水曜日, 6月 25, 2025
ホームスポーツ常総は桐蔭、藤代は春日部共栄と対戦 秋季関東大会の組み合わせ決まる

常総は桐蔭、藤代は春日部共栄と対戦 秋季関東大会の組み合わせ決まる

【伊達康】来春のセンバツ甲子園出場権をかけた2018年度第71回秋季関東地区高等学校野球大会の組み合わせ抽選が11日行われ、茨城代表は県1位の常総学院(土浦市)が神奈川2位の桐蔭学園と、2位の藤代が埼玉1位の春日部共栄と対戦することが決まった。大会は20日から6日間かけて山梨県甲府市の小瀬スポーツ公園山日YBS球場で開催される。2勝して準決勝まで残ると来春のセンバツ甲子園への選出がほぼ確実となる。優勝チームは11月9日から行われる明治神宮大会に出場する。トーナメント表は山梨県高野連のウェブサイトへ。

強力打線の常総 3年ぶりの甲子園目指す

常総学院は秋季県大会で尻上がりに打線の調子を上げ決勝では15得点の大勝を果たした。強力打線を牽引したのが菊地壮太(2年)と菊田拡和(2年)だ。菊地は負担の大きな捕手を担いながらも上位打線に座って日替わりで異なる打順を経験。決勝では5打数5安打5打点と大暴れするなど、チームトップの大会通算打率.579をマークした。

菊田は打率.556、打点9、長打率は1.0を記録した。夏の決勝ではサードの守備で失点につながる失策をし、試合後は自責の念から号泣していた菊田。秋は地区予選から県大会3回戦にかけて3番レフトとして起用されていたが、ベンチの信頼と自信を取り戻して準々決勝からは4番サードに復帰した。

そのほかにセンター兼投手の中妻翔(2年)が広角に打ち分けることができるセンスの高い打者として上位打線で存在感を示す。クリーンヒットを打ったかと思えば俊足を生かしてセーフティーバントもでき、投手で出場していても疲労をいとわず出塁すれば果敢に盗塁を狙う。そのユーティリティープレイヤーぶりに首脳陣の信頼は極めて厚い。中山琉位(1年)は準々決勝の常磐大高戦で貴重な走者一掃スリーベースを放ち、打数は11と少ないながらも6安打、打率.546と結果を残して猛アピール。桐蔭学園戦では県大会での活躍さながらにチームに勢いを与えるプレーが期待される。

球威十分のエース岡田幹太(常総学院)

投手陣は岡田幹太(2年)と菊地竜雅(1年)の140㌔を超える右腕2枚に加え、左腕の中妻翔の3人が柱となる。エース番号を背負う岡田は最速143㌔をマークする速球が武器だが、大会を通してコントロールに不安が残る内容であった。3回戦の波崎柳川戦では8対1で迎えた7回に登板するも、連打を浴びて3点を返され調整登板に失敗。準決勝の水城戦では3イニングを無安打無失点で切り抜けたが3個の四球を出しコントロール面の不安を払拭できなかった。関東大会では圧倒的な球威を存分に生かして相手をねじ伏せてもらいたい。

菊地竜は2回戦の日立一戦で144㌔を記録し自己最速を更新した。準決勝では水城の4番・櫻井隼斗(2年)に2ランホームランを浴びたが、その後はスライダーとチェンジアップを織り交ぜ水城打線を危なげなく交わした。菊地竜の登板能力を考慮すれば、関東大会1回戦の先発起用は十分に考えられる。

チームトップの投球イニングを誇る中妻は15イニングを投げて失点はわずかに2と抜群の安定感を誇った。最速130㌔前半ながら巧みにコーナーを突いて打者を凡打に仕留める投球術に優れる。

藤代 16年ぶり4度目の関東大会出場

スピンの利いたストレートが武器の竹内航(藤代)

藤代は準決勝で最速147㌔の剛腕・岩本大地を擁する石岡一に延長13回タイブレークの末にサヨナラ勝ちで16年ぶりの秋季関東大会出場を決めた。決勝は連戦の疲れから投打がかみ合わずに大敗を喫したが、準決勝までの4試合でチーム防御率は0.90であったことを考慮するとエース中山航(2年)と小島拓也(2年)を中心とした守りのチームと言えよう。

