【鈴木宏子】福島第1原発事故による放射能の影響により土浦市内で調整池の浚渫(しゅんせつ)が行き届かず、場所によって樹木が伸び放題になっている。同市6月議会一般質問で指摘があった。市は調整池の機能を確保するため、今後、放射線量を測定した上で、樹木の伐採や草刈りなどを実施し、土砂の搬出を検討するとしている。久松猛市議(共産)が指摘した。
調整池は雨水を一時的にためて冠水や浸水被害を起こさないようにする施設で、市内には宅地造成や土地区画整理事業でつくられた調整池が58カ所あるという。規模は100㎡未満の小規模なものから4万㎡以上の大規模なものまでさまざまで、市が管理している。
久松市議の地元、同市木田余東台の住宅団地調整池は現在、樹木が生い茂っている。震災前からほとんど手入れされてなかったと久松市議はいう。数年前、区長が市に浚渫を要望。市は調整池内に重機を入れて浚渫を実施したが、土砂は調整池敷地内に寄せ集められただけだった。当時は住民に対し放射能の影響で持ち出せないなどの説明はなかったという。震災から7年が経過し、現在、樹木はさらに伸び、底に泥がたまっていて水たまりがあるため周辺住民は蚊の発生に困っていると久松市議は話す。
市によると各調整池の管理は、2011年の東日本大震災前は排水口と周辺の土砂のしゅんせつ、草刈り、清掃を随時実施していた。
震災後は調整池に堆積している土砂は放射線量が高く受け入れ先がないことから搬出できず、市は清掃して出た排出口付近の土砂を、調整池内に一時保管などしている。震災後も定期的に清掃している調整池がある一方、排出口以外の部分は土砂が堆積して草が生え、木が茂っている調整池もあるという。
市は、震災から7年が経過し状態も変わっているとして、今後、調整池内に堆積した土砂について放射線量や放射能濃度、堆積した土砂の調査を実施する。放射線量によっては受け入れが可能な処分先もあるとして処分を検討するとした。
規模の大きな調整池については、調整池の機能を確保するため、草刈りや樹木の伐採、配水口周辺の清掃などを優先的に行いたいとしている。
土砂の搬出の検討に対し、東日本大震災が発生した2011年から3年間にわたって市内の放射能汚染の実態を独自に測定し調査してきた市民団体「土浦まちづくり市民の会」代表の長坂慎一郎・山形大学元教授は「最近、市内の調整池の土砂の測定を実施したが高さ1mで0.5㍃シーベルトあり、除染の目安の0.23㍃シーベルトを超えていた。たまった土砂を浚渫しないと本来の調整池の機能を果たさないということだと思うが、調整池には集水域から放射性物質がたまるので、土砂を搬出する前に測定をする必要がある」などと話している。