【コラム・阿部きよ子】私たち「宍塚の自然と歴史の会」は、将来に向け里山を保全していくためには、若い世代が里山の魅力を体験することが欠かせないと考え「環境教育」に力を注いできました。
1989年の会発足時からテーマのある月例観察会を行いましたが、小さな子どもは参加しても、専門の先生の話に集中することは困難でした。そこで2001年から、子ども中心の遊びと観察の会「子ども探偵団」を始めました。以来、雨天以外、毎月第4土曜午前10~12時に実施しています。生物多様性の宝庫、美しい里山景観の中での体験が、成長していく彼らの「ふるさと」体験となってほしいと願って活動しています。
毎回、下見をして主な内容とコースを計画していますが、集まった子どもたちの様子、天気などで変更もします。今年の様子を一部紹介します。
7月は短距離日陰コース
1月:メインは落ち葉のプール作りと「小屋」作り。
2月:前半は梅の花見とアカガエルの卵塊観察。後半は「アスレチック広場」で体を動かす遊び。木登り、ターザンロープ、スラックライン、ゲンコ、ブランコなどなど。ゲンコは地元のお年寄りから教わった昔ながらの遊びです。木の枝の枝分かれしたY字の部分を削って尖らせた「ゲンコ」を地面に投げて突き刺し、さらに倒し合います。
3月:雨天で中止
4月:池に浮かぶ水草のヒシ、雑木林の春の草花の観察。保全活動を兼ねた孟宗竹のタケノコ倒し。
5月:ドングリから育ち始めたコナラの芽と根の観察。ヒバカリ(無毒の蛇)、鮮やかな色のフクラスズメ(蛾の幼虫)の観察。多くの子が怖がらずに触ることができました。
6月:ネムの花の観察、朽ち木の間の甲虫捜し、保全活動を兼ねた真竹のタケノコ倒し。採集した生き物は、毎回観察後、元に戻しています。
7月:猛暑だったので短距離日陰コース。宍塚大池で、ブルーギルが水に落ちたバッタを食べる様子を観察し、水面に広がるヒシが水に浮く仕組みや、葉っぱを食い荒らすハムシの幼虫と卵を観察。セミの抜け殻を拾い集めながら林の中を進む途中、コケに包まれた小鳥の巣が落ちていたのを発見。
思いがけないものを発見
初めて参加する子の中には、とても物知りだけれど、実際の生き物を見つけたり、触れることのできない子がいます。でも、経験ある子どもと接する中で、積極的に生き物に接していく姿がしばしば見られます。また、参加した子が次には友達を誘ってきてくれることもあります。
毎回、子どもたちは思いがけないものを発見してくれるので、スタッフの私もわくわくします。この里山が、将来も、子どもたちの育つ場として生かされることを願っています。(宍塚の自然と歴史の会 会員)