中山は県大会準々決勝の霞ケ浦戦で3安打、1失点完投勝利した。スライダーを武器とし、低めを丁寧に突いた投球が持ち味だ。今大会は最速138㌔だがスピンの利いたボールに各打者は球速以上に差し込まれる。また夏の下妻一戦では143㌔の剛球でノーアウト満塁のピンチを救い話題となった。連投の疲労がない関東大会初戦ならば強打の春日部共栄といえどロースコアの展開に持ち込めるだろう。

2番手格の小島は準決勝の石岡一戦で5回途中から救援登板し、12奪三振の力投で逆転勝利を呼び込んだ。181㌢の長身から投げ下ろすボールには力があり、130㌔中盤のストレートと縦のスライダーを組み合わせた強気の投球が光る。

打線は1番を打つ田島涼馬(2年)が俊足で出塁率が高くチームトップの打率.546をマークした。常総学院との決勝で2度の内野安打をもぎ取った足に注目だ。3番を打つ青木倫太郎(2年)はセンター方向中心にはじき返して打率.333。二塁打を3本放っている。4番の藤井皓大(2年)は霞ケ浦戦でプロ注目右腕の福浦太陽から貴重な2点適時三塁打を放った。140㌔超えの好投手である福浦や岩本(石岡一)を打って勝ってきた藤代打線だが、決勝では関東大会を決めて安心したのか、その勢いはなりを潜め無得点に終わった。春日部共栄戦では霞ケ浦戦で見せた速球に振り負けないしぶとい打撃を発揮して欲しい。

攻撃の起点となる田島涼馬(藤代)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

コメの需給と値段は安定させられるか?《文京町便り》41

【コラム・原田博夫】2024年秋からコメの値段が上昇し始めた。最初、新米(2024年産米)が出回ればそのうち値段は下がる、と江藤拓農水相(当時)は説明していた。ところが、2025年になっても下がるどころか値上がり傾向が顕著になり、備蓄の古米(2023年産米)を競争入札で放出した。 しかし、消費者の支払う値段は下がらないどころか、値上がりする一方だった。そのうち、備蓄倉庫から小売店に並んで消費者の手元に届くには数カ月かかる、という説明も追加されるに至った。事ここに至って、石破茂首相は農水相を小泉進次郎氏に交代させた。本人もコメ担当相を自認して、備蓄米を随意契約で放出すると明言した。小泉農相の登場以来、コメをめぐる政策・値段・在庫状況は日々変動している。 農産物・畜産品の需給・価格に関しては、経済学に有名な理論がある。定期的に(2年サイクルで)上下変動する豚肉価格と産出量の関係から抽出されたホッグ・サイクル(豚の循環)だ。年次ごとの需給量と価格の変動状況をトレースしたグラフがクモの巣状のことから、「クモの巣理論」とも言われている。 要するに、農産物・畜産品の産出・供給は、前期の価格に反応して増産するけれども、今期はその結果、(相対的に)過剰供給になり、価格は下がる。しかし次期は、再び供給が抑制され、(相対的に)供給不足になり、価格が上昇する-というサイクルである。 この仮説には前提が少なくとも2つある。⑴価格変動に対応して供給量を調整するには少なくとも2期程度の準備期間が必要である、⑵この農産物は備蓄・保存が難しく収穫・出荷から販売まで時間差を置けない-という想定である。 安定的価格の実現を阻む要因 しかし、「令和のコメ騒動」で判明したことは、コメには、新米だけでなく、古米(2023年産)、古古米(2022年産)、古古古米(2021年産)、古古古古米(2020年産)…がある。要するに、保存・備蓄が制度的に認められていて、それを可能にしているのは近年の長期保管・冷蔵の技術でもある。したがって、在庫・備蓄はある。しかし、供給を安定的に維持するには難点が目白押しである。 難点1:保管米を消費者に渡すには、実は、数段階を経なくてはならない。収穫米あるいは備蓄米は、そもそも玄米(籾殻付き)である。それを消費者が食するには、精米が必要だが、これを集中的・大規模に行える精米・保管業者は実は限られている。急な需給調整には対応が難しい。 難点2:コメの生産者から消費者に渡るまでには、集荷業者(大手は当然JA)もいるが、従来は数次の卸業者がスポット取引で(入札制下では)需給調整を行い、流通ルートを確立していた。随意契約はこうした取引実態を超越している。 難点3:コメは、国民が主食として消費しているだけではなく、飼料用米や酒米もある。 難点4:日本のコメの産出量は、(事実上の)減反政策や転作奨励策のゆえに、最大可能量以下に抑えられている。 難点5:農業人口は減退傾向で、60歳以上のコメ農家が9割を占めている。 要するに、コメの生産・販売・流通を取り巻く現行制度は、安定的なコメ価格の実現を阻む要因で満ちあふれているのである。くれぐれも小泉農相には、短期的な事態鎮静化ではなく、農政と国民生活の中長期的な安定化のための対策に取り組んでもらいたい。(専修大学名誉教授)

