【池田充雄】第100回全国高校野球選手権茨城大会は11日目の22日、準々決勝4試合が行われた。ひたちなか市民球場(同市新光町)では土浦日大が8-3の大差で明秀日立を破り、霞ケ浦は6-1で取手一を寄せ付けなかった。ノーブルホームスタジアム水戸(水戸市見川町)では常総学院が中央に、水戸商が藤代にそれぞれ勝利した。準決勝2試合は24日、ともにノーブルホームスタジアム水戸で行われる。
土浦日大、強気の攻め
土浦日大-明秀日立の一戦は、土浦日大の富田卓、明秀日立の細川拓哉という両エースがそろって登板。互いの柱をどちらが先に攻略するかがカギとなった。
先手を取ったのは3回表の土浦日大。一番・鈴木健太主将が左翼線のクリーンヒットで二塁に達すると、二番・木原琉位の中越え二塁打で先制。さらに無死満塁から五番・小澤礼嗣の中前打などで2点を加えた。
ここでのポイントは木原に送らせず、強攻策を採ったこと。「1・2回のチャンスを逃し『ここしかない、流れをつかむぞ』とベンチが一体になった。弱気にならず、打って点を取ろうと。木原の一打がその気持ちをチームに呼び覚ました」と小菅勲監督。
援護を得て富田も波に乗る。三振とフライアウトが増え、3~7回は1安打1四球でわずか2人の走者を出したのみ。その間にも追加点。7回表は1死満塁から七番・鶴見恵大が左越えに走者一掃のスリーベース。「伝令で『スクイズなどはないから、思いきりやってこい」と言われていた。相手は全打席初球スライダーで来ていたので、そこにヤマを張って振り抜いた」と鶴見。
8回表にも3安打で2点を加え、コールドも近いかと思われた8回裏、思わぬ反撃を浴びる。明秀の一番・増田陸によるスリーラン。「2球で追い込んでから、スライダーが高めに抜けてしまった。やっぱり簡単には終わらない。でも逆にすっきりして、気持ちを切り替えて投げられた」と冨田。
また「秋に負けてからこの日のために頑張ってきた。今日勝ちきったことで去年の夏のように乗れてくるのでは」と言葉を継いだ。鶴見も「大きな勝負だったがここが最後じゃない。あと2つ勝つまで、気を引き締めてやっていきたい」と、すぐに気持ちを切り替えていた。
霞ケ浦、守りからリズムつくる
霞ケ浦はこの日、2年生投手の中田勇輝が3回戦に続いて先発し、7回を1失点。「与えられた役割以上にやろうと、しっかり気持ちを作っていた。立ち上がりは3人で抑え、リズムよく試合に入れた。2回以降は毎回ヒットを出し苦しい展開だったが、バックが助けてくれてピンチを乗り越えられた」
8安打を打たれながら1失点に抑えたのは、要所要所で3つのダブルプレーを成功させた守備の良さも関係している。捕手の鈴木和樹主将は「守りのときも受け身にならず、しっかりと攻めの守備をし、そして守りからリズムを作って攻撃につなげる」と心構えを語る。また中田に対しても「2年生投手で夏は初めて。力が入っていたのでちょくちょく声を掛けに行った」との気遣いを見せた。
そして3回に待望の先取点。1死二・三塁から一番・天野海斗と二番・森田智貴の連打で3点を奪う。
5回には九番・中田が自らの右前打で1点を挙げた。6回には四番・菅野日向磨が右翼席への2点本塁打。「打ったのはインコースの真っすぐ。それまで変化球で2打席抑えられていたので、この打席は変化球を待っていたが、追い込まれて、真っすぐを待って変化球にも対応しようと狙いを変えた」。そこへタイミングよく来た直球を、反応良く打ち返したそうだ。
これで準決勝に進出し、次の対戦相手は因縁の土浦日大。春の大会では勝っているが、昨年の夏は決勝を延長15回で敗れ、甲子園の切符を目の前でさらわれた悔しさがある。「夏の借りは夏に返すしかない。準決勝・決勝に照準を合わせ、調子も上がってきている。ここから先は実力差はなく気持ちが大事。しっかり気持ちを出していきたい」と菅野。高橋祐二監督は「いろんな思いがあるので精一杯やりたい。相手は去年からの選手が多く、いろんな選手の特徴をつかめている。臆せず攻め、たとえ長打を打たれてもしがみついて戦いたい」と気構える。
第100回全国高校野球選手権茨城大会 準々決勝(7月22日、ひたちなか市民球場)
バッテリー
土浦日大:富田-小澤
明秀日立:細川-高田
長打
本塁打:増田(明秀日立)
三塁打:鶴見(土浦日大)
二塁打:鈴木2、木原、小菅(土浦日大)
バッテリー
取手一:三浦、庄司、石上、林-用、内山
霞ケ浦:中田、鈴木寛-鈴木和
長打(すべて霞ケ浦)
本塁打:菅野
二塁打:出頭