毒をもち、かまれると重症化することがあるセアカゴケグモが、今年に入りつくば市内の各地で目撃されている。市環境保全課によると、11月14日に同市島名、香取台吉祥公園で20匹以上が確認された。定着していたとみられる。今年7月から11月、昨年の5倍にあたる計10件の目撃情報がすでに市に寄せられている。10件についてはいずれも発見者や市がそれぞれ成虫や卵を駆除した。
セアカゴケグモは駆除が求められる特定外来生物に指定されている。環境省や同市のホームページによると、オーストラリア原産と考えられ、建築資材などに紛れ込んで船で運ばれ侵入し、貨物と一緒に各地に運ばれたとみられる。体は光沢のある黒色で、腹部の背面に赤い模様がある。メスが毒をもち、体長0.7~1センチほど。生息場所は日当たりのいい暖かい場所で、プランターの底やエアコン室外機の裏など地面のくぼみや隙間などに巣を作る。暑い時期に活動的になり6~10月ごろ繁殖する。攻撃性はないが、触るとかまれることがあり、痛みやかゆみのほか、脱力、頭痛、筋肉痛、不眠などの全身症状が現れ、重症化することもある。環境省や市は、かまれた時は速やかに医療機関に相談するよう注意喚起している。
同課によると、市内で初めて目撃されたのは昨年5月で、昨年は2件の目撃情報があった。今年に入ってからの10件の目撃場所は、並木3丁目と4丁目、みどりの東、森の里(疑い)、香取台、大久保、松代と広範囲に及び、個人宅や事業所、公園などという。市は注意を呼び掛けている。
目撃場所の個人情報を小中学校の保護者に漏えい
つくば市は25日、セアカゴケグモが今年目撃された市内の5カ所に関し、小中学校3校が、目撃場所の住所の地番を、学校用配信アプリを使って保護者計1253人に配信してしまったと発表した。住所の地番から個人宅や事業所が特定でき、個人情報に当たる。
市によると9月19日、市環境保全課から市教育局学務課に、セアカゴケグモが目撃されていることから注意を喚起する情報が提供された。情報には、目撃された5カ所の住所の地番が記載されていた。学務課は、市内の幼稚園、小中学校、義務教育学校に市環境保全課からの注意喚起情報を通知。情報を受け取った各校のうち、9月20日に小学校1校が、同24日に中学校1校が、目撃された5カ所の住所の地番を含む情報を添付し、学校用配信アプリで保護者に配信した。
さらに11月14日、市環境保全課が市内の公園でセアカゴケグモが定着しているのを確認したことから、再度、学務課に5カ所の住所の地番が記載された同じ内容の注意喚起情報を提供。別の小学校1校が、5カ所の住所の地番が記載された情報を添付して学校用配信アプリで保護者に通知した。
同14日、自宅の住所の地番が記載された一人から、学校と市に対し、個人情報が掲載されている旨の問い合わせがあり、学校は同日夜、個人情報を削除して再度配信した。
学務課がさらに市内の幼稚園、小中学校、義務教育学校に個人情報の漏えいについて調査したところ、9月20日と24日にも2校で、目撃場所の個人情報を含む注意喚起情報の通知を配信してしまったことが分かったという。
市環境保全課は、住所の地番が漏えいした5人に対し25日までに電話で謝罪。さらに直接出向いて謝罪し今後の対応などを説明するとしている。再発防止策として市は、個人情報の取り扱いや外部への情報提供方法について見直すとしている。