新たに1人、免許失効したまま公用車など運転 つくば市 全職員を調査

つくば市の教育局職員が約7カ月間にわたって運転免許証の有効期限が切れ、免許証を失効したまま公用車や自家用車を運転していた問題(6月9日付)を受けて、同市が全職員約4000人を対象に運転免許証の原本の有効期限を確認したところ、新たにこども部の職員1人が運転免許証を失効していたことが分かった。23日、同市が発表した。 市人事課によると、こども部の職員の運転免許証は昨年2月29日までが有効期限だったが、今年6月17日に失効が発覚するまで約1年4カ月間にわたって、自家用車で通勤していたほか、公用車を2回運転していた。 今月13日から20日まで、各部局の所属長が、非正規の会計年度職員などを含む全職員の運転免許証の原本の有効期限を確認して判明した。失効が分かった職員は直ちに運転免許証再取得の手続きをとるという。 再発防止策として市は、各部局の所属長が今後、半年に1回、定期的に職員の運転免許証原本の有効期限を確認するほか、公用車使用時に作成する運転記録表に新たに運転免許証の有効期限を記載する欄を設けるなど運転前の再確認を徹底するとしている。

暗やみ坂《短いお話し》40

【ノベル・伊東葎花】 家の近くに、暗やみ坂と呼ばれる坂があった。鬱蒼(うっそう)とした樹木が空を隠し、昼でも真っ暗だ。「暗やみ坂は、一気に駆け上がれ。途中で止まれば闇に取り込まれてしまう」そんな言い伝えがあった。体力があり余った小学生の僕にとっては何でもないことだ。毎日一気に駆け上がった。暗闇などまるで怖くなかった。 ある日、転校生がやってきた。青白い顔の痩せた女の子で、梢子という名前だった。方向が一緒だったので、何となく一緒に帰ることになった。いつものように暗やみ坂を通ろうとしたら、梢子が立ち止まった。 「真っ暗で怖い」 「大丈夫。短い坂だし、一気に駆け上がろう」 僕は、梢子の腕をつかんで走った。僕にとっては易しい坂だけど、梢子は半分の辺りで立ち止まった。 「吉田君、待って。苦しい。走れない」 「だめだ。止まったらだめなんだ」 僕は梢子の手を放して、一気に駆け上がった。しばらく経っても、梢子は上がってこない。おーいと呼んでも返事はない。きっと怖くて下りたんだ。少し心配だったけど、僕はそのまま家に帰った。翌日、梢子は何でもないように登校した。 「きのう大丈夫だった?」 「全然平気よ」 梢子は笑った。昨日よりもずいぶん元気だ。そして驚いたことに、あれほど怖がっていた暗やみ坂を、止まらず一気に駆け上がった。 「吉田君、競争しよう」 梢子は活発な女の子に変わり、僕たちは毎日一緒に帰った。最高の友達になった。 その後、暗やみ坂は閉鎖された。隣に整備された道が出来て誰も通らなくなり「通行止め」の看板が立てられた。僕は高校生になっていた。 「あれ、吉田君?」 駅で、女子高に通う梢子に声をかけられた。久しぶりの再会だった。 「暗やみ坂を通って帰ろうよ」と梢子が言った。 「あそこは通行止めだろ」 「平気よ。看板があるだけで、何も変わってないわ。私、たまに通るのよ」 梢子は躊躇(ちゅうちょ)なく暗やみ坂に入って行き「競争だよ」と、走り出した。僕も走った。久し振りの暗やみ坂は、不気味だった。途中で、飛び出した木の枝に足を取られた。しまった。動けない。 「待って」 梢子は構わず駆け上がる。あの日の僕みたいに。僕の体は、何かに引きずられてどんどん林の奥に入っていく。声も出せない。深い闇の中に、僕の体は放り込まれた。 ふと、柔らかいものに触れた。小さな子供の手だ。 「やっと来てくれたね。吉田君」 青白い顔の子供は、幼いころの梢子だった。あの日僕が置き去りにした梢子だ。 「どうして? 梢子はずっと一緒にいたじゃないか」 「あれはニセモノだよ。これからは、吉田君のニセモノが代わりに学校へ行くの。だから大丈夫。何も変わらない」 闇が僕を呑み込んでいく。もう動けない。「おーい、吉田君」 ニセモノの梢子が、僕の名を呼んでいる。本物の僕と、本物の梢子が、闇の中でそれを聞いていた。 (作家)

