【コラム・坂本栄】県内を縦と横に走る高速道にはお世話になっています。会合で水戸へ行くときには常磐道-北関東道を使えば1時間かかりませんし、講義で日立へ行くときには常磐道で1時間強。また、圏央道開通で孫たちが住む埼玉県へも1時間強で行けるようになりました。以前の常磐道-外環道-東北道(逆台形の3辺)ルートに比べると、1辺経由で行けますから大幅に短縮されました。
高速を走るにあたっては車載ITにお世話になっています。今はスバルのSUVに乗っていますが、「アイサイト」という半自動運転装置を使うと、高速道でアクセルとブレーキを踏む必要がありません。巡行時はハンドルに手を軽く乗せ、追い越し時だけ操作すればOKです。
以上は、高速道と車のIT化でいかに便利になったかという個人体験。皆さんも仕事や生活で、縦と横に走る高速道の便利さを実感していることでしょう。
もうひとつの交通インフラ、鉄道でもお世話になっています。私は土浦在住ですから、東京に行くときは常磐線を使います。でも行き先によっては、つくばエクスプレス(TX)も利用します。浅草寺周辺の飲み屋に行くときは、近くに浅草駅があるTXを使います。いずれにしても、首都圏への鉄道2ルートは生活と仕事に欠かせません。
TXは空港延伸で完結
孫のこと、スバルのこと、浅草のこと―個人的なことを書いてきましたが、そろそろ本題に入りたいと思います。TX北部延伸(県央斜め横断鉄道)のことです。
13年前のTX開通で、県南エリア、特に沿線の守谷市、つくばみらい市、つくば市は人気のまち(人口が増えるまち)になりました。現在のつくば終点をもっと先に延ばせば、その周辺の生活と仕事の利便性が数倍、いや数十倍になるのは間違いありません。
先の県知事選、衆院選(6区)では各候補が延伸を公約に掲げました。小美玉市、石岡市、かすみがうら市、つくば市、土浦市の議長連も延伸に向け動き出しました。首長の間には温度差があるようですが、「政治的な環境」は整ったといえます。いよいよ議論を深めなければなりません。
ポイントは2つ。ひとつは、常磐線のどことクロスさせるか(石岡駅か高浜駅か神立駅か土浦駅か)。このライン引きでは思惑が錯綜するでしょうが、エイヤで決めるしかありません。もうひとつは、茨城空港までの延伸をセットにするか切り離すかですが、TXの利用価値を高めるにはセットにすべきです。
また個人的な話に戻ります。2年前、神戸に住む甥の結婚式があり、新幹線ではなく、茨城空港発神戸便を使ってみました。大変便利で、これから京阪神に遊びに行くときは小美玉発を使うつもりです。今、茨城空港には車で行くしかありませんが、TX延伸が実現すればアクセスの選択肢が増えます(私は数年先に後期高齢者。免許返納でしょうからTXしかありません)。(経済ジャーナリスト)