【コラム・室生勝】「生活支援体制整備事業」を理解しやすいように、今回はコラムの絵を厚労省の解説図「多様な主体による生活支援・介護予防サービスの重層的な提供」に変えた。前回、「生活支援・介護予防」の主役は「老人クラブ・自治会・ボランティア・NPO等」であると書いたが、この解説図の「ボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人、協同組合等」のことである。老人クラブも自治会(区会)もボランティアに含まれる。
つくば市では「生活支援体制整備事業」が昨年度から始まった。市全体の協議会が発足し、茎﨑、筑波、大穂・豊里の3圏域で設置準備会までできたが、協議会設置に至らず、小学校区ごとの協議会まで及んでいない。地域住民が事業について共通した理解をする段階のようだ。
介護保険サービス以外に住民が希望するサービスのアンケート調査が介護認定の「要支援者」187名に実施され、「あったらよいと思う生活支援サービス)」は、①配食②配達(食材、日常生活用品など)③ゴミ出し④買い物⑤外出支援(付き添い、介助、送迎)⑥掃除⑦洗濯⑧食事の準備・調理・後始末など⑨草取り・庭木の剪定・水やり⑩家の中の簡単な修理や電球交換⑪話し相手⑫通院・院内介助⑬見守り・安否確認―などから選ぶ方法で調査された。
その結果は、⑤外出支援⑨草取り・庭木の剪定・水やり⑫通院・院内介助③ゴミ出し④買い物―などが比較的多かった。
ボランティア 主力は退職者層
介護保険サービス以外のサービスである「生活支援サービス」は「ボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人、協同組合等」によって提供されると厚労省は想定している。これらのサービスを社会資源(※)ともいう。
その準備に「生活支援体制整備事業」が始まっているのだ。「生活支援サービス」は、民間企業でなくボランティア、NPO、協同組合、社会福祉法人などでかなりの部分がカバーできる。ボランティアの主力は現役を引退した60~70歳代の高齢者である。区会(自治会)も彼らが中心で運営されている。
解説図の説明にもあるが、①車を使う②配達④買い物⑤外出支援は中学校区・市町村単位で解決しなければならない課題である。だが、①配食③ゴミ出し⑥掃除⑦洗濯⑧食事の準備・調理・後始末など⑩家の中の簡単な修理や電球交換⑪話し相手⑬見守り・安否確認―などは小学校区や区会(自治会)単位で担える。(高齢者サロン主宰)
※ 社会資源:個人や集団が福祉ニーズを充足するための施設、設備、資金、法律、人材、技能などの総称。具体的には、行政機関、各種施設、団体、法人、企業、ソーシャルワーカー、ケアワーカー、保健師、看護師、家族、友人、ボランティアなど。つくば市の社会資源一覧(平成29年6月現在)は市HP・地域包括支援センターの「高齢者の地域包括ケアのためのミニ知識」で分かる。