不適正額7件で4741万円に つくば市生活保護行政

原因「その時々の管理職の不適切な判断」 生活保護などを担当するつくば市社会福祉課で昨年5月から、不適正な行政事務が相次いで発覚している問題で、市福祉部は23日、実態を調査し改善状況などをまとめた報告書を発表した。これまでに明らかになっている職員に対する残業代未払い、障害者加算の誤認定、県の監査に対する虚偽報告など7つの事案について、不適正な行政事務によって生じた合計額は計4741万2647円になった。不適正な事務を指示した管理職などについては今後、処分を検討するとしているが、何人になるかは23日時点で「数えてない」としている。 不適正事務が発生した原因や背景について根本祥代福祉部長は「(組織の)体質とは考えていない。その時その時の管理職等の不適切な判断が要因になった。職員から指摘があった時に是正できなかった管理職に問題があった」などと説明し、構造的な問題があったのではなく、管理職個人の問題だと話した。 7件の合計額の内訳は①社会福祉課職員に対する残業代未払いが2021年1月から24年3月までに同課に所属していた24人に対し3851時間860万6522円(6月20日付)②特殊勤務手当ての未払いは同期間で17人に19万1675円(3月6日付)③障害年金の申請に必要な診断書料の過支給は8件で6万2890円(24年7月20日付)④障害者加算の誤認定による過支給は27件1902万5721円⑤重度障害者加算の誤認定による過支給額は5件135万6870円⑥不適切な債権管理による国庫負担金の未算定は171件1758万8726円⑦生活保護費の不適切な現金取り扱いと県への虚偽報告は0円(3月17日付)ーの7件。 2014年度から23年度まで過去10年間に在職していた職員や管理職96人に聞き取りや書面による実態調査を実施し、原因を究明し、再発防止のための方策を検討したとしている。 残業代未払いついては、当時の課長から「(残業を申請すると)人事評価で低く評価せざるを得ない」「お前は能力が低いと思っていた」」など、残業をしないように促す発言があったなどとした。 障害者加算の誤認定については、2020年1月の会計検査時に調査官から誤認定を指摘されたにもかかわらず、翌日の係員会議で係長から「現時点で(誤認定の)加算を取り消すことなどはしなくてよい」などの発言があったことを明らかにしたほか、22年11月の内部会議で職員が誤認定を指摘した際は、当時の課長と課長補佐が県に確認するよう係長に指示し、県から誤認定だという回答を得たが、対応を行わなかったなどとした。 生活保護費の不適切な現金取り扱いと県への虚偽報告については「(当時の課長から)現金支給していることは外で言わないように、記録にも記載しないようにと指示を受けた。県監査での対応についても課長から口外しないよう注意された」などの証言が職員からあったことを明らかにした。 これに対し報告書には、なぜ管理職は誤った指示を出したのか、管理職が異動し交代してもなぜ誤った指示が続いたのかなどについての原因や背景に関する検証や分析の記載はない。 報告書について五十嵐立青市長は「徹底的な調査を指示し、管理職の対応や事務執行のさまざまな不適切な対応があり、極めて不正常な業務状況に陥っていたことが改めて明らかになった。このような事態に対し市民や関係機関に多大な迷惑をお掛けしたことを深くお詫びします」とし、「調査結果を踏まえ職員の処分を検討すると共に、市長が先頭に立ち、職員一丸となって生活保護行政の一層の改善を進め、一日でも早く市政に対する市民の信頼を回復できるよう取り組みます」などとするコメントを発表した。 一方、社会福祉課の元職員は「報告書はひじょうに不十分で不誠実。労務管理は不適切などではなく違法でありずさんだった。生活保護の問題も、ようやく職員から指摘があった事実が認められたが、なぜその時点で是正されなかったのかなどについて、いまだ説明が足りない。管理職は法令の正しい知識がないばかりか、自身の不適正な指導について『記憶がない』と逃げており、信じられない。調査方法についても、聞き取りまでされる職員とされない職員がいて不公平感を禁じ得ない。調査内容も偏りがあり、ひじょうに作為的で不信感を抱く。公平公正な第三者による調査が不可欠であると強く感じる」としている。(鈴木宏子)