出来る範囲で社会貢献したい。何かボランティアをしてみたい。そんな人には「ただ髪を伸ばすだけ」でボランティアができるヘアドネーション(髪の寄付)がお勧めだ。2年間、髪の毛を伸ばし続けてきた記者も、ついにそのときを迎えた。
2015年、記者は全国紙の記事でヘアドネーションを知った。抗がん剤の副作用や無毛症など頭髪の悩みを持つ子どもに、医療用ウイッグ(かつら)を作るため、長く伸ばした髪の毛を無償で提供するというもの。人毛の自然なウイッグは、見た目だけではなく、心まで癒やしてくれるという。
しかし人毛のウイッグは10万円からと値が張り、気軽に購入出来ない。一つのウイッグを作るには20~30人の髪の毛が必要で、さらに髪を均一にするための化学処理に約半年~1年はかかる。そのため最長2年の順番待ちが出てしまう。ウイッグに使える髪は、31㎝以上の長さがあること。ドナーの国籍、性別、年齢は関係ないが、引っ張ると切れてしまう髪は使えない。男性ドナーも1割いるという。
提供方法は①自分でカットして受け付け団体に送る②行きつけの美容室でカットした髪を持ち帰り、自分で送る③ヘアドネーションに賛同する美容室でカットし、美容室から団体に送ってもらう―の3つだ。②はお気に入りの美容院でカットできるメリットがあるが、自分で送るのが多少面倒になる。一番気楽にできるのは③の賛同美容院でカットしてもらうことだ。美容院によっては料金の割引特典もあるので問い合わせをお勧めする。
まず最初に、どの長さまで切って好みのヘアスタイルにするかをスタイルブックを参照して決める。なのでドナーは、残したい髪の長さに31㌢を足した長さまで伸ばす必要がある。スタイルが決まると髪の毛を4等分に束ねてカットする。切り取った髪の束を持つと、体の一部だった時には感じなかった重量感があり、不思議な感覚を覚えた。
髪を伸ばすのに要する日数は個人差が大きい。記者は髪を伸ばした経験がなかったためストレスも大きかった。抜け毛の多さと、長い毛が家の中に落ちている光景には正直閉口した。シャンプーは短髪の時より3倍の量が必要で、時間も3倍かかった。普段エコ生活を目指している記者には反エコなのもストレスになった。しかし髪を提供し終えた時には、短髪の頭と共に体中に清々しさが広がった。「頭髪で苦しむ子どもが一人でも多く笑顔になれれば良いな!」と心で念じつつ美容院を後にした。(文=鈴木萬里子 写真=大志万容子)
◆ヘアドネーションの受け付け団体は海外を含めいくつかある。その一つが2009年に設立されたNPO法人「Japan Hair Donation&Charity(JHDAC=ジャーダック)」だ。JHDACのつくば・土浦の賛同美容室は以下の通り
Hair-make まぅるる
つくば市天久保2-11-8 ☎029-858-0255
-SERA-
つくば市酒丸286-1 ☎029-847-7708
artisanale
つくば市小野崎591-1 ☎029-869-9610
chouette
つくば市筑2398-13 ☎029-879-7787
美容室poco.a.poco
つくば市天久保2-10-20 ☎029-851-3749
IRIS
つくば市二の宮2-17-12アルミックビル2F ☎029-869-6230
GIORICH HAIR
土浦市木田余東台2-4-12 ☎029-824-3536
髪工房
土浦市西根南3-7-1 ☎029-842-8682