場は早朝に即満車。仕方なく遠方に置き、ふだん履かぬヒールで歩いた。昔はもっと高いヒールで「颯爽」と仕事をしていたのに、アラ還の波は忖度なく足に打ち寄せる。そういえば、視聴した分科会の会場でも立ちっぱなしだった。
でも、満員御礼は喜ばしいことである。学生会議と分科会のポスターセッション会場も黒山の人だかりだった。会議には約50の国と地域から4,000人ほどが参加しているから、飛び交う言葉も多重音声だ。整然と並ぶポスター(パネル)の前で発表者が質問などに対応するのだが、感心したのは小中高生たちの受け答え。質問に、相手の目を見て、自分の言葉で返せるというのは、たいしたものだと思う。
このセッションには、「将来の湖沼と流域」に焦点を当てて研究発表したサテライトつちうらの「ハイスクール会議」参加校も出展している。高校生たちの柔軟で斬新な発想にはかなわないが、同時に、現実的で冷静な観察と考察には、我々の活動方針とベクトルが重なるものもある。
人の住む「里」自然が成す「浜」
例えば、水中の有機物を湖外へ出すことによる浄化の方策などは、当協会の「里浜」事業に関連してくる。里浜とは、人の住む「里」と、自然が成す「浜」を合体させた造語だ。里浜は、波が打ち寄せる前浜にできる砂浜であり、かつては漁業や湖水浴場など、人間が利活用することで保たれていた。
砂浜へ打ち上げられるのは流木や植物のみならず、湖水の一部はそのまま砂に浸透しプランクトンなどの有機物がろ過され、やがて分解され無機化する。重要なのは有機物を湖外に出すこと、陸に揚げることである。水中で腐ればそのまま堆積して栄養塩分となってしまう。
砂浜はまた、魚類の産卵場所をも提供する、実に頼もしい存在だ。では、われわれ人間にできることは何か。ひとつは、霞ヶ浦で獲れた魚を食べることである。せっかく漁師が水揚げしても、購入者がいなければ生産と消費の構造は崩れ、結果として漁獲高を下げてしまう。食べる人が増えれば、それだけ有機物が湖外に出る。この循環がとても大事なのだ。
だが、砂浜の良さを言ったところで維持管理ができなければどうしようもない。ゴミや流木などの漂着ゴミを回収し、放置すると群生するアシを定期的に刈り取り、除草し、砂浜を保たなければならない。そして何より、日常的に人が砂地を踏んだりすることが必要。そのためには遊びやスポーツ、観光の場として活用することが望ましい。(霞ヶ浦市民協会 副理事長 髙木節子)